2021年年頭の挨拶 

　みなさん明けましておめでとうございます。

　本年もよろしくお願いいたします。

　今年の仕事始めの会は、昨年中にかなり慣れ親しんだオンラインによる配信形式となりました。新しい年を迎え、希望を抱いて対面するという形式がとれず、少し残念ですが、今年もまずは三密の自粛からのスタートです。皆で、乗り切るしかありません。

　コロナウイルスの感染が、終息の見込みもなく世界中で拡大を続ける中、高知大学としても、さまざまな対策を講じつつ、教職員が力を合わせて教育・研究・地域貢献に励んでいます。困難な中でも、学生・教職員のウイルス感染による大規模なクラスターが発現することなくここまで歩み続けてこられたのは、みなさまの努力と忍耐のたまものであると、深く感謝申し上げます。

　高知大学では現在、国立大学法人としての第4期中期目標・計画の策定に先立ち、Grand Design 2030を定めるべく、「大学改革実施検討本部」（本部長：理事（総務・財務・企画担当））を設置し、主な検討課題ごとに7つの作業部会を置き検討を行っています。その基本的な観点は、次の5つです。

１．18歳中心主義から脱却し、県民が皆「高知大学生」に応える大学教育への転換

２．高知大学の強みを生かし国際通用性と地域貢献性を兼ね備えた研究の推進

３．教育研究の国際化を通じ、地方から世界に繋がる希望者全員留学の実現

４．地域連携プラットフォームを通じ、地域イノベーション創出の原動力に

５．地域のステークホルダーの評価を踏まえた戦略的な経営や組織改革を展開

　これらの5つの方向性の集大成が、本学における第4期の事業推進のビジョンとなるものと考えています。

　さて、ここで、Super Regional University (SRU)の目指すところについて、SDGsとの関連から整理をしてみたいと思います。

　高知大学は地域にある総合大学です。その意味から、国連によって提唱されている17の持続可能な開発目標は、教育、研究及び地域貢献に際して、本学教員がいずれかの目標にかかわりつつ活動しているものと予測していました。昨年度、研究担当理事の下、全教員の活動とSDGsの関連を調べてもらったところ、17すべての目標に何らかの関わりがあることが分かりました。その結果をまとめたのが、「Kochi University SDGs Action（高知大学 × SDGs | 高知大ポータル (kochi-u.ac.jp)）」です。いわば、SDGsというのは、高知大学が実施する活動すべての基にあるということになります。

　一方、高知にある大学としての高知大学の取り組みが、高知と密接にリンクしていることもまた重要な事実です。地域貢献という言葉は非常に広義に使われますが、高知大学の様々な活動が、高知という地域の様々な事象に大なり小なり関連していることが重要だと考えています。特に、本学教員の一人一人が、高知という地域との関わりをしっかりと意識しつつ、自らの教育・研究を推進することこそが、地域貢献につながるものであるということができると思います。いわば、高知大学と高知という地域は、一つの大きな生態系の中の構成要素であり、互いに影響しあいながらもバランスを保ちつつあるという事実が重要だと思います。それを、高知大学の構成員が共有することで、一人一人が生態系の一員であることを意識できるものと考えます。つまり、SRUとは、この生態系が成熟した先に見える景色であり、現在の高知大学の目指すべき方向性だと考えています。

　その実現に不可欠なのが、地域連携プラットフォームの形成です。地域の生態系の隅々までつながるための仕組みの一つです。そして、何よりも、皆さん一人一人のご協力と、ご活躍が重要です。よろしくお願いします。

　本学は、Super Regional Universityとなることを目標に掲げ、地域と一体的に、持続可能な社会の形成と発展に向けて切磋琢磨することを志しています。特に、SDGsの推進を重要な基盤に据えています。今後も、地域の国立大学法人として、多様な人々が学ぶ場を提供する、県民が皆「高知大学生」構想を通じて、地域と協働した教育・研究をより一層進化、深化させていきたいと思います。

　みなさま、この一年も、一緒に進んでください。よろしくお願いいたします。

2021年1月吉日

高知大学　学長　櫻井克年