青山 文 先生
皆さんこんにちは。現在、カリフォルニアは夏真っ盛りで、カラッと晴れた暑い日々が続いています。日本と違って湿気が少ないため、朝晩は秋のように涼しく快適ですが、日中の日差しは肌を刺すような強さを感じます。
さて、今回はセットアップ編、生活編に続き、研究生活についてご紹介させていただきます。
セットアップ編でも触れましたが、私は現在、スタンフォード大学医学部 精神医学・行動科学部門の篠崎元先生の研究室に所属し、「せん妄 (特に術後せん妄)」に特化した基礎研究を行っています。篠崎先生が開発された、せん妄特有の脳波を検出可能なモデルマウスを用いて、さまざまなせん妄予防介入法を脳波ベースで評価しています。
平日の基本的なスケジュールは、朝8時に出勤し、夕方6時頃に帰宅します。週に一度、研究室全体でのミーティング(ジャーナルクラブや研究進捗状況の共有)があり、英語で行われます。研究室には私のように日本からの留学生が多いですが、トルコからの研究者やスタンフォード大学卒業後に研究助手として勤務しているアメリカ人スタッフ、さらに医師を目指すスタンフォード大学の学生も在籍しています。
私は現在2人のスタンフォード大学生を指導する機会を得ています。彼らは年間を通じて研究室に在籍し、週に2回ほど一緒に研究をしています。留学当初から共に過ごしている学生もいて、今では心強い相棒のような存在です。せん妄脳波を測定するための脳波電極留置手術や、脳波の解析、また一日かがりの細胞分離実験などを一緒に実施しています。
また、スタンフォード大学では共同研究が盛んで、精神科や病理診断部門など他部門とのコラボレーションも頻繁に行っています。私自身もイギリス人(精神科所属で工学部出身の研究者)やイタリア人(病理科所属の女性研究者)と共同研究を進めています。ディスカッションを通じて、異なる文化的背景や考え方に触れることができ、毎回新鮮な刺激を受けています。
研究生活の第一目標はもちろん論文として成果を発表することですが、学会発表にも積極的に取り組んでいます。スタンフォード大学内でのポスター発表や、テネシー州ナッシュビルで開催された米国せん妄学会のシンポジウムセッションでは、他部門の研究責任者(PI)や、日本にいる頃から参考にしていた論文の著者の先生方から直接質問やアドバイスをいただく機会もあり、大変勉強になりました。今後は米国麻酔学会での口頭発表も控えており、論文化を視野に入れつつ、積極的な交流を続けていきたいと考えています。
最近は特に忙しく、4つの研究プロトコルを並行して進めているため、日中はデスクに座る時間が少なく、マウスを用いた実験に専念しています。帰宅後にその日の結果をまとめたり、休日に研究を進めることも多く、目まぐるしい毎日ですが、自分が追求したい術後せん妄研究に集中できる環境にいることに充実感を覚えています。
一方で、平日に集中して研究を進めるため、休日は意識的にしっかり休息を取るようにしています。つい先日、サンフランシスコのオラクルパークで大谷翔平選手や山本由伸選手の所属するドジャースの試合を観戦してきました。スタンフォード大学の近くからは車で約1時間で行けるため、多くの留学生や駐在の日本人の方々が応援に訪れています。
また、最近子犬をお迎えしました。生後8週から一緒に暮らし始め、今では家族の一員として元気に成長しています。アメリカはドッグフレンドリーな施設や街が多く、安心して犬が遊べるようきれいに整備された公園も多数あります。犬好きな人も多く、ダウンタウンの散策中や公園を散歩中にさまざまな方に話しかけられる機会があります。テラス席のあるカフェは基本的に犬を連れて行けるため、週末の良いリフレッシュになっています。
まだ論文化できていないため研究の詳細をお伝えすることはできませんが、自分が目指すせん妄研究を存分に行える環境に感謝し、忙しくも充実した毎日を送っています。このような貴重な留学の機会をいただけたことに改めて感謝し、帰国までの一日一日を大切に過ごしていきたいと思います。
今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。