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歯科口腔外科

歯科口腔外科

口腔内のあらゆる疾患、さらには、唾液腺(顎下腺、舌下腺)、顎骨、顔面、上頸部の内科的・外科的疾患の診断と治療を行っています。

概 要

歯科口腔外科では次のような疾患を対象にしています

歯牙齲蝕(虫歯)、歯周病(歯槽膿漏)、歯牙欠損、叢生(悪い歯並び)、歯性感染症などの歯科的疾患。さらには、舌癌、歯肉癌(歯茎にできる癌)などの口腔内の悪性腫瘍、口腔・顔面領域の良性腫瘍、嚢胞、顎顔面骨骨折、顎変形症、唇顎口蓋裂、顎関節疾患、白板症、扁平苔癬、口腔カンジダ症、ウイルス感染症、口腔乾燥症、舌痛症、味覚異常、三叉神経痛などの疾患を扱っています。

歯科口腔外科では次のような症状を扱っています

  • 歯が痛い
  • 歯肉が腫れて、血や膿がでる
  • 歯がグラグラする
  • 抜歯後に血が止まらない、あるいは、痛みが続く
  • 舌が痛む
  • 舌や歯茎にしこりができた
  • 味がしない、鈍くなった、変な味がする
  • インプラント(人工歯根)の治療を受けたい
  • 顎の関節が痛かったり、カクカク音がしたり、口が開きづらい
  • 歯並びが悪くて見た目が気になる、あるいは、食物が噛めない
  • 口が乾燥する
  • 顔が腫れた
  • 義歯がうまく合わない
  • 義歯が当たってできた傷がなかなか治らない
  • 歯や顎が折れた
  • 口内炎が治らない

診療体制

外来
教授以下すべてのスタッフが診療にあたっており、原則として教授の診断・治療方針の決定ののち、担当医が治療を行います。歯科用診察台は9台設置し、1日約90人の診察を行っています。24時間体制をとっており、深夜でも救急処置が可能で、必要であればすぐに隣接診療科と連携が取れる体制になっています。

入院
歯科口腔外科の病棟は第一病棟5階にあります。専門ベッドは8床ですが、それを超える場合は一般病床を利用することが可能で、長期にわたっての入院待ちはありません。年間の入院患者数は約120例で、手術件数も年間約100例(全身麻酔下;97例、局所麻酔下;3例)です。口腔疾患以外の疾患を有している方は、その専門診療科と協力して診療にあたっております。

診療方針

口腔全体を1つの単位と考え、治療の最終目標は口腔機能の回復に置いています。さらに、一人一人の患者さんを丁寧に診療する体制をとっており、”病気ではなく、病人を診る”ということを基本理念としています。

得意分野

歯科口腔外科疾患全てに対応できますが、口腔癌、口腔粘膜疾患、歯性感染症の診断・治療を得意としております。

歯科口腔外科で実施している主な検査は次のようなものです

▼ 唾液分泌量検査

口腔の乾燥状態が認められるときに、10分間に分泌される唾液量を、安静時と酸味刺激時について測定します。これにより、唾液腺の唾液産生能ならびに分泌能を知ることが出来ます。

▼ 口臭検査

機械に息を吹き込み、その中の成分の濃度を測ります。生理的なもの、食べ物、嗜好品によるもの、口のなかの病気、汚れによるもの、そして全身の病気によるもの等原因を探っていきます。

▼ 味覚検査

味がわかりにくい、本来の味と違う味がする、口のなかに何も入っていないのに変な味がするなど味覚に異常がある場合、4基本味(甘味、塩味、酸味、苦味)を濾紙ディスク法で検査しています。

▼ 疼痛域値検査

舌の痛み(何もしていないのに痛い、食事の際の痛み)に対し、その部位、原因を温度刺激で検査します。

▼ 口腔内真菌の分離・同定

同定:口腔内病変・症状と真菌との関連を調べる目的で行います。綿棒にて病変部を擦過し、その綿棒を真菌だけが増殖する培地で培養し、真菌の有無、同定を行います。

歯科口腔外科で実施している主な治療は次のようなものです

▼ 口腔癌の治療

口腔機能の温存、審美性の保持を目的として、放射線照射、抗癌剤投与、免疫治療から成る術前導入療法や、癌の栄養血管に選択的に抗癌剤を投与する動注化学療法を積極的に行っています。手術の場合、広範囲切除例に対しては、当院形成外科と連携して再建手術を行っています。また、顎顔面欠損が生じた場合は、顎義歯やエピテーゼを用いた機能的、審美的修復を行っています。

▼ 顎顔面インプラント治療

インプラント埋入に際して十分な骨量が得られない症例に対しては、上顎洞底挙上術(サイナスリフト)や自家骨移植、骨誘導再生法などを行っています。また、癌の手術などにより顎骨の欠損が生じた症例については、口腔機能、審美性の回復を行うため、骨を移植して顎骨を再建した後、インプラントを植立しています。当科では平成22年4月に高知インプラントサポートセンターを開設し、通常のインプラント治療に加え、インプラント治療に伴うトラブルへの対応、難症例に対するインプラント治療を高知県下の歯科医師の先生方と連携して行っています。

▼ 顎矯正治療

開咬、上下顎前突、反対咬合、叢生などの症例に対し、歯科矯正専門医による矯正治療を行います。外科手術が必要な場合は、口腔外科専門医による外科手術(下顎枝矢状分割術、下顎枝垂直骨切り術、上顎骨骨切り術など)を矯正治療と組み合わせて治療しています。

▼ 顎関節症

消炎鎮痛薬や筋弛緩薬による薬物療法、スプリントによる保存療法、マイオモニター、開口訓練の指導や矯正治療を行っています。重症化した症例には関節腔内洗浄や外科的手術を行っています。

▼ 口腔粘膜疾患

口腔カンジダ症、白板症、紅板症、口腔扁平苔癬、ウイルス性疾患(ヘルペス性歯肉口内炎、帯状疱疹、手足口病など)や口腔乾燥症などの検査、治療を行っています。

▼ 口唇口蓋裂

唇顎裂、顎口蓋裂、口唇裂、唇顎口蓋裂などに対し、外科的治療、言語療法および矯正治療などの一貫治療を行い、先天異常によって生じた外見 や咬合などの機能異常を回復する治療を行っています。

▼ 顎顔面外傷

交通事故、転倒などによる顎顔面の骨折や歯牙脱臼に対し咬合、咀嚼機能および審美性の回復のための治療や手術を行っています。

▼ 睡眠時無呼吸障害

内科、耳鼻咽喉科からの依頼に基づいて当科にてマウスピースの製作・装着・管理を行っています。マウスピース装着により下顎を前方へ移動させますので上気道を拡大し、上気道の閉塞による無呼吸の発生を減少させることができます。

▼ 周術期口腔管理(周術期口腔ケア)

周術期(術前・術中・術後)の患者さんに対して、肺炎の予防や、手術部位の感染予防を目的として、口腔ケアを行っています。

▼ 一般歯科治療

虫歯や歯周病の治療、義歯の調整などの歯科治療を行っています。中でも有病者の方や、障害者の方、歯科治療に対する恐怖心が強い方などに対しては、必要に応じて、全身麻酔や静脈内鎮静法を用いてモニター監視下に歯科治療を行っています。

先進医療・特殊治療

▼ インプラント義歯

インプラント(人工歯根)治療に一部健康保険が使える、高度先進医療としてのインプラント義歯の治療を行っています。適応となるのは、歯を喪失した後の顎骨の吸収が著しい人や腫瘍の切除や外傷などで歯や顎骨を喪失した人でありますが、従来は、全額患者さん負担であった手術前のX線検査や血液検査、入院費用、手術後の薬剤費などが健康保険の適用となりました。具体的には、人工物(金属)でできた歯根を顎の骨の中に埋め込んで、それを支台として失われた歯および義歯を作成し、噛み合わせの回復を行う治療です。