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普通海綿類と擬態するオオモンイザリウオ(左,高知県大月町),ムラサキイソカイメン(中,土佐市浦ノ内湾内)とカイロウドウケツ(右,名古屋港水族館).撮影:遠藤広光.

Phylum Porifera 海綿動物門
現世種:4綱25目138科722属 9,016 種*,化石種 :4綱34目191科1,032属 種数不明 (Hooper et al., 2011)
*種数は The World Porifera Database より

Class Homoscleromorpha 同骨海綿綱 1目2科7属85種 *化石種は未発見

Class Demospongiae 普通海綿綱(硬骨海綿類を含む)12目  *化石は4亜綱22目9亜目
 *珪質を主成分とする骨片またはコラーゲン繊維(海綿繊維)をもつ

Class Calcarea 石灰海綿綱 2亜綱5目 *化石は1亜綱4目
 *炭酸カルシウムを主成分とする骨片をもつ
  Subclass Calcinea カルキネア亜綱 2目9科17属(そのうち所属不明1属1種)
  Subclass Calcaronea カルカロネア亜綱 3目14科

Class Hexactinellida 六放海綿綱 2亜綱 *化石は2亜綱6目
 *珪質の六放体の形の骨片をもつ(別名はガラス海綿)
  Subclass Amphidiscophora 両盤亜綱
  Subclass Hexasterophora 六放星亜綱

Hooper, J. N. A., R. W. M. Van Soest and A. Pisera. 2011. Phylum Porifera Grant, 1826. Pages 13–18 in Z. Q. Zhang, ed. Animal biodiversity: an outline of higher-level classification and survey of taxonomic richness. Zootaxa, 3148.
the Shape of Life: Sponges: Origins


おもな特徴
1)真の組織をもたない後生動物で,成体の体は不相称あるいは表面上は放射相称で,個体性は不明瞭.
2)細胞は全能性(totipotency) をもち,再生力に富む.
3)成体は固着性の懸濁物食者(suspension feeder).
4)自由遊泳性の幼生は,通常は卵黄栄養性.
5)外側および内側の細胞層は,基底膜(basement membrane:上皮とその下にある結合組織との間にある薄膜)をもたない.
6)上皮を構成する扁平細胞の外層と胃溝層の中間には中膠(ちゅうこう mesohyl,あるいは間充ゲル mesoglea)があり,遊走性の細胞や骨片(spicule)などを含む.
7)呼吸と摂餌に関係する水溝系(aquiferous system)をもつ.
8)神経を欠く.
9)骨格要素として,炭酸カルシウムや珪質からなる骨片やコラーゲン繊維(海綿繊維)をもつ.

水溝系(aquiferous system)
水溝系の構造は,アスコン型(ascon,1%未満の種),サイコン型(sycon)およびロイコン型(leucon,95%以上の種)の順に複雑になる.水流は海綿腔(spongocoel, atrium) あるいは襟細胞室(choanocyte chamber) に並んだ襟細胞(choanocyte) の鞭毛運動により生じ,小孔(ostium)から海綿溝に流れ,大孔(osculum)から外部へ排出される.食物はおもに襟細胞によって取り込まれ細胞内消化されるが,Asbestopluma には肉食性の種も知られている.

細胞の種類
アメーバ細胞(amebocyte),襟細胞(choanocyte),扁平細胞(pinacocyte),小孔細胞(porocyte)など.

*襟細胞の役割:水溝系の水流を起こす;微生物や有機懸濁物の補足;酸素の取り込み;老廃物の排出;生殖に関係(精子を作る,卵母細胞に変化する)

生殖と発生
1)無性生殖は出芽:外部出芽と内部出芽(芽球を形成).*出芽 budding,芽球 gemmule
2)有性生殖は雌雄同体または異体.胎生種が多いが,卵生種も知られる.
3)発生様式は多様で,石灰海綿のケツボカイメンでは胞胚の裏返りが見られる.
4)石灰海綿類の中空幼生(アンフィブラスツラ amphiblastula),六放海綿類と普通海綿類は中実幼生(パレンキメラ parenchymella)が知られる.

他の生物との関係
1)海綿動物が作る空間と水流を利用する片利共生(例えば,魚類,甲殻類,貝類,多毛類,クモヒトデ類,ナマコ類など).
2)バクテリアや藻類との相利共生
(1)中膠に大量のバクテリアを含み,その食菌作用を利用.
(2)表層近くにシアノバクテリアや褐虫藻類を含み,その代謝産物を利用(他に紅藻類,糸状緑藻類や珪藻類とも共生).
(3)造礁サンゴ類や貝類などへの生物侵食(bioerosion).

系統進化
 近年の分子系統解析を総合すると,普通海綿綱と六放海綿綱は姉妹群関係にあるが,その単系統群と石灰海綿綱,これまで普通海綿綱の1亜鋼とされた同骨海綿亜鋼(Homoscleromorpha)との3グループの類縁関係はまだ未解決のようである(Erpenbeck and Wörheide, 2007) .

*最近の研究
海綿動物におけるAntennapediaクラス遺伝子の進化(ネーチャー,和文要約)」 2014年10月30日 Nature 514, 7524 new!
Erpenbeck, D. and G. Wörheide (2007) On the molecular phylogeny of sponges (Porifera). Zootaxa, 1668: 107–126.
*2007年までの海綿動物に関する分子系統解析に関する論文がまとめられている.

Srivastava, M. et al.(2010) The Amphimedon queenslandica genome and the evolution of animal complexity. Nature, 466: 720–727.

参考文献
Brusca, R.C. and G.J. Brusca. (2003) Invertebrates, 2nd ed. Sinauer Associates, Inc., Publishers, 936 pp.
奥谷喬司・武田正倫・今福道夫 編(1997)「日本動物大百科第7巻 無脊椎動物」平凡社.
白山義久 編(2000)「バイオディバーシティー・シリーズ5 無脊椎動物の多様性と系統(節足動物を除く)」裳華房.
Vacelet, J. and E. Duport. 2004. Prey capture and digestion in the carnivorous sponge Asbestopluma hypogea (Porifera: Demospongiae). Zoomorphology, 123: 179–190.

Sponges! Jonathan Bird's blue world
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The Wrord Porifera Databse 現在 8,764有効種
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