病院長挨拶
高知大学医学部附属病院 50年目に向けたリノベーション
〜「敬天愛人」の精神をもって地域医療を担い、「真理の探究」の精神をもって先端医療に挑む〜
病院長 北岡 裕章
高知大学医学部は、2028年に、前身の旧高知医科大学から数えて開学50周年という大きな節目を迎えます。これまで医学部および附属病院を支えてくださった地域の皆様、関係機関の皆様、そして歴代の教職員に心より感謝申し上げます。この節目を単なる通過点とするのではなく、次の50年に向けた新たな出発点と位置づけ、「50年目のリノベーション」として病院のあり方を見つめ直し、さらなる発展を目指してまいります。
本院はこれまで、「敬天愛人」の精神をもって地域医療を担い、「真理の探究」の精神をもって先端医療に挑むという理念のもと、大学病院としての使命を果たしてまいりました。すなわち、地域に寄り添いながら患者さん一人ひとりに最善の医療を提供すると同時に、医学の進歩を牽引する研究と人材育成を担うことが私たちの責務です。この二つの精神は、今後も本院の揺るぎない指針であり続けます。
1. 高知県の地域医療における「最後の砦」
高知県は全国に先駆けて人口減少と高齢化が進行しており、地域医療を取り巻く環境は年々厳しさを増しています。そのような中で、本院は「地域医療における最後の砦」としての役割を担っています。高度急性期医療を中心に、重症患者や専門的治療を要する患者を受け入れる体制を維持・強化するとともに、新規医療技術や先端医療の積極的導入を進めてまいります。また、医療DXを推進し、診療・教育・研究の効率化と質の向上を図ることで、より安全で質の高い医療を提供していきます。さらに、持続可能な経営基盤の確立にも取り組み、将来にわたり安定した医療提供体制を維持することを目指します。
2. 良き医療人を育て、医療人に選ばれる病院へ
大学病院のもう一つの重要な使命は、人材の育成です。本院は「良き医療人を育て、医療人に選ばれる病院」でありたいと考えています。医療の質は人に依存するものであり、優れた医療人なくして優れた医療は成り立ちません。そのため、若手医師や医療スタッフのキャリア形成を積極的に支援し、専門性と人間性を兼ね備えたプロフェッショナルの育成に努めます。また、ハラスメントのない健全で風通しの良い職場環境を整備し、誰もが安心して能力を発揮できる組織づくりを進めてまいります。さらに、努力を重ねる者が正当に評価され、その成果が適切に報われる仕組みを構築し、職員一人ひとりの意欲と誇りを高めていきます。
3.人材と医療技術の中核としての地域医療への貢献
高知大学医学部附属病院は、豊かな人間性と確かな医療技術を有する人材育成を行い、高知県、地域医療機関、医師会との連携を強化し、持続可能で質の高い医療提供体制の構築に貢献し、地域医療を守る責務を負っています。これらを通じ、高知県の掲げる「日本一の健康長寿県構想」実現に貢献して参ります。
4. 高知大学でしか出来ない研究成果の創出と世界への発信
研究の面においては、「高知大学でしかできない研究」を推進し、その成果を世界へ発信していくことが求められます。本院は地域に根ざした臨床データと大学としての研究基盤を活かし、独創性の高い研究に取り組んでまいりました。今後は、病院内オーブンイノベーション拠点「B3K」を起爆剤に、基礎研究と臨床研究の連携をさらに強化し、新たな診断法や治療法の開発につなげるとともに、その成果を国際的に発信していくことで、医学の進歩に貢献してまいります。
5. 地域医療構想における主体的かつ積極的な関与
本院は地域医療構想の中核的存在として、地域の医療機関との連携を一層強化していきます。急性期から回復期、慢性期、在宅医療に至るまで、切れ目のない医療提供体制を構築するためには、地域全体での役割分担と協働が不可欠です。一方、人口の減少も受け、医療機関の機能の集約化の議論も残された時間は多くありません。次の時代に向けた新たな地域医療構想にも関与して参りたいと思います。
医療を取り巻く環境は大きく変化し続けていますが、どのような時代においても、患者さん中心の医療という原点は変わることがありません。本院は、患者さんとそのご家族の思いに真摯に向き合い、安心と信頼に応える医療を提供し続けることをお約束いたします。
50年の歴史を礎に、次の時代へ。本院はこれからも地域とともに歩み、地域に必要とされ、職員に誇りとやりがいをもたらし、社会に貢献し続ける大学病院であり続けます。今後とも皆様のご理解とご支援を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。