北西太平洋における表層水循環を特徴づける黒潮は地質時代に蛇行や流路南下を生じていた可能性が指摘されている.一方,南極底層水に由来するフィリピン海深層水はグローバルな環境変動とリンクして,その組成や水塊構造を変化させている.海洋の表層および深層におけるそれぞれの環境因子の時系列変動は,それぞれ独立して変化しているのか,それとも何らかのリンケージがあるのか,それら両者の挙動の実態と関係を明らかにするためには,北西太平洋から良質の海洋コアを組織的に採取し,総合的な古海洋変動解析を遂行する必要がある.
そこで本研究プロジェクトでは,新たに九州―パラオ海嶺における緯度トランセクト,伊豆ー小笠原ーマリアナ海嶺における深度トランセクトをそれぞれ設定し,地形・地層探査および表層堆積物とピストンコア試料を採取することを行う.それらの試料について,様々な環境指標(マルチプロキシー)を駆使して,高い時間解像度で分析・解析することによって,黒潮および南極底層水の時空間変動を解明し,グローバルスケールでの南極底層水の挙動と,北西太平洋アジアモンスーン域における黒潮変動との同期性や位相のズレ,変動パルスの発信メカニズム等を解析し,気候システム内における黒潮および南極底層水の挙動の実態および役割を解明する. |
マリオンデフレンヌ IMAGES WEPAMA:四国沖ジャイアントピストンコアの採取
白鳳丸 KH02-1:沖縄トラフコアリング
白鳳丸 KH02-4:四国沖深度トランセクトの表層堆積物
白鳳丸 KH04-2:九州ーパラオ海嶺コアリング |