ノロウイルス性胃腸炎による院内感染報道についてのお知らせとお詫び

 当院では院内感染対策には考えられる限りの対策を講じています。今冬は例年になくノロウイルス性胃腸炎が頻発 しているとのメディアの報道を受け、給食施設・食材の衛生管理には万全を期してまいりました。ところが、12月8日 内科病棟で1名の患者さんが下痢症を発症したのを皮切りに、11日までの間にその汚物の処理に当たった看護スタッフ 3名、入院中の患者さん4名が相次いで下痢・嘔吐症を発症いたしました。幸いなことにどなたも軽症で、現在は新規の 下痢症も発生しておりません。下痢症発症が確認された後、直ちに保健所に報告し、感染対策上のご指示を仰ぎました。 行政検査の結果ノロウイルスを検出し、疾患名が確定いたしました。感染された患者さん、ご家族に対しましては、事実 を説明し、謝罪をさせていただきました。万全を期したつもりではありましたが、みなさまにもご心配をおかけしたこと を深くお詫び申し上げます。

 今回の事例では分子生物学的な伝播経路の追跡は行うことができませんでしたが、発生初日から遡って、徹底的な疫学 調査を行いました。しかしながら院内への侵入経路の特定には至っていません。ただ、下痢症の患者さんがこの病棟に限 局したことから、院内給食による食中毒ではないと考えられました。また、どなたも生の二枚貝などの疑わしい食品を口 にされてはおりませんでした。侵入経路はわかりませんでしたが、伝播の経路は明らかです。失禁による廊下の汚染箇所 を清掃した看護スタッフが罹患致しました。また、罹患された患者さんはいずれも最初の下痢症の患者さんと同室、ある いは下痢便によって汚染された廊下に最も近い病室に入院されていました。看護スタッフは汚物処理に当たっては手袋と ガウンを着用し、処理後は手洗いを行いましたが感染しました。これらのことから、空中に飛び散った湿性の飛沫、ある いは空中に舞い上がった乾燥汚物による経口感染が重要な要因になったことが推察され、ノロウイルスの伝播能力の高さ を実感することになってしまいました。

 ノロウイルスによる施設内感染は残念ながら珍しいものではありません。ところが、施設内感染を経験した施設が事件 前後に行った感染防止対策を公表するようなことはほとんどありませんでした。これではせっかくの貴重な体験を将来の 感染対策に役立てることが出来ません。公表することが公の理に適うものと判断し、感染された患者さん、ご家族には二 重の負担をおかけしますが公表のご了承をいただき、12月13日記者会見にて公表いたしました。もちろん本院では、 ノロウイルス感染が起きないよう、すでに方策を講じております。

 今後とも院内感染対策をはじめ安全で良質な医療の提供に努める所存です。みなさまにはご理解とご協力のほどお願い 申し上げます。

  平成18年12月13日 
      高知大学医学部附属病院長
            倉  本    秋

医療施設・介護施設の皆様へ




厚生労働省ホームページ
ノロウイルスに関するQ&A(PDF350KB)
【一般の方へ】

この件につきましてなにかご質問がございましたら 総務管理課総務グループにご連絡お問い合わせください。

【医療関係者の方へ】

改善策の詳細につきましては こちら をご覧ください。 不明な点は総合診療部上原良雄、または感染管理認定看護師 有瀬和美 までお問い合わせください。

   いずれも代表電話 088-866-5811 へお願いします。

  ← もどる