「仕事と子育て、ともに楽しく」

新田 紀子


新田 紀子

 臨床研修が終了して以来約10年間住んだ京都を後にして、同じ放射線科の夫と2人の子供(5歳、2歳)とともに高知へ来ました。
 高知へは以前に旅行で何度か来たことがあり、南国らしくて食べ物も美味しくいいところだなぁという印象がありましたが、まさか住むことになるとは夢にも思っていませんでした。 それが現実のものとなったきっかけは、2人の子供が生まれて家族旅行で高知へ来たときです。
 京都は観光客をはじめとして人が非常に多く、特に子連れではどこへ行くにも気を使い息苦しさを感じていましたが、高知はとてものどかで自然が沢山あり、子供が本当にのびのびと楽しそうに過ごしているのを見て、こんなところで子育てが出来たらいいなぁと思ったことでした。
 そこへ夫の大学院が終わり、私もクリニック勤務から本格的な医療現場への復帰をしたいと考えていたことが重なって、教授方にご配慮いただいた結果このような機会を得ることができました。

 高知へ行くことが決定すると様々な課題が降りかかってきました。
 小さい子供を連れての遠隔地への引っ越しをどうするか、保育園はどうするか、家をどうするかなど多々ありましたが、私的に一番問題となったのは車の運転でした。
 なぜなら私は大学時代に車の免許を取って以来約15年の筋金入りのペーパードライバーだったからです。
 「車がないと仕事に行けない、さあ困った、でもやるしかない」と個人指導のペーパードライバー講習をみっちり受け、実家の車で親を危険にさらして練習を重ね、かろうじて一人で運転ができるように仕上がりましたが、はじめはかなりの恐怖でした。
 それともう一つの大きな問題は、京都にいるときにしばしば頼りにしていた親の手助けがなくなる一方で私がフルタイム勤務に戻ることになり、子育てと仕事の両立をどうするかでした。 そこは教授をはじめ先生方に色々アドバイスをいただき、医局の「フレックスタイム制」という制度を利用することで乗り切ることにしました。
 外勤を1枠減らす替わりに17時に帰れるという子育て中の者にはありがたいシステムで、お給料が他の人より少し減りますがその分気兼ねなく帰れ、さらにオンコール業務も免除されるのでとても助かっています。
 高知へ来る前の数年間はクリニック勤務で大学病院とは患者層や診る疾患もかなり異なり、久々でやっていけるか不安がありましたが、来てみるととてものびやかで変なプレッシャーも少ない職場で、コメディカルの方もよく動いてサポートして下さるので、いろいろ思い出しながら楽しく仕事ができています。
 私も夫も京都にいるときより心に余裕が持てているようで、それが子供に伝わるのか、「高知に来てから優しくなった」と言われます。
 高知は子連れで食事や遊びに出かけられるところが多く、休みは公園や川など色んなところに出掛けてとても楽しく過ごしています。何よりご飯が何を食べても美味しいのが素晴らしいです。

 いま私は大学院生も兼ねていますので4年間で何とか論文を書きあげるのを一番の目標としていますが、日々の診療もさすが大学病院だけあって症例が豊富で興味が尽きませんので、結果をじっくり調べたり理解が乏しかった分野に勉強の幅を広げ、より広く深い知識を身につけていきたいと思います。
 おこがましいですが、高知の医療をよりよいものにするための手助けができればと思っています。



新田 紀子


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