大学紹介

平成30年度 高知大学卒業式告辞

 本日、卒業の日を迎えられた皆さん、本日はご卒業、まことにおめでとうございます。
 保護者の皆さまには、感慨もひとしおのこととご推察いたします。
 心からお祝い申し上げます。
 また、ご多用のところ、ご列席賜りましたご来賓、関係者の皆さまに対しまして、高知大学を代表してお礼申し上げます。

 皆さんは、本日の卒業式後に、就職、進学、などそれぞれの道に向かって歩き出していかれるわけですが、現在から将来にわたって、社会の中でイノベーションの担い手になる可能性を秘めていることを忘れないでください。30年先の職業はガラリと様変わりしているといわれています。未来がよく見通せない、おそらく、世界中のすべての人が同じ思いを持っているのではないかと思います。しかし、次代の担い手は、皆さんたち若い世代であることは間違いありません。

 日本のノーベル賞ともいわれるJapan Prizeを受賞された吉野彰先生が、昨年末に本学で講演をしてくださいました。吉野先生は、従来の電池の概念をガラリと変えた、スマートフォンなどに使われている軽量で多容量のリチウムイオン電池、すなわちLithium Ion Battery(LIB)を開発された方です。この電池が話題になり始めた当時は、LIBは専門技術用語として用いられる程度でありましたが、今では、業界ではごく普通に用いられる言葉になっています。このような言葉のことを、バズワードといいます。現在普通に使われている、AIやIoTなどもバズワードにあたります。

 吉野先生は、イノベーションとは世界を変えること、言い換えれば、ある新しい技術や概念が世界中で共有される言葉になった時、初めてそれをイノベーションと呼ぶ、という定義をしていらっしゃいました。15年ほど前にノーベル賞を受賞された田中耕一先生は、イノベーションとは新しい結合であり、新しい解釈であり、気楽に、簡単に取り組めばよいという趣旨の発言をされておられます。

 イノベーションという言葉の響きはなんだか素晴らしいことのように思えるかもしれませんが、実際には、優れた発想や着想と、それを成し遂げるための地道な努力の積み重ねによって生み出されるものです。魔法の言葉でも、夢のような言葉でもありません。ごくごく日常的に私たちの周りに見られる現象が、世界中に普遍的に広がった時、イノベーションとして認識されるようになるのです。

 皆さんも、常に世界に向かって感性のアンテナを張り巡らせていてください。皆さん自身が画期的なイノベーションを創りだす人になるかもしれませんし、世界のイノベーションの一翼を担いながらも、さらにその上をいく優れたイノベーションを創造する人になるかもしれません。

 イノベーションを語るときに、決して忘れてはならないことがあります。それは、イノベーションを創りだすのが人間であるのと同時に、人間としての心を通わせることを忘れないでいただきたい。このことは、厳に、肝に銘じておいてほしいと思います。

 今から5年後、10年後、20年後、30年後の自分の未来の姿を想像することは容易ではないと思いますが、皆さんには着実に足元を固めつつ未来の姿を描き続けてほしいと思います。今日が、その新しい一歩を踏み出す日です。

卒業、おめでとう。


平成31年3月22日
高知大学 学長 櫻井克年

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