「地域枠のロールモデルに」

前田 一光


前田 一光

私は高知大学入学時に地域枠で入学し、学生時代の六年間、高知県医師養成貸付金という制度で奨学金をいただきました。そのため、卒業後の九年間は償還のために高知県内で働き、そのうち三年間は中心部以外のいわゆる「へき地」での勤務が必要となります。地域枠の卒業生の入局は放射線科として初めてのことでしたが入局前から異動に関して配慮いただけると心強い言葉をかけていただきました。
放射線科に入局後、二年間は大学病院で勤務し、ある程度読影やIVRの研鑽を積んでから放射線科三年目の春に高知県立幡多けんみん病院に異動となりました。幡多けんみん病院は高知県西部宿毛市にあり、高知市からは車で二時間半程度かかります。幡多地域には病院が少なく、地域の中核を担う急性期病院です。
はじめは研修医時代から勤務していた大学病院を離れ、新たな地での仕事に不安もありましたが、指導医の先生もコメディカルの方々も暖かく迎えてくださり、二年間の楽しく充実した幡多ライフを過ごすことができました。
主なスケジュールですが、午前中は基本的に読影を行い、IVRは月水金の午後、放射線治療などの外来を木曜日に行っていました。スケジュールは一応決められてはいましたが、その都度、症例ごとに相談を受けていたため臨機応変に対応していました。IVRの内容も大学病院ではあまり経験できなかった症例も多く、多施設で研修を行うことの重要性を感じました。
手技によっては消化器内科や泌尿器科の先生方と合同で手技を行うこともありました。大学病院に比べれば病院全体で医師の数が少なく、医局や休憩室も一つの場所なので他診療科の先生とも顔を合わせる機会が多く、和気あいあいとしています。
読影室にも気軽に相談に来られて、専攻医の立場ながら一放射線科医として直接臨床の先生方とディスカッションができたのも良い経験になりました。業務の合間に自分の勉強時間もしっかり確保でき、先生方のご指導のおかげで、地域にいながら日本専門医機構認定放射線科専門医を取得することができました。
この春より大学病院に戻ってきしたが、数年の間に後輩がたくさん増えてとても嬉しく思っています。地域枠の先生も増えていますので一つのロールモデルとなれるように今後も気を引き締めて精進していきたいです。



前田 一光


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