>>ホーム >>当科のあいさつ

当科のあいさつ

 当科は、1981年に第三内科(血液・呼吸器・感染症内科)として開設され、初代としてATL研究で極めて顕著な貢献をされた三好勇夫教授が着任されました。1998年、三好教授の片腕として活躍されていた田口博國教授が第2代として後継され、2007年に私が第3代目として、呼吸器の専門としては初めて着任いたしました。そして2019年6月に私が病院長時代に計画し念願であった、血液・呼吸器内科から血液内科の分離独立が小島教授の着任により成し遂げられました。ただし、細分化は診療にとってはあまり有益ではないこともあり、これまで同様に協力して診療しています。

 これまでの当教室の素晴らしい成果の表れとして、私が着任してからでも当教室関連から、岐阜大学病理竹内教授、本学細菌学大畑教授、福島医大血液内科池添教授と3名の主任教授が輩出されています。このような伝統を持つ学問の府でありながら、やや変かもしれませんが教室のスローガンとして、「みんな目標をもってHappyに」というのを掲げました。医局の存在意義が問われているなかで、目標をもって、研究も診療も教育もhappyに邁進すべきだということです。ただし、happyかどうかは主観的で、同じ事象が起こっても幸せと感じる人と、不幸に思う人が混在します。ある本によれば、「Unhappiness=Expectation - Reality」だそうです。本人の期待値によって感じ方が異なることをよく表していますが、だから期待値を下げろということではありません。予想しないrealityをお互いに手伝い、助け合うことで積み重ねていくことが重要だということです。お互いに予想しない実績を皆に積んでもらえるようにすることで、組織全体としてhappinessのエントロピーが大きくなります。

 現代は「幸せになれない時代」と言われています。新自由主義・グローバリズムによって伝統的な価値観は否定され、更にその反動も孤立主義的、人種差別的な形で出てきており、こうした状況は、侍の世から文明開化と言われた明治期の日本と似ているのかもしれません。分裂した価値観は昭和になってついに発症し、妄想着想・誇大妄想に基づく大戦争を引き起こしたという考え方がありますが、そうならない様に、草の根から現実的なhappinessを追求するべきではないでしょうか。

最後に、当教室は2022年に日本呼吸器学会を主催させていただきます。開催地が高知ではなく京都なのは残念ですが、楽しい学問の会となるよう鋭意準備を進めてまいります。また、私自身は2020年4月からの呼吸器学会の理事長予定者となっています。「改革ごっこ」と揶揄されないように、呼吸器学会のseven goalsやSDGsを意識しつつ、いくつかの点は長期的展望をもって着実に推し進めていきたいと考えています。

皆様には引き続きご指導ご鞭撻のほど、どうぞよろしくお願い申し上げます。

令和2年1月吉日
呼吸器・アレルギー内科学 横山 彰仁