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本プロジェクトで実施した出版,調査航海,講演,国際交流など様々な活動についてご紹介いたします。

I黒潮圏資源研究の推進

I-1海底鉱物・エネルギー資源の基礎研究

海底鉱物資源:黒潮流域における重金属の移動・固定のプロセスを定量的に把握するため,沿岸から深海に至る黒潮流域で,CTD水塊観測と採水,表層堆積物採取,セディメントトラップ,ROVや潜水艇による現場実験・測定等を実施し,マンガン団塊,マンガンクラストの形成メカニズムと組成・変動の要因を解明する。そのために,i) 海水中と海底における鉄,マンガンの存在状態とその移動,ii) 熱水噴出と海底堆積物の続成作用における金属移動,iii) 鉄,マンガンの沈殿と有用金属元素の選択的濃集プロセスを明らかにする。試料採取地点は,重金属の供給場である大陸棚および海底火山域,分化と分離の場である海水,そして固定の場である海底堆積物と露岩域である。本研究は黒潮流域に賦存する金属鉱物資源のポテンシャルを知る上で極めて重要である。

海底エネルギー資源:高知沖黒潮流域の海底下には多量のメタンハイドレートが存在する。ハイドレートを構成するメタンガスは,メタン菌により生産される生物起源と,有機物の熱分解によって形成される熱分解起源の2種類がある。メタン菌は海底下数十m以内では大量に生息しているが,メタンハイドレート濃集域は海底直下ではなく海底下数百mである。しかし,その生成・濃集プロセスはよくわかっていない。そこで,陸棚斜面から深海底に至るトランセクトで長尺コアを採取し,メタンガスの主な生成深度,濃集プロセスを解明する。

注目されるリチウム同位体を用いた深部流体研究の招待講演の実施 [2016]

2016年5月には地球内部の流体に関する学会のセッション、2016年9月には海洋に関する学会のセッションで招待講演を行ないました。2015年には鉱物資源のセッションでの招待講演をおこなっており、様々な分野において、リチウム同位体指標を用いた深部流体研究が注目されています。

同位体分析前からリチウムを分離精製中のクリーンルームの風景

I-2海洋生物資源に関する基礎研究

海底生物資源:海水中に生息する生物のみならず,海底下に生息する微生物も沿岸域から深海遠洋域で変化する事が予想される。堆積物中に生息する微生物の種類,時空間分布とバイオマス,生態・生理を明らかにする。さらに,海底下生命圏と陸域生命圏の関係を遺伝子レベルで明らかにする。また,泥火山試料には海底下2,000m以深に生息する微生物が含まれている可能性があり,これまで未知の地下深部に生息する生物の発見が期待される。

海洋天然機能物質資源:海洋コア・海洋深層水等の微生物由来の新たな有用化学物質の探索を実施する。これまでに機能性を明らかにした有用物質の生合成遺伝子・酵素の探索を行なうとともに,抗炎症性色素生合成遺伝子導入による高付加価値物質生産を試みる。さらに異なった角度から新規有用物質の探索を行なう目的で,コンピューター支援構造活性相関による開発を推進する。

水産資源:海洋生物の再生産能力が世界的に高いことが知られている土佐湾沿岸を主なフィールドとし,ウィルスやバクテリア等の低次生物生産から,魚類や鯨類等の高次生物生産に至るまで,幅広く生態系システムの解析を進め,再生可能な水産資源の利用や管理手法について明らかにする。

海洋深層水資源:微細藻類や大型海藻の生育を促進する高知の海洋深層水の特長は,南方からの黒潮に起因する湧昇流による沿岸海水との混合が予測されることから,栄養塩,金属元素を測定し,その化学的性質を明らかにする。このことにより,深層水の地域性および実態が明らかにされ,栽培漁業を含む深層水利用の可能性が今後広がることが期待される。

日本 - チェコ間の合同ワークショップを主催 [2016]

革新的な天然物探索技術を確立する日本とチェコ共和国の共同研究体制の構築を目的として「有用天然物の効率的探索に向けた革新的技術ワークショップ」を2016年11月にチェコ共和国プラハで開催しました。

ワークショップ参加者の集合写真

新学術領域研究「ネオウイルス学(平成28年~平成32年)」がスタート! [2016]

異分野の専門家を総動員し、様々な生態系におけるウイルスの役割を解明しようとする画期的な課題です。高知大学は、主に海の中のウイルスにフォーカスを当て、彼らの存在意義の解明を目指します。

我々がに知っているウイルスは実はウイルス全体からみれば氷山の一角に過ぎない。地球上には無数の種類が存在しており、人類の科学が及んでいるのは、一部に過ぎない。

ネオウイルス学領域の中で水圏ウイルス研究を共に進める京都大学・JAMSTEC等のメンバーと、桂浜にて健闘を誓う。

I-3黒潮の時空間変遷史の研究

本事業の特徴は,従来型の各専門分野に特化した研究の深化にとどまらず,黒潮圏を舞台にした統合型「海洋資源学」を創成しようとする点にある。数十年周期の黒潮大蛇行の影響を受けず,様々な時間スケールで資源の成因や存在状態を知ることが可能な高知沖は,そのメインフィールドとして最適な立地である。上述した様々な視点の黒潮圏資源研究の成果に加え社会科学的考察を加えることにより,海洋資源を総合的に知り,使いながら維持管理するとともに,将来の資源動態を予測する。このような学際性の高い海洋資源研究は前例がなく,「4次元統合黒潮圏資源学」と銘打った新学問としての創成を目指す。

「海洋底科学の基礎」出版 [2016]

海底掘削科学に関する最新の技術・科学手法をまとめた「海洋科学の基礎」(日本地質学会「海洋底科学の基礎」編集委員会 編、共立出版)が、2016年9月に出版されました。(9非破壊計測、10個別計測の一部を執筆分担)

我々がに知っているウイルスは実はウイルス全体からみれば氷山の一角に過ぎない。地球上には無数の種類が存在しており、人類の科学が及んでいるのは、一部に過ぎない。

統合国際深海掘削計画(IODP)で、地球深部探査船「ちきゅう」とともに運用されているジョイデス・レゾリューション(JOIDES Resolution)号

II総合的海洋資源管理の体系化

海洋資源を使いながら維持管理するためには,海底資源の発掘における環境影響評価や環境汚染軽減策の推進,地域の特性に応じた陸域と海域の一体的かつ総合的な管理といった,社会科学的観点からの考察も加えた文理融合的な対応が不可欠となる。一部の機関や企業しかアクセスできない海洋エネルギー・鉱物資源や国民が容易に利用できる沿岸生物資源のように,我々が利用可能な海洋資源は多様であり,管理の主体や効果的運用法など,その手法は対象資源により根本的に異なる。本事業で解明される先進的な研究成果に基づいた統合的な検討を進めて「総合的海洋資源管理」の体系化を図り,海洋立国として不可欠な海洋資源の持続的利用の方策について提言できる体制構築を目指す。

総合的海洋管理(ICOM: Integrated Coastal and Ocean Management)教育プログラム[2016]

改組により平成28年度に発足した農林海洋科学部の海洋資源科学科は,「海洋生物生産学(生物・水産系)」,「海底資源環境学(地学系)」,「海洋生命科学(微生物・化学系)」の3つのコースで構成されている. ここでは,“海洋資源”および“海洋環境”をキーワードに,海を「知り,使い,そして維持・管理する」ための知識や技術を学んでいる.いずれのコースにおいても,それぞれの分野における基礎的および専門的な授業科目に加え,海洋管理政策・産業・経済,あるいは合意形成に関して学ぶ,総合的海洋管理(ICOM: Integrated Coastal and Ocean Management)教育プログラムが必修化されている. 4次元統合黒潮圏資源学プロジェクトでは,得られた最先端の研究成果を,ICOM科目の講義内容に随時含めることとしている.このように本学では,内閣のもと総合海洋政策本部で策定された第3次海洋基本計画で謳われている「海洋立国を支える専門人材の育成と確保」のための,体系化された総合的海洋管理教育が特色の一つとなっている.

ICOM授業科目

III総合的海洋管理人材の育成

総合的海洋管理の実現に向けて,その概念を十分に理解した人材を輩出することが急務である。育成のターゲットは,わが国の海洋人材にとどまらず,すでに博士課程プログラムを実施している黒潮上流域のフィリピンや台湾に加え,インドネシアやミクロネシアといった黒潮流域周辺各国の海洋人材も含まれる。これらの人材がすでに持ち合わせている海洋に関する専門的知識に加え,海洋資源の利活用における社会的問題の把握やその対応策等について,自ら考え,適切に行動できるよう体系化された「総合的海洋管理」の考え方を座学やフィールドワークを通じて身に付けさせる。一方,様々な海洋研究の成果を社会につなぎ,イノベーションの原動力とするため,大学発ベンチャーの起業や事業の発展を支援する。

第2回「クロスボーダー・エデュケーション」を開催 [2016]

国境を越えた沿岸管理人材育成を目指したフィールドワークとグループ討議を主体としたプログラムです。2016年11月にフィリピンのビコール地方において、フィリピン、台湾、中国、ベトナムの若手研究者や大学院生の参加により実施されました。

海洋保護区(MPA)が設置されているサンミゲル島でのフィールドワークの様子

MPAの管理に関わる現地組織関係者を交えたグループ討議の様子

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