総合科学系複合領域科学部門 三浦収准教授らの巻貝ホソウミニナへの津波の影響に関する研究成果が、Nature系科学誌「Scientific Reports」に掲載されました。

2017年3月13日

 本学総合科学系複合領域科学部門 三浦収准教授が参加する高知大学・東北大学・国立環境研究所・日本大学・東京大学の合同研究チームは、海岸に生息する巻貝ホソウミニナ(注1)への津波の影響を約10年間にわたり調査しました。その結果、仙台湾周辺の6つの干潟において、ホソウミニナの大多数が津波で死滅したにも関わらず、遺伝的な多様性には大きな変化がなかったことを突き止めました。遺伝的多様性(注2)は、生物の種が長期間存続していく上で欠かすことができない重要な要素です。こうした結果は、ホソウミニナが、大津波のような自然災害に対して高い頑強性を持つことを示しています。
 巨大津波が海岸動物の個体群構造(生息密度や体のサイズ)と遺伝的多様性に及ぼした影響を、震災前後のデータを比較して解き明かした研究は世界で初めてです。本研究成果は、2017年3月10日付で英国のNature系科学誌Scientific Reports電子版に掲載されました。

 

論文名:Ecological and genetic impact of the 2011 Tohoku Earthquake Tsunami on intertidal mud snails.

 

著者名:Miura, O., Kanaya, G., Nakai, S., Itoh, H., Chiba, S., Makino, W., Nishimura, T., Kojima, S. and Urabe, J.


雑誌名:Scientific Reports(2017年3月10日版)
http://www.nature.com/articles/srep44375

 

海辺の生物も津波に「負げねぞ!」-海産巻貝ホソウミニナでの研究成果(607KBytes)

 

(注1)ホソウミニナBatillaria attramentaria(=B. cumingi)・・・日本国内では北海道から九州までの干潟に分布するウミニナ科の巻き貝。干潟上に高密度で生息する普通種。浮遊幼生期を持たない直達発生の巻き貝であり、日本各地で遺伝的な分化がすすんでいる。

 

(注2)遺伝的多様性・・・集団または種がどれだけ豊富な遺伝子の「型」を保有しているのかを表す指標。

 

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