「患者さんの術後の様子を知ることの重要性」

梶原 賢司(国内留学 2017—2019年度)


梶原 賢司

 私は広島大学から3年間国内留学させていただきました。広島大学のIVRは血管系のIVRが多く、非血管系のIVRはあまりやっていませんでしたが、近年始まった腎癌に対する凍結療法を勉強したかったのと、また他県の医療とういう異文化を体験してみようといった気持ちで高知へと赴任しました。
 腎癌の凍結療法は、全国でも20数施設でしか行っていない先進的な穿刺IVRですが、ほとんどの患者さんはほとんど痛みを訴えることもなく治療が終了し、特に問題なく退院していくし、再発もほとんどないし、腎機能も保たれるという素晴らしい治療でした。多数の症例を経験させていただき、国内留学期間の最後の方ではhydrodissectionや人工気胸下に行うちょっと難易度の高い凍結療法についても治療計画から実際の治療まで行えるようになりました。その他広島大学にはないIVR、例えばドーム下のHCCの経肺的なRFAや脊髄硬膜動静脈瘻のTAE、静脈奇形の硬化療法等も経験させていただきました。
 広島大学では、放射線科がIVRの入院患者を直接の主治医としてうけもつことはあまりなかったのですが、高知大学では放射線科でもIVR入院患者を診ています。実際に患者さんを診ることによって、これまで経験する機会が少なかった患者さんの術後の様子を知ることができました。IVR診療とは手技中だけではなく術後管理も含めて初めて成立していることに改めて気づかされました。この経験は非常に貴重で、私のIVR医としての考え方がかなり変わったように思います。
 業績面では高知の赴任中に和文や症例報告も含めて5本の論文を書くことができました。その中にはインパクトファクターのある英文が2本あります(まだ投稿中の論文も含まれています)。広島に持ち帰らせていただいたテーマもありますので、今後も頑張って論文を完成させたいと思います。
 最後に高知でのプライベートですが、高知の大通りの標識には国民休暇県高知県と書いてあるとおり、みんなの時間と雰囲気がゆっくり流れています。小さい子を連れ行く公園がどこも結構すいており、何かを待つということはありません。地産地消を推進する道の駅的なお店が近くにあり、特にカツオとトマトが安くて美味しいです。一番よかったアクティビティは吉野川のラフティングで、我が家の夏の恒例行事になりました。ほんとうにあっという間の3年間でした。お世話になりました。どうも有難うございました。



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