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肝・胆膵内科

肝・胆膵内科では、膵炎、膵臓癌、胆石、胆嚢ポリープ、胆管癌、B型肝炎、C型肝炎、脂肪肝、その他の肝炎、肝臓癌といった病気に対して専門的な診療を行っています。

概 要

肝・胆膵内科では次のような症状を持った疾患を対象にしています

  • 近頃、アルコールや天ぷらなどを食べた後にお腹や背中が痛くなる
  • 腹痛と発熱が続く
  • 検診で膵臓や肝臓の値が高いと言われた
  • 胆石があると言われた
  • 膵臓に袋があると言われた
  • B型肝炎、C型肝炎があると言われた
  • 脂肪肝があると言われた
  • 近頃体重が増えたり、お腹周りの脂肪が気になる
  • 肝臓・胆のう・胆管・膵臓に腫瘍を疑われるので詳しく調べた方がいいと言われた

診療体制

外来診療は毎週火曜日から金曜日の午前中です。
入院に際し病棟では専修医または研修医毎に消化器専門医がつき、経験の豊富な看護師と共にチームで診療にあたっています。

得意分野

肝疾患、胆嚢・胆道疾患、膵臓疾患の全てに対応できます。特に一人一人の患者さんを丁寧に診療する体制をとっています。

肝・胆膵内科で実施している主な検査は次のようなものです

外来にて行う検査

▼ 腹部超音波検査(エコー)

腹部内臓の検査を行う検査です。膵臓、胆嚢、胆管、肝臓、腎臓などの異常を検出します。お腹にゼリーを付けて、その上からプローブと言われる小さな機械で操作を行いテレビ画面上にお腹の中の画像を映し出して異常を見つけるものです。所要時間はおよそ15-25分程度で、痛みなどはなく全く安全に行える検査です。検査を受けられる方は食事をせずに来院してください。

▼ 腹部CT、MRI検査

腹部内臓の検査を行う検査です。膵臓、胆嚢、胆管、肝臓、腎臓などの異常を検出します。CT、MRIともに附属病院放射線部において予約制にて行います。ベッドに横たわっていただき、機械の中に入って行って検査を行います。所要時間はCTはおよそ15分から25分程度、MRIはおよそ30分程度かかります。なお、MRIは少し狭い空間に入って行き、大きな音がしますので、狭いところが苦手な方は事前も遠慮なくお申し出ください。また、CT、MRIとも造影剤を使用する場合がありますが、その際には事前に担当医から説明の基、同意書を頂くことになっていますので、ご了承ください。

▼ 超音波内視鏡(EUS)

EUSは、内視鏡の先端に超音波(エコー)装置が付属した内視鏡です。食道、胃、十二指腸、または大腸まで内視鏡を挿入して、病変の内部、周囲の臓器、血管やリンパ節の情報を得られます。膵臓や胆道疾患の診断、消化管の癌、消化管粘膜下腫瘍の診断に有用です。膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)のような膵嚢胞性疾患の手術適応を決めるときに、重要な検査となります。また最近では、早期慢性膵炎と言われる初期の慢性膵炎を診断するのにも重要な役割を果たしています。

入院して行なう検査

▼ 内視鏡的逆行性胆道膵管造影検査(ERCP)

膵管、胆管、胆嚢の形や状態を調べることで、慢性膵炎、膵臓癌、胆石、胆管癌などの診断を行うための検査です。特殊な内視鏡を口から十二指腸まで挿入し、内視鏡から出た細い管を膵臓や胆管の開口部(十二指腸乳頭)に挿入します。そして、その細い管から造影剤を注入し、X線写真を撮影することにより、膵管、胆管、胆嚢の形、状態を調べます。所要時間は検査のみの場合は約10分から20分ほどです。検査後には病室で点滴をするとともに安静が必要となりますが、経験豊富なスタッフが検査を行いますので、安全に実施できる検査です。

▼ 超音波内視鏡下穿刺術(EUS-FNA)

EUS-FNAでは、超音波内視鏡を用いて細胞もしくは組織を取って診断します。内視鏡の先端についた超音波で病変を見ながら内視鏡の先端から細い針を出し、病変に針を差し込み吸引により細胞と組織を採取します。EUS-FNAを用いることにより、今まで組織の検査が難しかった粘膜下腫瘍という消化管粘膜の下にある病変から組織を採取し診断ができます。また今までCTなどの画像検査で診断していた膵臓癌も診断が可能です。近年問題となっている膵癌と鑑別困難な限局型の1型自己免疫性膵炎と膵癌を鑑別することも可能です。
また最近では、通常の治療が困難な閉塞性黄疸(胆管がつまって黄疸となること)、急性膵炎の後に起こる被胞化壊死、膵仮性嚢胞といった、膿みや膵液が膵臓のまわりに溜まった場合に、この超音波内視鏡を使って治療することも可能です。

▼ 肝動脈血管造影検査

肝臓や膵臓、胆嚢、その他内臓における動脈の走行、形状を検査することで、病変を診断する検査です。大腿動脈から穿刺し、そこから挿入した細い管(カテーテル)を大動脈から肝臓の動脈まで挿入します。そのカテーテルから造影剤を入れて、レントゲン写真やCTを撮影し内臓の病変を診断します。治療を伴わない場合の検査所要時間は約1時間から2時間です。検査後には病室で翌日までの安静が必要です。経験豊富なスタッフが検査を行いますので、安全に実施できる検査です。

▼ 肝生検

肝臓の組織の一部を採取し、顕微鏡下で観察することで、肝炎の診断と慢性肝炎の状態をよく知ることができます。すなわち、血液検査を含む臨床症状とあわせ、肝炎の活動性や線維化の程度、予後、治療の適応および効果を判断する上で重要なデーターとなります。右側腹部の皮膚に麻酔をし、エコーで肝臓を見ながら特殊な針を刺し、肝組織を採取します。検査は約10-20分程度で終了し、通常は翌日の午後には退院できます。経験豊富なスタッフが検査を行いますので、安全に実施できる検査です。

肝・胆膵内科で実施している主な治療は次のようなものです

入院して行う治療

▼ 肝動脈塞栓療法(TACE)

通常は、上記の肝動脈血管造影検査に引き続いて行う治療法です。肝臓の動脈に挿入したカテーテルから薬を注入することで、肝臓に発生した腫瘤の治療を行う方法です。さらに、その後肝動脈の一部をスポンジのようなもので塞栓を行い腫瘤の血流を止めることでさらに効果が高まります。治療に要する所要時間は約2時間ですが、場合によってはそれ以上の場合もあります。治療後は病室で翌日までの安静が必要ですが、経験豊富なスタッフが検査を行いますので、安全に実施できる検査および治療です。

▼ 経皮的ラジオ波熱凝固療法(RFA)

肝臓の腫瘤に特殊な針を刺し、高周波電流を利用して腫瘤を熱凝固壊死させる方法です。最近、肝臓治療の専門施設において広く行われるようになってきた治療法の一つで、その壊死効果は高く評価されています。治療は腹部の皮膚を麻酔後、エコーを見ながら特殊な針を腫瘤に刺した後に10-20分ほど熱凝固を行います。治療は準備時間も含め30-40分ほどで終了します。治療中および治療後に疼痛や発熱が出現する場合もありますが、経験豊富なスタッフが検査を行いますので、安全に実施できる検査および治療です。

▼ 経皮的エタノール注入療法(PEIT)

肝臓の腫瘤に対して腹部超音波で見ながら、特殊な針を直接皮膚の外から刺し、エタノールを注入して治療を行う方法です。治療は通常合計で4回ほどの治療を行います。腹部の皮膚を麻酔後、エコーを見ながら特殊な針を腫瘤に刺した後にエタノールを注入し治療を行います。治療は準備時間も含め30-40分ほどで終了します。治療中に疼痛が出現する場合もありますが、経験豊富なスタッフが検査を行いますので、安全に実施できる検査および治療です。

▼ 総胆管結石除去術

総胆管結石症の治療法としては、内視鏡的総胆管結石除去術と経皮経肝的胆管結石除去術を行っています。内視鏡的胆道結石除去術を第一選択としており、ERCPにて結石を確認した後、十二指腸乳頭部を電気メスで切開(内視鏡的乳頭括約筋切開術:EST)またはバルーンにて広げて(内視鏡的乳頭バルーン拡張術:EPD)、結石除去用のバスケットやバルーンなどの処置具を胆管内に挿入し、結石を取り除く治療法です。

▼ 悪性胆道狭窄に対する内視鏡治療

膵癌や胆管癌が大きくなると胆管が狭窄・途絶し、胆管内の胆汁の流れが悪くなり、黄疸や胆管炎を合併することがあります。ERCPに引き続き、内視鏡でプラスチックステントを胆管内に留置して、胆汁の流れを良くします(内視鏡的胆管ドレナージ:ERBD)。チューブは2-3カ月で閉塞することが多く、閉塞したら交換します。症例によっては閉塞しにくい金属ステントを胆管内に留置することもあります。

高度先進医療・特殊治療

▼ 非アルコール性脂肪肝炎関連遺伝子検査

オーダーメイドの医療に努めています。病状を個別に診断し、病態・病因に応じた治療を行うべく体質診断(遺伝子検査など)を実施しています。ご自身の病状についてお聞きになりたい方はご相談ください。詳細な説明をさせて頂いた上で実施いたしております。