公開日 2023年1月10日
医学部生理学講座(循環制御学)の戸高寛助教が、第74回日本生理学会中国四国地方会において奨励賞を受賞しました。同賞は、発表された演題のうち、特に優れた2題に贈られるものです。
現代の超高齢社会において、骨格筋量減少の問題を抱える高齢者数は増加の一途を辿っており、骨格筋の恒常性維持を目的とした新たな治療法の開発が強く求められています。
戸高助教らは、これまでに、認知症治療薬ドネペジルが骨格筋の再生を促進することを見出しています(Todaka et al., Eur. J. Pharmacol., 2021)。しかし、その分子機序は明らかになっていませんでした。
今回の研究では、ドネペジルと親和性の高いSigma1受容体に着目し、ドネペジルがSigma1受容体を介して筋調節因子の発現を増加させることで筋の再生を促進することを明らかにしました。
これらの成果により、ドネペジルが骨格筋量減少に対する新規治療薬となり得る可能性が示されました。
<演題> 認知症治療薬ドネペジルはSigma1受容体を介して筋調節因子の発現を増加させることで筋再生を促進する