研究活動

脊椎・脊髄

臨床

脊椎班は喜安克仁先生をセンター長とした脊椎脊髄センターを基幹とし臨床、研究、教育を行っている。臨床では内視鏡下、顕微鏡下手術や経皮的手術などの低侵襲手術から脊椎脊髄腫瘍、特発性側弯症や成人脊柱変形手術などの大きな侵襲の手術まで広い範囲の治療を行っている。脊髄腫瘍などの脊髄疾患症例は脳神経外科との合同カンファレンスを行い、合同での手術を行っている。

手術方法では、過去に開発された方法を改良発展させてきた。腰椎椎体間固定材料のPLIF用のチタンファイバーメッシュブロック(TFMB)をブーメラン型スペーサーに形状を改良し、TLIFでの椎体間固定として使用している。腰椎分離症終末期に対する分離修復術ではチタンワイヤーを2重にするペディクルスクリューダブルワイヤー法に改良した。また腰椎分離症初期症例に対して経皮的にheadless compression screwを刺入するCBT分離部固定術を開発し、良好な骨癒合率と早期競技復帰が可能となった。リン酸カルシウム骨ペースト(HOYA社製)の椎体骨折後骨癒合不全への椎体内注入法を、後壁や椎体椎間板が破綻している症例に対して椎間板を含めた大きなスペースへの充填を行い、後方からのみの手術で脊柱前方再建を低侵襲に行っている。加えて椎体形成術を行うときの可動性フレーム(Spinopelvic Realignment Frame)を開発した。このフレームによって手術体位で椎体高を整復したり腰椎前弯を形成したりできるようにした。

  • Spinopelvic Realiignment Frameの開発

研究

TFMBを使用したTLIFの成績や、腰椎分離修復術、CPCの治療成績など、臨床成績を研究し報告してきた。また術中ステロイドの硬膜外注入による術後鎮痛効果を前向き研究で行い、術後鎮痛効果を研究した。

電気生理学では、手術中操作の安全性を更に高めるために、特に脊柱側弯症手術や脊椎脊髄腫瘍、後縦靭帯骨化症手術を中心として経頭蓋運動誘発電位による術中モニタリングを行い、脊髄モニタリングWGに参加し、症例検討や研究を行なっている。さらに経頭蓋運動誘発電位による波形をより安定したものとするために刺激方法をsingle-trainとmulti-train とで行い、術中波形の安定性を前向きに研究している。

頸椎疾患に対して神経根を超音波で計測し、疾患ごとの罹患神経根径を比較調査している。神経根症に対しては超音波を使用した頸椎神経根ブロックを行ない、ブロック効果と神経根径の変化を調べている。

最後に高知大学、幡多けんみん病院、くぼかわ病院の高知県内3施設で毎月webでの話し合いを行い、それぞれの施設の症例を集積し、臨床研究、学会発表を行っている。今後、参加施設数を増やして多施設研究に取り組む予定である。

経皮的CBT分離部固定術