高知大学が掲げる、人と環境が調和のとれた共生関係を保ちながら持続可能な社会の構築を志向する「環境・人類共生(環・人共生)」の精神を具現化するには、人間社会と自然環境の関わりの中で水やバイオマス等の物質循環系を解明・最適化する異分野横断型のアプローチが不可欠です。 また、一次産業・1.5次産業を基盤とする高知県において、地域再生のために持続的な「雇用創出」を産み出すには、第一に安全・高品質な食料を育む健全な環境を持続的に維持する必要があり、バイオマス・水・エネルギー循環を一体とする環境に配慮したゼロエミッションの地域循環型システムの確立が不可欠と考えられます。
このような背景を踏まえて、申請者らは高知大学自然科学系研究プロジェクト「地域再生に寄与する革新的な水・バイオマス循環システムの構築(平成22〜27年度)」および科学技術振興機構戦略的創造研究推進事業CREST「気候変動を考慮した農業地域の面的水管理・カスケード型資源循環システムの構築(平成21〜26年度)」を行ってきました。これらの研究により、農業地域で発生する廃水・廃棄物から価値ある製品を産み出す革新的なリサイクル技術(カスケード型資源循環システム)を開発するとともに、流域水環境管理のための各種水質浄化技術の開発、マングローブ域の炭素循環系の解明、赤潮を防ぐ環境の構築、木質バイオマスの有効利用等の研究を進めてきました。
本プロジェクトでは、上記の取り組みをさらに発展させ、高知大学を「革新的な水・バイオマス循環システム」の研究拠点へと発展させることを目的としています。具体的には、南国土佐を中心とした日本からアジアの発展途上国にかけての都市域、農村地域、沿岸地域という様々な地域社会を対象として、人間社会と自然環境の関わりの中での水・バイオマス等の物質循環系を明らかにします。さらに、環・人共生を実現するために必要な、各種の環境保全技術および水管理技術の開発を目的とします。
上記に示したこれまでの研究成果を基盤として、本研究では高知大学を「革新的な水・バイオマス循環システム」の構築を目指した研究拠点へと発展させることを目的とします。具体的には、将来の人口減少が確実な日本(高知)、および今後の経済発展と人口増加が想定されるアジアの発展途上国の対照的な2流域を対象として、都市域・農村地域・沿岸地域とそれら全体を含む流域全体での水・バイオマス循環を最適化する、以下の各種基礎研究および技術開発を行います。
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