大学紹介

令和6年度 入学式 告辞

 本日、高知大学に入学された皆さん、ご入学、誠におめでとうございます。ご列席のご来賓の皆さま、本学の理事、学部長をはじめとする高知大学教職員とともに、皆さんのご入学を心よりお祝い申し上げます。ご入学に至るまでの皆さんのご努力に、敬意を表しますと共に、皆さんをこれまで支えてこられました、ご家族や関係者の方々にお祝い申し上げます。

 

 さて、これから皆さんは、高知大学の学生となります。皆さんはこれまで、小学校から高等学校までの「学校」において、用意された問いに対して、用意された答えを導き出すことを目的に、既に出来上がった「知」を学んでこられました。一方、「大学」の学びは、「学校」での学びとまったく異なり、これまで誰も見たことのない「知」を生み出すことを目的とします。そのために必要とされる「知」を自ら主体的に身に付ける力、すなわち「学びの原動力」を養うことが、大学で学ぶ意義なのです。大学で学ぶ皆さんには、この意義を十分に理解し、既に出来上がった社会に順応するだけではなく、これからの社会や世界を牽引する、創造的なリーダーとなられることを大いに期待しています。

 

 皆さんが入学した高知大学は総合大学として、600人に及ぶ豊富な教員が、多様な学問分野を専門とし、常に未知への挑戦を続けている、知の集団です。この恵まれた知的環境をフルに活用し、自らの専門のみならず、幅広い「教養」を貪欲に身に付けてください。ご存じの通り、現代社会において人類は、新型コロナウイルス感染症や、国際社会の激変、さらにはネット社会におけるフェイクニュースの問題等、特定の専門分野だけでは、およそ対応できない、複合的な危機に直面しています。こうした状況を前にして、今ほど異なる学問間の連携が、求められている時代はありません。総合大学である本学の強みを活かし、この大学時代に「知の総合化」に積極的に挑み、様々な課題に直面した際の、判断の基準となる、知識とスキルの総体を獲得するよう励んで下さい。

 

 これから皆さんが切り拓いていく未来に対して、キーワードとなるのは「持続可能性」です。その持続可能性が、世界の中で、とりわけ脆弱になっているのが我が国、日本と言わざるを得ません。食料、資源、エネルギーの海外依存度が高いことに加えて、少子化、高齢化、地球温暖化と自然災害等、我が国の未来を左右する、強力な圧力が働いていることが、その背景にあります。国際社会における地殻変動や、グローバルな世界を生み出した「デジタル革命」を視野に入れながら、これらの圧力にどのように立ち向かっていくのかが、未来を切り開いていく上で、カギを握ります。一方、高知大学が所在する高知県は、日本全体が受けている、これらの圧力の縮図です。国内で最も顕著な人口の減少傾向や、全国平均を大きく上回る高齢化率、加えて甚大な被害をもたらす地震、風水害等の襲来が予想される、「課題先進地域」とも言われています。さらに、中国をはじめとするアジア諸国や、他の国々においても、同様の課題がそう遠くない将来に生じうることから、高知県は世界の持続可能性を考える上で、未来を先取りした、世界の最先端地域とみなすこともできるのです。この観点から、“Super Regional University (SRU)”を標榜する高知大学は、地域を支え、地域を変えることのできる「地域の中核大学」であると同時に、世界標準の研究力によって「地域と世界を繋ぎ、地域と世界を変えることができる大学」を目指してまいります。「地域」は「世界」とシームレスに繋がっていることを常に念頭において、大学での学びに励んで下さい。

 

 さて、皆さんが入学した高知大学は、この2024年に、創立75周年の節目を迎えます。本学はこれまでに、約6万人の学部卒業生、大学院修了生を輩出してきました。私たちのかけがえのない人的資産である卒業生、修了生は、国内の各地域や社会を支え、我が国の発展を支えてこられました。国境を越えてグローバルな立場で、各界のリーダーとして活躍しておられる方々も、大勢いらっしゃいます。高知大学の前身は、今から102年前に開設された、旧制高知高等学校です。初代校長・江部淳夫先生は、その第1回目の入学式式辞において、開口一番、「感激あれ若人、感激なき人生は空虚なり」と述べられました。旧制高校1期生の心に突き刺さる、とても熱いメッセージであったと語り継がれています。私たちは、旧制高知高等学校から受け継がれるこの精神を、本日、高知大学に入学された皆さんに、しっかりと継承していきたいと考えています。そして、「感激」を味わうための基盤となる、豊富で深い人間関係を醸成していけるよう、全力を挙げて、皆さんの大学生活をサポートしてまいります。本日入学された皆さんが、VUCAの時代と言われる先行きの見通せない未来を創造していく中核人材として、立派に成長されることを期待し、学長告辞と致します。

 

 ご入学おめでとうございます。

 

 

令和六年四月三日

高知大学 学長 受田浩之

 

 

(参考文献)
1.安西祐一郎「教育の未来 変革の世紀を生き抜くために」(中公新書、2022年)
2.山際寿一「京大というジャングルでゴリラ学者が考えたこと」(朝日新書、2021年)
3.石井洋二郎「東京大学の式辞 歴代総長の贈る言葉」(新潮新書、2023年)
 

 

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