患者の皆様へ

代表的疾患 骨軟部腫瘍

骨軟部腫瘍

骨軟部腫瘍とは、骨組織から発生した腫瘍(骨腫瘍)、および、軟部組織(脂肪、筋肉、神経、血管など)から発生した腫瘍(軟部腫瘍)の総称です。そのため、体のさまざまな部位に発生しますが、整形外科では、主に頚部から下の運動器領域に発生した腫瘍を担当しています。それ以外の領域に発生した場合でも他の診療科と連携を取りながら担当する場合があります。


骨軟部腫瘍は、腫瘍が骨組織や軟部組織から発生したものを原発性骨軟部腫瘍組織と言い、良性と悪性に分類されて治療されます。良性のものには、良性腫瘍と腫瘍類似病変があります。良性腫瘍とは、腫瘍の周囲へ腫瘍細胞が拡がること(浸潤や播種)や腫瘍から離れた部位へ飛んでいくこと(転移)はほとんどない腫瘍のことです。腫瘍類似病変とは、真の腫瘍ではありませんが、成長期に発生して骨折や痛み等の症状を生じることのある疾患です。一方、悪性腫瘍とは、腫瘍の周囲への浸潤・播種や転移を生じうる腫瘍のことを言います。一般的に、骨組織や軟部組織から発生した悪性腫瘍は肉腫と呼ばれ、骨組織の肉腫として代表的なものは、骨肉腫、軟骨肉腫、脊索腫、ユーイング肉腫などがあり、軟部組織の肉腫としては、脂肪肉腫、悪性線維性組織球腫/未分化多形肉腫、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、滑膜肉腫、悪性末梢神経鞘腫瘍、血管肉腫など、さまざまな組織に分類されるため、総称して軟部肉腫と呼ばれることもあります。また、悪性腫瘍のうち、骨組織や軟部組織以外の臓器に発生した悪性腫瘍(例えば、肺がん、乳がん、消化器のがん、前立腺がんなど)が骨組織や軟部組織に転移した場合は、転移性骨軟部腫瘍として区別されます。肉腫(悪性の原発性骨軟部腫瘍)はがんに比べて発生頻度は非常に少なく、高知県の人口から推定しますと、1年間に10〜20数人程度しか発生しない稀な疾患です。

診断

骨腫瘍

まずレントゲン撮影で疾患の予測を行います。悪性腫瘍が疑われる場合や症状を伴う良性腫瘍の場合には、CTやMRIなどの追加検査を行います。

軟部腫瘍

レントゲンに追加して、エコー検査やMRI検査を行います。


いずれの腫瘍においても画像診断が困難な場合には、生検術により組織の一部を採取して病理組織診断を行い、治療方針を決定します。また、悪性腫瘍の場合には、核医学的検査を追加することがあります。

診断は、身体所見、画像検査、病理組織学検査が重要で、診断に難渋する場合は、放射線診断医、病理診断医、他の骨軟部腫瘍専門医と相談しながら診断を行います。

治療法

良性骨軟部腫瘍切除術(入院期間 : 約1週間)

切除後に再建術が必要な場合には、さらに数週間の入院が必要になります。

悪性骨軟部腫瘍広範切除術(入院期間 : 約2-3週間)

切除後に再建術が必要な場合には、さらに数週間の入院が必要になります。

追加治療(抗がん剤や放射線治療など)が必要になる場合には、それぞれの治療に伴う入院期間が追加されます。

関連リンク

日本整形外科学会 骨軟部腫瘍相談コーナー