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膀胱がんに対する5-アミノレブリン酸 (5-ALA) による蛍光膀胱鏡を用いた光線力学診断 (PDD) (ALA-PDD)について

 このたび、膀胱がんに対する5-アミノレブリン酸 (5-aminolevulinic acid (5-ALA)) を用いた光線力学診断 (photodynamic diagnosis (PDD)) (ALA-PDD) の有用性が実証され、保険適用になり、通常の保険診療で実施することが可能となりました。

光線力学診断用剤「アラグリオ®顆粒剤分包1.5g」の製造販売承認取得のお知らせ.PDF(165KB)

 膀胱がんの手術の際に、これまでの内視鏡(カメラ)では確認することが困難であった小さながんや平坦ながんなどを、青色光を当てて腫瘍を赤色に蛍光発光させることで、見落とすことなく、より正確で適切な診断を下し、より確実に摘出することができます。今後、膀胱がんに対する内視鏡による手術の際に、この光線力学診断を用いることにより、手術後の膀胱がんの再発を減少させることが可能となり、負担を軽減させます。



光線力学診断の説明

 光線力学診断(PDD)とは、5-アミノレブリン酸 (5-ALA) という光感受性物質を体内に投与した後、蛍光内視鏡を用いて、がんなどの病変を蛍光発光させて観察する診断方法です。この光線力学診断で用いられる5-ALAは、36億年前より動物や植物に内在する天然アミノ酸であり、血色素(ヘモグロビン)や葉緑素(クロロフィル)として動植物のエネルギー産生に関わることより、生命の根源物質と呼ばれています。この5-ALAを内服すると、正常な細胞に比べてがん細胞により多くに集まり、蛍光を発する物質に変換されるという現象が、膀胱がんだけでなく数多くのがんにおいて確認されています。さらに、このがん細胞に過剰に集まる蛍光を発する物質は、青色の可視光を当てると赤色に蛍光を発するために、がんの診断方法として臨床応用されるようになりました。つまり、光線力学診断は、がんに共通してみられるこの生物学的な基本的特性を利用した新しい診断技術といえます。この新規診断技術は、がんの広がりを適切に確認できるため、がん病変を全てきれに切除する事が可能となり、診断のみならず治療効果も良くします。
 現在、日本で、5-ALAを用いた光線力学診断は、膀胱がん以外、脳腫瘍(悪性神経膠腫)においても保険適応となっており、臨床で実施されています。日本泌尿器学会が監修した膀胱癌診療ガイドライン2019年度版(医学図書出版)にも5-ALAを用いた光線力学診断の項目が記載され、有効性が述べられています。今後、他の癌に対しても広く応用されることで、がんに病悩する数多くの患者さんにとって大きな福音をもたらすことが大いに期待されます。

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