◆設備サポート戦略室林芳弘技術専門職員、病理診断科山本由美子客員講師らの研究グループの研究成果が、医学ジャーナル『Medical Molecular Morphology』に掲載されました

2023年8月24日

「ファシン」が肝がん細胞の遊走・転移に必要な細胞突起形成と形状に重要な役割を果たしていることを明らかに

 

 設備サポート戦略室の林芳弘技術専門職員、病理診断科の山本由美子客員講師及び病理学講座の村上一郎教授の研究グループの研究成果が、医学ジャーナル『Medical Molecular Morphology』の電子版に2023年8月1日付けで公開されました。

 わが国では、抗ウイルス治療の進歩や新規感染者の減少により、B型・C型肝炎ウイルス感染による肝がんは減少傾向にあります。しかし、最近では、肝炎ウイルス感染を伴わない肥満・糖尿病といったメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の肝病変である「非アルコール性脂肪肝炎」を背景に非ウイルス性肝がんの増加が注目されています。

 本研究グループは、細胞移動や形態変化に重要なタンパクであり、アクチン線維を束ねる機能を持つ「ファシン」に注目しました。遺伝子工学を用いた培養細胞解析や低真空走査型電子顕微鏡(LV-SEM)による形態観察法を駆使した結果、「ファシン」は、細胞遊走に必要な細胞突起形成に重要な役割を果たしていること、さらに、「ファシン」が減少すると糸状の細胞突起が球状に変化することを突き止めました。

 「ファシン」は、肝がんに限らず、いろいろながんの転移に関わるタンパクとして注目されていますが、その働きには、多くの謎があります。この研究の成果により、「ファシン」が細胞移動や細胞突起の形態に与える機能が明らかになり、今後、肝がんの転移を抑制する薬剤開発に大きく貢献できることが期待されます。

 

<論文名> Micromorphological observation of HLE cells under knockdown of Fascinusing LV‑SEM

<和 訳> LV-SEM(低真空走査電子顕微鏡)によるファシンをノックダウンしたHLE細胞の微細形態観察

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