浅川日記・ボジョルノ・ニーノ(12月26日:自分の研究紹介編)
ボンジョールノ。
日記の出版をするって連絡があって、なんか少しモティベーションが上がった。長い時には2時間かけてこれを書いてますからね・・・。もちろん、振り返りのためというのが第一で、読んでくれる人が楽しんでくれているかもしれないという期待感も僕のモティベーション。
自分の現在の研究テーマは、コミュニティ空間として複数の役割や機能を持っているであろう日曜市を持続するために、まず出店者さんの出店動機を明らかにすること。ここに第二段階として、政策的に何がサポートとして適当なのかを考えてみたいと思っている。変なテーマなのかもしれないけど、僕は考えるのが楽しいから僕にとってはいいテーマ。
もともとはワークモティベーションに興味を持ったのがきっかけだった。大学に入ると、みんな将来、~っていう仕事をしたいとか、公務員になりたいって言っている人が結構多くて、気持ち悪かった。
なんでみんな働きたいんだろう?
自分にはまだ社会に出て働く力はないと思うし、まだまだ働くということをしたいとも思わない。もちろんそういう力は会社が育ててくれるんだろうけど・・・。
だいたい就活とかの本を見て、質問事項例として、よくある「あなたはこの会社で何をしたいですか?」とか「どうなりたいですか?」って
いやいや、会社さん!
それより僕に「何を期待して入ってほしいんですか?」「30年後に僕にどうなっててほしいんですか?」って逆に聞きたい。そういう会社があれば入ってみたいし、働きたいかもしれないですね。就活用にきれいなお辞儀の角度とかを練習して、かばん、スーツに髪型がきれいだと何になるの?っていうのが正直本心ですね。
まぁ愚痴はいいとして、僕は金を稼ぐために働くというならば、納得ができる。でもその働き方はもったいないよーって大人は言ってくる。大学の先生とか。鈴木先生とか。なんたって仕事は自分の起きている時間(というか人生)の大部分を費やす。家族との時間や趣味の時間の何倍も働かなきゃいけないですもん。
もったいない。←納得しました。
だからなんか、お金を稼ぐためだけに働くって、なんか変な感じ。
「あなたは何のために働くのですか?」僕はお金だけではない何かがあるんだろうと思った。それが何なのか、答えを知りたいんだと思う。家族のため?会社のため?社会のため?自分のため?なんで働くの??どうして働き続けられるの?
大学1年のときに入った日曜市の出店者はお金を第一で働いているとは思えなかった。出店1回で1万円以下の収入という人が25パーセント。自分の労働や、肥料代、種代。それに出店料。アルバイトをした方がずっと稼げると思った。
僕ははっきりとお金だけではなく違うモティベーションで働いている人がいるんだということを実感した。そしてここが生き生きしていると思った。そういう衝撃を初めて肌で感じたのが日曜市だった。もっと日曜市を知りたい、関わってみたい。これがSMSという学生団体を作ったモティベーション。
うそ。
かわいい女の子が多かったから、頑張って日曜市に行き続けたというのが、僕のモティベーション。
なんて不純。
それでも、そんな女の子と一緒に活動できるというインセンティブは僕を動かした。
そんなちょっとした要素やきっかけで人間って変わるし、変えられる。そんな存在だと思う。人間ってホントに人それぞれモティベーションも違うし、調べたってそんなに一般的に通用する理論があるとは思わないけど、やっぱり興味がある。
今日はウディネの街で長年、家族で肉屋をやっていたマリアさんという81歳のおばあちゃんのお家でお話を聞かせてもらった。マーケットで、1920年代から家族で、鳥を飼育し販売していたということです。多くの富をもたらしましたが、それがスーパーマーケットの登場や、人々のライフスタイルの変化により、続けていくことができなくなり、お店をやめてしまったとのことでした。
この一連の流れは、結構イタリアで多いパターンとのことでした。
ちなみに日本のように、イタリアにもナチスドイツの占領や戦争という暗い過去があり、そういう時代をマーケットとともに生き抜いてきたおばあちゃんなのである。とても熱く語ってくれた。興味深いお話を伺うことができた90分であった。
あ、1950年代から1970年代にかけての時代の変化というのはキーワードになりそう。
自分の一番の興味である、非経済的なインセンティブ。今は、やめてしまったけどホントは続けたかったとおっしゃっていた。なんで?って聞いたら・・・
『自分は肉屋という仕事にプライドを持っていたし、何よりもお客とのコミュニケーションが自分を生き生きとさせてくれた』ということでした。
このヒアリング結果は日曜市で、調査した内容と全く同じだった。ちょっとびっくりした。イタリアでも日本でも同じなんだーって。だから今の日曜市はそういう環境を乗り越えられた、貴重な場なのかもしれないです。もっと日曜市と、こちらでの市場の歴史や人の移り変わりを勉強してきます。
いや~、ホントに色々考えさせられる今日この頃。イタリアには公衆トイレなくて危なかった今日この頃。そして街の中を散策して、道に迷う。いつものこと。
携帯の電池が切れて途方に暮れる・・・。
人とコミュニケーションをとるのは苦手だけど、こういうときは人に話しかけられる。
帰りたい!っていう気持ち、モティベーションは僕を相当動かす。レオナルドダヴィンチ通りに行かなきゃいけないのに間違って、ガリレオガリレイ通りに来てしまった・・・。ややこしい。
散歩をしているおじさんに話しかけ、家まで送ってもらった。人間ちょっとしたきっかけで変わる。こんなちょっとしたきっかけをコミュニティに与えられる人間になりたい。
ちなみにこの後農家レストランを家族で経営している方のお店に食事+ヒアリングをしに行ったのですが、長くなったので、また明日の日記に追加する形で書きます