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骨盤臓器脱に対する手術療法

 中高年の女性に発症する特有の病気で骨盤臓器脱というものがあります。本来骨盤内におさまっている臓器(子宮、膀胱、直腸など)が垂れ下がってしまい、股から飛び出してくる状態を言います。その原因として、それら臓器を支える骨盤の底にある筋肉(骨盤底筋群)の衰えがあげられます。
 昔から俗に「なすび」とか「なすびが出ている」と表現されている病気です。特にお腹に力が入った時(立ち上がった時、咳やくしゃみをした時)に顕著に現れるのが特徴の1つです。この病気では「股に何かモノが挟まっているようだ」という症状に加え、頻尿や尿失禁、便秘といった症状が合併することもあります。あまり聞きなれない病名ですが骨盤臓器脱に悩んでいる女性はとても多いと言われています。しかし「恥ずかしい」という理由でなかなか他の人に相談したり、病院に受診したりできず、我慢している女性がかなりいらっしゃるようです。最近、この病気に対して新しい手術が行われるようになってきました。腹腔鏡下仙骨膣固定術(LSC)という手術です。この手術は、一般的に体に負担の少ないと言われる腹腔鏡で、膣の前面と後面に人工のメッシュを固定し、そのメッシュを引き上げて仙骨(腰の骨)に固定し、垂れ下がらないようにするという方法です。骨盤の底というなかなか手が届かない非常に深い部分で手術操作をしなければならないため、お腹を切って手術するとかなり大きな傷ができてしまうのですが、腹腔鏡で行うことにより、5mm~1.5cm程度の小さな穴を数か所に開けるだけでできるようになりました。手術自体の時間は4時間前後かかりますが、低侵襲(負担の少ない)手術のため術後の回復はとてもスムーズです。入院期間は通常は1週間程度です。また、術後再発率が低く治癒率が高い手術であり、メッシュを入れることによって起こる合併症のリスクも他の術式に比べて低いと言われています。

  • 女性正常骨盤

  • 膀胱脱・子宮脱・直腸脱

  • LSC完成のイメージ

腹腔鏡下で、膣を前後で挟み込むようにメッシュを縫い付け、引っ張り上げることにより、骨盤内臓器を正常の位置まで引っ張り上げ、垂れ下がらないようにします。

一般的に以下のような方がこの手術に向いていると言われています。

  1. 仕事や家事など、活動的な毎日を送っておられる方

  2. 術後のセックスライフも大事にしたい方

  3. 子宮脱が主体である方

  4. 比較的年齢の若い方

  5. 過去に他の骨盤臓器脱の手術を受けて再発した方

しかし、高齢でも活動的な生活を送りたい元気な女性はたくさんいらっしゃいますので、この手術を受けていただくメリットは大きいと思います。


この手術は膀胱が垂れ下がる膀胱瘤という病気に対して、2014年4月に泌尿器科領域で保険適用になりました。その後、産婦人科領域でも2016年4月には骨盤臓器脱に対する治療として保険適用になっています。現在は子宮脱を中心とした骨盤臓器脱に対して、普通に保険診療の範囲で行える手術となっています。腹腔鏡手術というとどうしても難しい手術というイメージがありますが、実際に受けた患者さんの満足度が非常に高い手術と言われております。日常生活で動きやすくなることはもちろんの事、これまではやりたくても出来なかった運動や趣味などができるようになり、QOLを大きく改善させることが期待できます。我々、高知大学泌尿器科においても、2018年3月からこの手術を導入し、現在までに22例実施し、全例合併症もなく、良好に経過しています。

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