概要

■ 機関の現状
機関における研究ポテンシャルの現状、欧米との比較等
 海洋基本法(平成19年4月27日法律第33号)では、「我が国が国際的協調の下に、海洋の平和的かつ積極的な開発及び利用と海洋環境の保全との調和を図る新たな海洋立国を実現することが重要である」と謳われています。高知県は、恵み豊かな太平洋黒潮流域に位置しており、高知大学(以下「本学」)は、その利点を生かして、これまでに海洋科学研究に必須の研究基盤と研究体制(海洋コア総合研究センター、総合研究センター・海洋部門、大学院総合人間自然科学研究科 黒潮圏総合科学専攻等)を整備してきました。また、大型外部資金の採択や文部科学大臣表彰ほか学会賞等の受賞、研究シーズの事業化等、世界水準での基礎研究や独自性の高い応用研究を展開してきました。
機関におけるこれまでの若手研究者の育成に関する取組の実績
 本学の医学研究科及び理学研究科では、平成19年度からの3年間で助教(助手:再任可)56名の採用実績を有し、また、有期限付助教(助手)やポスドク採用数も年々増加しています。さらに、若手研究者の研究環境の充実として、学長裁量経費等での研究費の支援や、外部資金獲得に対する種々の支援やインセンティブ付与を行っています。ここ3年間で課程博士67名に学位を授与し、大学教員(11名)や公的研究機関研究者(10名)を輩出しています。
機関における人材養成システム(任期制、年俸制の導入等)の概要
 平成16年度から医学研究科では全教員に対して任期制(再任可)を導入し、理学研究科では、新規採用助教に対して任期制(5年再任可)を導入しています。
■ 人材養成システム改革・若手研究者育成の構想
目指すべき人材養成システム改革の方針
 本学では、平成20年度に大規模な教員組織の改革を実施しました。これに併せて、平成22年度に海洋生命科学研究における人的資源を結集した“イノベーティブマリンテクノロジー研究拠点"を組織し、若手研究者をテニュア・トラック教員として配置し育成を行います。それにより、新たな分野横断型海洋科学研究分野を開拓・展開できる海洋科学研究者養成と世界最高水準の新領域海洋科学研究拠点の形成を目指します。また、若手研究者を育成する体制作りとして、若手研究者評価支援機構を設置し、公正で透明性のあるテニュア・トラック制度等の全学的な普及・導入に取組みます。
導入するテニュア・トラック制の具体的な内容とその位置付け
 国際公募と公正で透明性のある評価方法により、初年度6名、平成25年度3名の若手研究者を5年任期のテニュア・トラック講師又は助教として採用し、独立した研究環境を与え、関連分野の教員と連携しながら自立した研究を行います。テニュア審査基準に基づき、業績、ミッション達成状況、マネジメント等について、外部委員を含めた委員会による公正な審査を行い、合格判定後はテニュア職の准教授又は講師として採用します。
若手研究者育成のための研究環境整備、育成のための取組み
 研究環境が整備された施設での占有研究スペース、初年度スタートアップ資金を含む研究経費、海外情報収集旅費と学会発表旅費の支援、PD又は研究支援員の配置、TA、RA経費の戦略的配分など集中的な支援を行います。また、学内外者による研究メンターを活用して、各種研究者育成プログラムを策定・実施し、海外研究派遣とFD活動を通じて世界レベルの研究者育成を行います。これらに併せて、第一線の研究が展開できるようインフラ整備を進めます。
機関全体としての将来的な構想(実施期間終了後の取組内容)
 本学独自の取組みとして、若手研究者育成を継続するとともに、“イノベーティブマリンテクノロジー研究拠点"の外部評価を通じて、テニュア・トラック教員の採用・育成方法の成果を検証し、全学導入と定着化を目指します。
■ ミッションステートメントの概要
 初年度に国際公募により若手研究者を6名テニュア・トラック教員として採用し、3年目終了時までに、研究環境や人材育成プログラム等諸制度を整備します。中間評価を、外部委員を含む評価委員会にて実施し、研究の進捗や方向性について積極的に助言を行い、評価項目に関して改善すべき点を指摘します。優れた業績を達成した若手研究者については、テニュア職採用審査を実施します。また、テニュア審査制度と評価基準の詳細を公表し、3年目には、テニュア・トラック教員3名の追加公募を実施し、4年目より採用を行います。
 終了時(5年目)には、テニュア・トラック教員全員がテニュア職に移行できるポストを措置し、外部委員を含む評価委員会において書面審査と面接審査によるテニュア職選考審査を実施し、准教授又は講師として採用します。“イノベーティブマリンテクノロジー研究拠点"の外部評価を実施し、人材養成システム改革の構築を目指します。また、テニュア・トラック制度を本学に普及させるため、適応可能なポストから順次導入していきます。
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