患者の皆様へ

代表的疾患 脊椎・脊髄

頚椎症性脊髄症

症状

背骨の中でも首の骨(頚椎)の中を走行している神経が加齢変性によって圧迫されて起こる疾患です。 手足のしびれや指の動かしにくさ、歩きにくさ(ふらつき)、筋力低下などが起こります。症状や麻痺が強いと手術の適応になります。

治療法

手術方法は、疾患や神経圧迫の状態に応じて椎弓形成術や後方除圧固定術、前方除圧固定術などの術式を選択しています。 術後は頚椎カラー固定などを併用する場合もあります。入院期間は約2週間です。

頚椎後縦靭帯骨化症

症状

頚椎の中を走行している神経が後縦靭帯骨化によって圧迫されておこる疾患です。症状や手術の適応の考え方は頚椎症性脊髄症と同様です。

治療法

高知大学整形外科では、術中神経障害の予防のため術中脊髄モニタリングを積極的に使用し、 脊椎instrumentation手術などスクリューなどを用いる場合は術中CTナビゲーションなどを用いてスクリューなど 脊椎instrumentの正確な設置に努め手術の安全性向上、手術成績向上に努めています。

代表的な手術の画像

  • 頚椎前方除圧固定術

    頚椎前方除圧固定術

  • 頚椎椎弓形成術

    頚椎椎弓形成術

腰部脊柱管狭窄症

症状

腰部脊柱管狭窄症は、背骨の中で腰骨(腰椎)の中を走行し、足に伸びていく神経が、腰骨の中(脊柱管)で圧迫される疾患です。これは加齢変化とともに起こります。症状は歩いていると足がしびれたり痛くなったり、重たくなったりします。

治療法

内服、リハビリ、ブロック注射でも改善しないときは手術を行っています。手術は神経の通り道を広げる手術(除圧術)を行います。さらに腰骨が不安定であったり、変性すべり症を伴っていたりするときは除圧術に腰骨を金属で固定する手術(固定術)を追加します。手術は可能な範囲で背筋を傷めない小侵襲手術を行っています。入院期間は約2週間、手術後はしばらくコルセットを装着して生活していただきます。当院で行っている脊椎手術で最も多い疾患です。

  • 腰部脊柱管狭窄症の術後

特発性側弯症

症状

思春期に背骨が曲がってくる疾患です。発生頻度は0.3~0.5%と言われており、特に女性に多いです。体幹のバランス異常以外の症状はあまりありません。

治療法

曲がりが小さいときは装具治療を行います。曲がりが大きくなると背中からの矯正手術を行います。入院期間は約2週間です。学生が多いので、夏休みなどの長期間休みを利用して手術することが多いです。

特発性側弯症
特発性側弯症

特発性側弯症と術後

腰椎分離症

症状

学生やスポーツ選手に起こる腰骨(特に第5腰椎)の疲労骨折で、腰痛が持続します。

治療法

骨折初期はコルセットや運動休止、ストレッチで骨癒合を試みます。疲労骨折の再発や骨癒合が得られず疼痛が続くときは、骨移植・スクリューやワイヤーでの修復を行います。これも入院期間は2週間以内です。術後はコルセット装着が必要です。

腰椎分離症
腰椎分離症

腰椎分離症と術後

腰椎椎間板ヘルニア

症状

20~40代の男性に多く、腰骨を構成している1つの椎間板の一部が脊柱管の中に飛び出すことで神経を刺激します。腰痛・下肢痛などの症状があります。

治療法

2~3か月の保存治療(内服、ブロック注射、リハビリ)で症状は軽減しますが、症状が続いたり改善しない場合は手術でヘルニアを摘出します。手術は直視下もしくは内視鏡を用います。入院期間は約1週間です。最近では、椎間板内に酵素を注入してヘルニアを小さくして神経への刺激を減らす方法もあります。こちらは1泊入院で翌日には自宅退院としています。

腰椎椎間板ヘルニア
腰椎椎間板ヘルニア

腰椎椎間板ヘルニアと術後

骨粗鬆症性椎体骨折

症状

中高年以降に骨粗鬆症が進んでくると発生してくる背骨の骨折です。転落や転倒以外でも、尻餅、ちょっとした物を持ち上げたなどの日常の些細な動作で起こることや原因がなく起こることもあります。

治療法

保存治療はコルセットを装着して生活していただきます。同時に骨粗鬆症の治療も行っています。痛みの持続・骨折が治癒しなかったり神経麻痺が発生したりすると手術を行います。当院では骨折した背骨にリン酸カルシウム骨セメント(CPC)を充填する手術を行っています。この手術は低侵襲で傷も小さく、ご高齢の方にも可能な手術です。最近では、ステントとセメントを骨折した背骨に設置・充填する手術もあります。いずれも入院期間は約2週間です。

骨粗鬆症性椎体骨折
骨粗鬆症性椎体骨折

骨粗鬆症性椎体骨折と術後