遠藤広光のページへ戻る・動物関係の情報ページへ戻る 更新日:2018/05/11
平成30年度(2018年度)1学期 金曜日 2時限目 第4回 2018年5月11日(金) 担当:遠藤広光
共通教育科目「福島原発事故を考える」
第4回「河川や海洋の放射能汚染と生物」講義概要(遠藤)
福島原発事故で放出された放射性物質が河川や海洋の環境,そこに生息する生物へ及ぼす影響について考える.この事故により海洋へ降下あるいは流出した放射性物質の量は,過去の核実験やチェルノブイリ事故などと比較して極めて多いと推測されている.さらに,現在も汚染水が海洋へ流出し続けているようで,その実体は不明である.これらの水域の放射能汚染を考える上で必要となる河川や海洋の環境,生態系や食物連鎖,そして魚類の生活史など生物学的な情報を中心に紹介する.とくに,淡水魚,河川と海を行き来するニホンウナギ,アユやサケ類などの通し回遊魚,沿岸から外洋の表層付近を回遊するサンマ,カツオやマグロ類,そしてマダラやスケトウダラ,カサゴ類,カレイ類など沿岸から沖合に生息する底魚類は,我々の食料となるため一般にも汚染度への感心が高い.これまでに行われた河川や海洋での科学調査,水産物の安全性に関する情報についても取り上げる.
2018年 講義
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放射性物質の影響に関する動物の研究
東日本大震災及び福島原発事故後の岩手県から千葉県に至潮間帯生物の調査結果〜福島第1原発近傍,特に南側の地点で種類数と棲息量が減少〜
*Horiguchi, T., H. Yoshii, S. Mizuno and H. Shiraishi. 2016. Decline in intertidal biota after the 2011 Great East Japan Earthquake and Tsunami and the Fukushima nuclear disaster: field observations. Scientific Reports 6, 20416. new!
日本周辺の海産物の放射性物質による汚染度を評価する方法を開発 国立研究開発法人水産研究・教育機構(2016.3.1)
*Okamura, H., S. Ikeda, T. Morita and S. Eguchi. 2016. Risk assessment of radioisotope contamination for aquatic living resources in and around Japan. Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America, 113:9. DOI: 10.1073/pnas.1519792113
岡村 寛・池田思朗・森田貴己・江口真透.日本周辺の水産資源の放射性同位体汚染のリスク評価.米国科学アカデミー紀要オンライン版.
月刊 学術の動向 2015年10月号 特集 福島原発事故による放射能汚染と森林・木材 Part II
★野生生物を調べてわかること 石田 健
福島第一原子力発電所の事故がオオタカの繁殖に与えた影響
Murase et al. (2015) Effects of the Fukushima Daiichi nuclear accident on goshawk reproduction. Scientific Reports 5: 9450 doi: 10.1038/srep09405 (2015.3.24)
nature Japanのウェッブページ: 「福島第一原発の近くに生息するサルの赤血球が少ない」
Ochiai et al. (2014) Low blood cell counts in wild Japanese monkeys after the FDukushima Daiichi nuclear disaster. Scientific Reports 4: 5793 doi:10.1038/srep05793(2014.7.24)
フクシマプロジェクト:福島原発事故で放出された放射性物質のヤマトシジミヘの生物学的影響を調べるプロジェクトです
(琉球大学理学部生物系 分子生理学研究室 大瀧研究室)
ヤマトシジミにおける福島原発事故の内部被曝的・継世代的影響(2015.12.9)
野鳥の不思議解明最前線・文 植田睦之 #69「原発事故の鳥への影響2~放射線の影響により脳が小さくなる鳥たち〜」
#66
「原発事故の鳥への影響〜長距離移動の鳥,多産の鳥,カロテノイド色素を持つ鳥の減少〜」
*認定NPO法人バードリサーチのウェッブページ
放射能の影響に関する森林生態系の研究
金子真司・高橋正通・池田重人・赤間亮夫.2014.福島原発事故による森林生態系における放射性セシウム汚染とその動態.日本土壌肥料学雑誌,85(2): 86-89.
放射能汚染に関する番組
動画1:「知られざる放射能汚染・海からの緊急報告」(2012年1月15日 NHK 放送, 49分)
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福島沖の底魚,赤城大沼のワカサギ,東京湾の放射性セシウム汚染の例
**ナメタガレイは地方名で,標準和名はババガレイ.
動画2:「ネットワークでつくる放射能汚染地図〜福島原発事故から3年〜」(2014年3月8日, NHK ETV特集,94分)
動画3:「海の放射能汚染,放射能汚染水を考える講演会」講師:湯浅一郎博士(2014年05月14日,主催:脱原発福島ネットワーク,いわき市文化センター)*下記にある 湯浅(2014)「海・川・湖の放射能汚染」が昨年出版されています.
動画4: 「放射能汚染地図の“これまで”と“これから”」木村真三さん講演会(2015年4月25日) 必見です!
*東北教区放射能問題支援対策室いずみ が講演会を開催しました(このページからレジュメPDFがダウンロードできます).
動画5:「被曝(ひばく)の森〜原発事故 5年目の記録〜」(2016年3月6日,NHKスペシャル,58分)
動画6:「NNNドキュメント THE放射能 人間 vs. 放射線 科学はどこまで迫れるか?」(2016年3月13日,日本テレビ放送,45分)
動画7:BS1スペシャル「原発事故7年目 甲状腺検査はいま」(2017年11月26日,NHK BS1スペシャル,110分)new !
魚類の生活史に関する情報
水産総合研究センター 刊行物等 サンマ,マグロ,サケ,ウナギ,ブリ,カツオなどの詳しい情報が出ている号がある.
*おさかな瓦版 水産総合研究センターニューズレター:スケトウダラ(No. 10, 2006.4),ババガレイ(No. 34, 2010.4),サケ(No. 35, 2010.6),サンマ(No. 36, 2010.8),キチジ(No. 37, 2010.10),キアンコウ(No. 39, 2011.2),サクラマス(No. 40, 2011.3),ハタハタ(No. 44, 2011.12),ウナギ(No. 48, 2012.8),メバチ(No. 49, 2012.10),クロマグロ(No. 53, 2013.5),カツオ(N. 54, 2013.7),さめ類(No. 55, 2013.9),アユ(No. 56, 2013.11),ワカサギ(No. 57, 2014.1),イワナ(No. 58, 2014.3).
成松庸二 (2006) マダラの生活史と繁殖生態--繁殖特性の年変化を中心に--.水産情報センター研究報告,別冊第4号,pp. 137-146.
釧路水産試験場調査研究部:スケトウダラの生態や回遊についての情報
参考文献
片山知史.2016.魚と放射能汚染.芽ばえ社,東京.95pp. ¥1,200+税
国立研究法人水産総合研究センター, 編.2016.福島原発事故による海と魚の放射能汚染.水産総合研究センター叢書.成山堂書店,東京.145pp. ¥2,160(税込)
ちだい.2013.食べる?食品セシウム測定データ745.新評論,東京.222pp.¥1,300+税
ISBN978-4-7948-0944-5
水口憲哉.2012.淡水魚の放射能 川と湖の魚たちにいま何が起きているのか.フライの雑誌社,東京.104pp.
¥1,143+税 ISBN978-4-939003-52-3
日本科学者会議・日本環境学会,編.2012.なぜ,いま「魚の汚染」か.本の泉社,東京.¥1,800+税
ISBN978-4-7807-0654-3
*Capter 9 永田文夫 青森県六ヶ所村「核燃料再処理工場」放出放射能による海洋汚染・水棲生物への影響
*Capter 10 梅津武司 福島第一原発事故による水産物の放射能汚染 **コラム3-7
齋藤勝裕.2011.知っておきたい放射能の基礎知識 原子炉の種類や構造,α・β・γ線の違い,ヨウ素・セシウム・
ストロンチウムまで.サイエンス・アイ新書.ソフトバンク クリエイティブ,東京.224pp. ¥952+税
湯浅一郎.2012.海の放射能汚染.緑風出版,東京.189pp.¥2,600+税 ISBN978-4-8461-1209-7
湯浅一郎.2014.海・川・湖の放射能汚染.緑風出版,東京.232pp.¥2,600+税 ISBN978-4-8461-1410-7