◆設備サポート戦略室の林芳弘技術職員が、日本臨床分子形態学会の令和5年度論文賞を受賞しました

2023年10月26日

 「フィブロネクチン」はラット肝芽細胞(肝幹細胞)のファシン(細胞遊走に関与)発現を維持することを見い出し、「フィブロネクチン」がヒトがん細胞転移を制御する可能性を明らかに

 

 設備サポート戦略室の林芳弘技術職員が、日本臨床分子形態学会の令和5年度論文賞を受賞しました。

 本賞は、学会機関誌『Medical Molecular Morphology』に掲載された前年度発行の論文の中から、学会賞審査委員会及び理事会が学術上または技術上特に優秀と認めたものを年1回論文賞として表彰するものです。

 腫瘍治療において、ファシン(※1)とフィブロネクチン(※2)の両タンパク質は腫瘍細胞の遊走と転移に重要な役割を果たすことが知られています。

 林技術専門職員らは以前の研究で、ファシンがラット肝芽細胞(※3)の遊走・浸潤時に一過性発現すること及びヒト肝癌細胞の遊走と転移に関わるタンパク質であることを明らかにしていました。本研究ではファシンの発現時に焦点を絞り、通常の培地で培養したラット肝芽細胞(肝臓から取り出した)のファシン発現期間に比べ、フィブロネクチンを含む培地で培養した肝芽細胞のファシン発現期間が、より持続することを発見しました。

 これらの研究成果は今後、ファシン及びフィブロネクチンを活用した新たな分子標的薬の開発などに大きく貢献できることが期待できます。

 なお、本論文の図(培養細胞の透過型電子顕微鏡像)は、2022年6月発行の本誌の表紙(Cover Image)に採用されました。

 

日本臨床分子形態表彰状.png

<論文名> Fascin expression persists with fibronectin in embryonic rat hepatoblasts.

<和 訳> フィブロネクチンは、ラット胎仔の肝芽細胞(肝幹細胞)のファシン発現を持続させる

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(※1)ファシン:細胞の骨組みの1つであるアクチンを束ねるタンパク質です。細胞の移動に重要な糸状仮足(偽足)や膜状仮足の形成に関与し、細胞の接着・移動を制御しています。

(※2)フィブロネクチン:細胞表面に存在し「細胞の足場」を形成する細胞外基質タンパク質で、細胞の形態変化や遊走・浸潤に大きな役割を演じています。

(※3)肝芽細胞:腸管の一部が突出した未熟な肝細胞(肝幹・前駆細胞)で、高い増殖能をもち、肝細胞と胆管上皮細胞に分化する能力をもっています。

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