活動報告

  • 2017.12.11
  • 活動報告

病院経営に係るカリキュラムの作成のための意見交換及び施設見学として、ブラジル:南マットグロッソ連邦大学、ユニメッド大学を訪問しました。(2017.12.1〜12.11)

協定校の南マットグロッソ連邦大学UFMSを訪問し、UFMSが特別に用意してくれた病院経営プログラムに従って、連邦大学病院院長とそのスタッフ、民間保険Unimedが運営する病院の院長、民間公益法人が運営する地域中核病院Santa Casaの病院長、民間の公益法人が運営する癌専門病院Hospital do Cancerの病院長、州立地域病院の診療部長に話を聞いた。金・土に専門医が作る民間保険組合の運営する病院MBAコースを受講した。

南マットグロッソ連邦大学

連邦大学病院は、40の連邦大学病院の運営機関EBESERHを4年前に立ち上げ、病院経営について一括して管理している。EBESERHが中期計画を立て、それぞれの連邦大学病院は2年間の計画を立てている。これまでは、医師が病院長を務めていたが、学長の指名で経営学の教授が病院長に就任した。財務部長は公益法人の癌専門病院の院長を8月まで務めていた弁護士資格を持つMBA保持者で、滞在中の6日に州保健局長に就任することが決まった。医局長の病院経営チームは、特に病棟の在院日数などの指標を決め、カンバン方式で在院日数の管理をしている。この方式はサンパウロ州のUnicampというカンピーナスの大学の教授がトヨタ方式を参考に発案し、シリアレバノン病院の研究所で研究されてきた。シリアレバノンの研究所で学んだ医師がUFMSの病院経営チームに来ている。彼は数年前にカンポグランジに引っ越してきて、州立地域病院に院長として招かれた。2年前にUFMSの医師となり、病院経営を担当するようになった。

Unimedの病院経営MBAコース

Unimed会員の医師を主に対象とするコースだった。基本的なMBAの内容の入門編のような感じで、参加できたのは財務・会計Financeのところだった。貸借対照表の理解などの基本的な話から、キャッシュがやりくりできなくて倒産する病院があることを説明しながら、引当金の説明をしていた。財務に関連して、戦略についての説明もあり、SWOT分析により、地域での優位性や脅威について十分検討し、トップマネジメントのみではないメンバーでの経営計画のシュミレーションを行って、計画策定(この場合、予算をつくること)をすることが重要との説明があった。最近出来た、Unimedの病院のプランにも最初に携わっていたコンサルタントらしく、その話題になった途端、会場の参加者からコメントが殺到した。

土曜日も、一コマだけこのコースに参加した。予算のための試算について、演習をおこなった。眼科病院の設定で、手術件数による収入の変動、固定費、設備投資などの条件を元に、収支計算を行った。また、支払日と収入の入る日などの設定を元に、キャッシュフロー計算を行い、資金繰りの重要性を学んだ。講師との議論により、双方向で講義が進んでいるのは好ましいと思われた。経営を行っている医師が参加者の9割のようだが、こうした演習の場合、実務担当者らしき参加者が周りにもアドバイスしていて、参加者間の交流も好ましい雰囲気を作っていると思われた。