高知大学医学部 脳神経外科学

高知大学医学部脳神経外科学教室
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研究紹介

脳卒中疫学調査

高知大学脳神経外科では、高知県と連携して県の全脳卒中を登録する「高知県脳卒中悉皆調査」を行っています。本調査は県境を越える受診が少ない全数調査である性質上、漏れやバイアスの少ない良質なデータであり、脳卒中の引き金となる気象環境因子、脳卒中受診動態の地域格差、希少疾患の高齢社会における発生統計を明らかにできる可能性があります。

図1.高知県の地理的状況と人口分布、気象台の位置。

太平洋と四国山地に囲まれ、人口が中央南側に集中しているため県境を越えた受診は少なく、また大部分の脳卒中発生は高知地方気象台で観測される気象の影響を受ける。



図2.高知県市町村(県庁所在地の高知市を除く)在住患者の脳梗塞受診遅れに関する地域格差。

受診遅れの多い市町村が東部に、少ない市町村が西部に集積する。




グルタミン酸神経細胞

図1.脳内亜鉛によるミクログリアの活性化経路の解析。

哺乳類の脳内亜鉛の一部は、神経伝達物質として機能しますが、その過剰な細胞外分泌は神経細胞死を惹起してしまいます。我々は、この亜鉛が脳内免疫担当細胞であるミクログリアの活性化因子としての役割も担っていることを見出し、その細胞内活性化経路も詳細に解明してきました。現在、亜鉛によって活性化されたミクログリアの役割について解析を進めています。
(J Neurosci 2008;  Glia 2011;  BioMedサーカス.com 2012)



図2.頭部外傷による軸索損傷と高次脳機能障害に対する治療薬の探索。

頭部外傷による軸索損傷ならびにその後の高次脳機能障害は、有効な治療法が存在しておらず、さらに社会復帰を著しく困難にする要因であることから医学的のみならず社会的にも大きな問題として認識されています。我々は脳梗塞の治療薬であるエダラボンが頭部外傷後に産生される活性酸素を消去することにより軸索損傷と高次脳機能障害を抑制することを明らかにしました。現在、その他の頭部外傷による後遺症の発症メカニズムについて解析を進めています。
(Brain Res 2013)