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骨盤機能センター

概 要

骨盤機能センターとは

骨盤機能センターとは、外科・泌尿器科・婦人科が共に排便障害、排尿障害、骨盤臓器脱について各専門分野より総合的にアプローチし、患者さんに最適な治療を提供する国立大学としては初となる平成20年に開設された部門です。泌尿器科からはセンター長の井上啓史教授、副センター長の清水信貴 講師、外科からは自治医科大学の味村俊樹 教授、副センター長の前田広道 講師、婦人科から前田長正 教授が診療を担当しています。また、皮膚・排泄ケア認定看護師の小笠原美穂も診療に携わっております。

骨盤機能センターの特徴

排泄障害のうち、尿失禁を専門的に診療する施設は多いですが、便失禁や便秘などの排便障害を専門的に診療する施設は日本では極めて少数です。当センターは、直腸肛門機能検査、3D肛門超音波検査などの先進的診断方法を用いて便失禁の原因を客観的に診断し、その診断に基づいて適切に治療することによって、患者さんの生活の質を改善することを目標にしています。
難治性過活動膀胱に対しては、ボトックス膀胱内注入療法や仙骨神経刺激療法、尿失禁に対しては、尿道スリング手術を、前立腺全摘後の男性尿失禁治療に対しては人工括約筋(AMS800)の挿入も行っております。排尿障害に関しては、膀胱内圧尿流検査にてきめ細やかな診断を行い、治療を行っています。骨盤臓器脱においてはロボット支援下仙骨腟固定術も行っております。また、便失禁や便秘などの排便障害においては直腸肛門機能検査(直腸肛門内圧検査、バルーン直腸知覚検査)と肛門超音波検査を行い、肛門括約筋の収縮能力、直腸の知覚、肛門括約筋の構造を調べ、専門的に診療できる日本でも極めて珍しい施設でもあります。

骨盤機能センターの体制

診療内容のご紹介

▼ 女性尿失禁に対する専門的治療

以下の治療の中から適切なものを組み合わせます。

行動療法(時間排尿誘導、パターン排尿誘導、排尿習慣再教育)
膀胱訓練
薬物療法(抗コリン薬、交感神経刺激薬)
手術療法(TVT(tension free vaginal tape)手術)

▼ 難治性過活動膀胱(男性・女性)

ボツリヌス毒素注入療法
仙骨神経刺激療法(SNM:Sacral Neuro Moderation)

▼ 男性尿失禁に対する専門的治療

人工尿道括約筋(AMS-800)植込・置換術

〇前立腺がんに対する前立腺全摘除術後は、尿道括約筋の機能低下による腹圧性尿失禁が生じます。大多数の患者さんは、時間経過とともに改善し、1年半から2年までは改善の可能性があると報告されていますが、一部の患者さんで、術後2年以上たっても、1日にパッドが何枚も必要な重症尿失禁の方がおられます。その様な方に適応となります。

▼ 便失禁に対する専門的治療

便失禁に対しては、直腸肛門機能検査(直腸肛門内圧検査、バルーン直腸知覚検査)と肛門超音波検査を行い、肛門括約筋の収縮能力、直腸の知覚、肛門括約筋の構造を調べます。

直腸肛門内圧検査機器
直腸視覚検査用バルーン
肛門超音波検査
仙骨神経刺激療法(SNM:Sacral Neuro Moderation)
バイオフィードバック

▼ 骨盤臓器脱に対する専門的治療

以下の治療の中から適切なものを組み合わせます。

骨盤低筋体操
リングペッサリー
従来型のメッシュを使用しない手術(膣式子宮全摘出+膣壁形成術)
ロボット支援下仙骨膣固定術(RASC: Robot assisted sacrocolpopexy)
膣閉鎖術

▼ 排泄障害に悩む患者さんの生活の質向上を目指した診療

便失禁、尿失禁といった排泄に関わる症状は、生命には直接関わりませんが、毎日のことであるだけに生活の質を大きく損なうものです。当センターは、排泄障害の原因を正しく診断し、その原因に応じて適切に治療を行うことによって、排泄障害に悩む患者さんの生活の質向上を目指して診療しています。