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麻酔科(麻酔・疼痛)

麻酔

麻酔科では、手術中の麻酔管理を中心に、手術前の身体機能チェックから手術後の全身管理までを主治医とチームを組んで行っています。

概 要

はじめに

痛みは、人の身体にとってさまざまな病気の一つの症状です。痛みがあることで、私たちの体には血圧上昇、心拍数増加、頻呼吸、内分泌系ストレス反応などの変化が起こってきます。また、日常生活において、痛みがあれば、眠ることができなくなり、食欲はなくなり、行動の意欲もなくなり、心配や不安が襲ってきます。痛みは人が自分らしい生活をおくることを妨げてしまいます。しかし、痛みが生じ、様々な病気などが見つかり、治療につながることもあります。痛みは、身体に迫ってくる危険を察知し、これを回避するという生体防御機構の一部であり、警報としての大切な役割を担っています。 痛みが強くなれば、痛みのため日常の生活に支障をきたします。痛みの原因を検査し、評価を行った上で、適切な痛みの治療を速やかに行うことがとても重要になります。麻酔科外来では、このような痛みに対応していきます。

痛み

  • 急性痛は、術後痛、外傷後の痛み、いわゆるぎっくり腰などの急性腰痛の多く、胆石発作や心筋梗塞など急性疾患に伴う痛みなどです。病状の安定、治癒など多くの場合、時間とともに軽減し消失します。診断後、ないし診断と並行して治療を行っていきます。術後痛などの疼痛管理は、術後合併症の予防、早期離床、入院期間の短縮、慢性痛への移行予防に効果がある可能性があります。
  • 非がん性慢性痛は、慢性腰痛、慢性頭痛、関節の痛みなどがあります。成人では30%程度が慢性痛に悩んでいると推測されています。痛みが長く続くことによってうつ状態になったり、仕事ができなくなったりなどの心理社会的な問題で苦しんでいる方がおられます。個人の生活の障害だけでなく、家族、社会に与える影響も大きいのが現状です。 中でも、中枢、脊髄、末梢神経において、神経に変性、断裂、損傷、虚血が生じたことによる神経障害性痛は、痛みの原因や元の病気が治っても、痛みが長期間続き、少しの刺激でも強い痛みを感じたり、天気の変化や、何もしていないのに痛みを感じることがあります。病態を把握したうえで、薬物療法、心理的介入、背景要因の整理などのうち何が最も必要かを判断することが重要となり、集学的なアプローチが必要になってきます。
  • がん性痛
    私たち人間は生老病死を避けて通ることはできません。3人に1人が、がんで死ぬといわれています。そのうちの60‐80%の人に痛みが生じます。がんは痛い病気と思っている方が多いと思います。しかし、それは適切な痛みの治療をうけていない場合です。適切な治療とはWHOのがん性痛治療の指針に沿った治療です。がん患者さんは痛み以外にも様々な症状で苦しむ方がおられます。痛みを含めた様々な症状を緩和することを目的とした医療(緩和医療)も次第に普及してきています。ペインクリニック外来では主として当科が作成した高知大学附属病院緩和ケアマニュアルに添ったケアを提供しています。

疾患例

  • 帯状疱疹の痛み
    子供のときに罹患した水痘(みずぼうそう)のウイルスが原因です。このウイルスは健康なときにも体内に持っているのですが、過労や風邪などで体の抵抗力が低下したときに発病します。初めに痛みが数日続く場合が多く、その後発疹が出現して、帯状疱疹と診断されます。大抵の場合は体の一側に、小さい水疱が神経に沿って帯状に現れます。発疹が数個のみの場合や、まれに発疹が見られない場合もあります。帯状疱疹と診断されたら、すぐに抗ウイルス薬の内服を1週間行います。皮疹は2~4週間のうちにカサブタとなり、カサブタがはがれ、色素沈着を残して治癒します。帯状疱疹は、ウイルスによって神経が損傷されるので、多くの場合、痛みを伴います。かゆみや刺すような痛み、ズキズキする痛みややけどのような痛み、しめつけられるような痛み、電気が走るような痛みの場合もあります。また、服や何かが触っただけでも痛みが誘発される場合もあります。激しい痛みのために、寝ることができなくなったり、痛みで目が覚めたりします。また、食欲もなくなり、不安や憂うつな気分になり、日常生活にも支障をきたすほどになります。この痛みは皮疹の治癒と共に軽減することが多いですが、なかには適切な治療を行わないとどんどん強くなる場合もあります。このような急性期の痛みに対して、内服薬を中心に治療を行い、必要であれば、神経ブロックによる治療を行います。神経ブロックは、痛みを起こしている神経に注射して局所麻酔薬を効かせることで痛みを和らげたり、血流を良くして神経の回復を促したりする効果があります。内服薬で十分に痛みがとれない場合に行います。

    ※神経ブロックは、脳梗塞や心臓・血管系の病気で抗血小板剤などを服用している場合は、
    一定期間中止してから行う要があります。

  • 帯状疱疹後神経痛
    帯状疱疹罹患後に痛みが続くものを帯状疱疹後神経痛と呼びます。治療は、内服薬が主体となります。抗うつ薬、抗てんかん薬などを使用します。痛みが長期に及ぶため、身体的には体を動かさないことによる痛みや関節の拘縮などもおきてきます。また、イライラ、不安や憂うつな気分が強くなるなど心理的にも辛い状態になります。このようになってくると、痛みをとることではなく、まず日常生活を改善することが治療の目的になります。

麻酔科外来での痛みの治療

痛みの治療法としては、薬物による治療、東洋医学的治療、リハビリテーション療法、心理療法などがあります。麻酔科外来ではこのような治療法を用いるほかに、必要であれば神経ブロックを用いることもあります。

<急性痛>

内服治療が中心。必要であれば、神経ブロックなど身体的な治療も行います。

<慢性痛>

痛みが慢性に続くことによって、先に述べた心理社会的な問題で苦しむ方がいます。通常の身体的治療だけでは、十分な効果が得られない場合があります。必要であれば、整形外科、リハビリ、麻酔科、精神科の医師と看護師、理学療法士といった各分野の専門のスタッフが集まり、治療方針を検討していきます。

※完全予約制です。