放射線治療は、現代の医療技術分野の急速な進歩の恩恵を受けている医療分野の一つです。当科では、放射線治療のエキスパートである放射線治療専門医が、CT、MRI、PET画像といった最新の画像情報を元にして、放射線治療計画装置を駆使して患者さんにとって最適の放射線治療計画を作成します。
　放射線治療は多種のがんに対して適応があります。また、頭部、頸部、胸部、腹部、骨盤部、四肢と体のほとんどの箇所のがんの治療に用いられています。そのため各診療科の医師と、カンファレンスなどを通して意思疎通を図りながら治療を行っています。また、がんだけでなく甲状腺眼症、ケロイド、血管腫、脳動静脈奇形といった良性疾患の治療も行っています。

設備：外部放射線治療装置（LINAC）2台
　　　遠隔操作式小線源治療装（RALS）1台
　　　密封小線源治療システム 1台

　現在当院では2台のライナックと呼ばれる外部放射線治療装置、1台の遠隔操作式小線源治療装置（RALS）、そして前立腺がん密封小線源治療システムを用いて治療を行っています。
　ライナックでは従来の放射線治療に加えて最先端の高精度な放射線治療も積極的に行っています。その一つが『強度変調放射線療法（IMRT）』と呼ばれるものです。この方法により、腫瘍に高線量の放射線を投与しつつ、近接する正常組織への線量を低く抑えることが可能となりました。そのため、治療効果を高めながら、従来よりも放射線による副作用を軽減することが可能となりました。また、『定位放射線照射』も積極的に行っています。これは脳腫瘍、転移性脳腫瘍、脳動静脈奇形、肺がん、肝がんに対してピンポイントに放射線を投与する方法です。一度に高線量の放射線を投与できるため、高い治療効果を得られる上に治療期間も短いという利点があります。
　RALSでは主に前立腺がん（『高線量率組織内照射』）と子宮頸がん（『腔内照射』）に対する治療を行っています。特に、前立腺がんに対しては、当院では1日のみの照射で治療が終了できるようになっており、良好な治療成績を維持しながら、患者さんの社会的、経済的負担の軽減にも取り組んでいます。早期の前立腺がんに対しては、密封小線源を直接前立腺内に埋め込む『前立腺がん密封小線源療法』も行っています。これも治療は数時間で済み、早期の社会復帰が可能という利点があります。