高知大学医学部遺伝子機能解析学教室

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研究&教育内容紹介

*研究紹介


DNAを鋳型としたmRNAの合成反応(転写)は、RNAポリメラーゼII(Pol II)という酵素によって触媒されますが、この反応は開始、伸長、終結の3つのステップから成ります。転写の開始反応が遺伝子発現における主要な制御段階であることは以前から知られていましたが、最近これに続く伸長段階も、反応が途中で非常に停止し易い(実にゲノム上の1/3の遺伝子で転写開始直後にPol IIの停止が起こっている)こと、巨大な遺伝子(例えばDystrophin)では全長の転写に一日近くもの時間がかかることなどから、重要な制御の場であることが認識されてきました。これまでに、この段階を正または負に制御する転写伸長因子が10個以上単離されていますが、そのうちのいくつかは癌をはじめとする病気の発症と密接に関連することが明らかとなり、転写伸長因子病という疾患概念が産まれています。
  私達もこれまでにTFIIF、Elongin Aなど、4つの転写伸長因子を単離して解析を行なってきました (Nature 1992, Science 1995, JBC 2000, 2002)。最近Elongin Aのホモ欠失マウスを作製しましたが、Elongin A-/-胎仔由来の細胞ではアポトーシス亢進や早期細胞老化が認められ、Elongin Aがストレス耐性に関与することが明らかとなりました(Cell Death Differ. 2007)。また、Elongin AがElongin BCに加えてCul5、Rbx2とも結合して複合体を形成し、Pol IIを標的とするユビキチンリガーゼ(E3)としても機能することを発見しました(EMBO J. 2008, F1000 Biology)。さらに最近、Elongin Aが神経堤細胞からの感覚神経への分化を指令する転写制御因子の発現応答に関与することが明らかとなり、脳、脊髄における感覚神経系の形成にも重要な役割を演じていることが判明しました(Cell Reports 2012)。

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*教育内容


*学部教育*

【遺伝子医学】

1)ゲノムを学ぶ
ゲノム,トランスクリプトーム,プロテオーム、DNA研究法、ゲノム地図の作成、ゲノム配列の解析、ゲノム配列を理解する、ゲノムがどのようにして機能するかを理解する

2)ゲノム解剖学
真核生物ゲノム、原核生物ゲノムと真核生物の細胞小器官ゲノム、ウイルスゲノムと動く遺伝子

3)ゲノムの機能
ゲノムへの接近、転写開始複合体の形成、RNAの合成とプロセシング、プロテオームの合成とプロセシング、ゲノム機能の調節

4)ゲノムの複製と進化
ゲノム複製、変異とDNA修復、組換え、ゲノムの進化


【遺伝子医学実習】
(1) マウス肝臓からの染色体DNAとタンパク質の調製
(2) タンパク質の定量とSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動
(3) DNAの制限酵素による切断とアガロースゲル電気泳動(RFLP解析)
(4) PCR法による遺伝子型の判定
(5) プラスミドDNAによる大腸菌の形質転換

*大学院教育*

【医科学専攻修士課程】
 
分子から見た医学と医療

【医学系研究科博士課程】
 
転写制御機構と発癌、基礎分子生物学実験法

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