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2002年 7月
ナガアオメエソ Paraulopus oblongus (Kamohara)(ヒメ目ナガアオメエソ科)

 ナガアオメエソは,土佐湾の水深200m前後に生息する小型の魚類で,底引き網により採集されます.これまで本種はアオメエソ科のアオメエソ属(genus Chlorophthalmus) に分類されていました.しかし,本研究室OBである佐藤友康氏(現京都大学博物館,農学博士)が行った形態形質に基づく系統類縁関係の分岐解析により,本種を含む"ナガアオメエソ種群"(日本には本種の他に,モンツキアオメエソ,イトヒキアオメエソ,モンアオメエソの3種が分布)が,アオメエソ科よりもヒメ科やエソ科により近縁であるとの結果が得られました.この成果は下記の論文(Sato and Nakabo, 2002) にまとめられています.その論文の中では,推定された系統類縁関係に基づき,ヒメ目内の分類体系が見直され,ナガアオメエソの属する"ナガアオメエソ種群"に対して,ナガアオメエソ科(family Paraulopidae)およびナガアオメエソ属(genus Paraulopus)が新たに設けられています.これまで所属していたアオメエソ科はアオメエソ亜目に,一方ナガアオメエソ科はエソ亜目に含められました.

参考文献
Sato, T. and T. Nakabo. 2002. Paraulopidae and Paraulopus, a new family and genus of aulopiform fishes with revised relationships within the order. Ichthyol. Res., 49: 25-46.

写真標本データBSKU 57912 (67 mm SL), 2002年5月17日,土佐湾中央部水深約175mで採集(調査船こたか丸).

(遠藤広光)


(C) BSKU Laboratory of Marine Biology, Kochi University