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海洋コア総合研究センター 外部評価

 センターでは,この度,外部有識者による「外部評価」を実施しました.評価して頂いた外部有識者は下表の方々で、2日間に亘り実施しました.

外部評価委員会委員名簿
氏名所属・職名
岡田 尚武北海道大学 名誉教授
綱川 秀夫東京工業大学大学院理工学研究科地球惑星科学専攻 教授
飯笹 幸吉東京大学生産技術研究所 特任教授
沖野 郷子東京大学大気海洋研究所海洋底科学部門 教授
竹山 春子早稲田大学理工学術院先進理工学部生命医科学科 教授

 センター長による概要説明及び教員によるセンターでの活動状況報告等の後,管理運営体制や全国共同利用等センターの業務全般,さらに,平成28年度からの次期共同利用・共同研究拠点の認定に向けての助言,関係者との質疑応答等が行われました.

 外部評価結果には,センターの位置づけ等多岐にわたり貴重な提言が盛り込まれており,今後の組織運営にあたり,できる限り反映させていきたいと考えています.

■ 外部評価実施日:平成27年4月27日(月)〜4月28日(火)

■ 外部評価資料:PDF(約 5.3MB)

外部評価委員会による評価とコメント

■管理運営体制
センターの本来の目的であるコア試料の保管管理、共同利用施設としての管理運営は、現時点ではうまく行っていると思われる。また、現センター長のリーダーシップによる新しい研究分野への展開が評価できる。 しかしながら、教員・研究者にとって研究以外の負担も多いことから、専門性を考慮して、Research Administratorの配置が望まれる。また、センターは大学として教育・研究の役割を十分に維持していただきたい。

■財政等施設整備
大学の努力により、新しいコア保管庫を増設し研究機器を導入しているなど、施設に関しては非常に充実してきている。また、研究費獲得に関して高知大学の他部局に比べて多くの競争的資金を獲得している。ただし長期的観点から、更新する必要のある機器も多いことから計画的な資金獲得が肝要であり、大学の主要施設としての継続性には大学のサポートが重要である。

■共同利用・共同研究拠点
多くの共同利用・共同研究を実施しており、その成果も論文発表されている.他大学の卒業論文、学位論文の取得に貢献している。利用参加者のアンケートによれば、施設の利用満足度は非常に高い。 また、社会貢献が期待される新しい研究分野を展開しており、産業界との連携をもっと積極的に進めることも期待される。企業の共同利用にはオープンということなので、施設利用を通じて産学連携を推進できるであろう。

■研究活動
海底コアなどセンターの資源を上手く活用した地球掘削科学の研究に加え、生命科学や海洋天然物化学などとの融合による新たな地球生命科学に関する研究を展開している。その結果、当センターの特色を生かした独自性のある論文などとして公表されている。学外研究者とのコラボは進められているが、学内の異分野融合をこのセンターでより一層進めると、さらにユニークな研究成果が期待できる。

■学術活動
セミナー、シンポジウム等による学術活動は妥当な範囲であるものの、地理的な問題等を考慮してもさらにセンターの活動度をあげるべきである。たとえば、朝倉キャンパスを利用した研究集会などが一考である。 資源をキーワードとした国内研究機関とのコラボレーションの構築に努力をしていることは評価に値する。

■人材育成(教育活動等)
コアセンター教員が学部等の授業を通じて、センターの研究内容を発展的に教育現場に持ち込むことによって、この分野の人材育成に少しずつ貢献している。 コアスクールや共同利用を通じて、全国の若手研究者の人材育成に多大なる貢献をしている。 しかしながら、研究者に一番近い博士課程(後期)の学生がセンターに少ない。今後、センターの強みを生かし、国際人材として留学生の受け入れ等を積極的に進めることも必要であろう。場合によっては、国内外の学生を対象にしたインターンシップを行うのも良いかもしれない。

■社会との連携
アウトリーチ活動に関しては、積極的に行っているが、成果の広報活動を専門的に実施できる人材による積極的なアピールが必要である。たとえば、科学博物館等とのコラボを検討してみるなど、県外活動にも取り組んで社会との連携をもっと積極的に行うことが期待される。

■情報提供
研究者に対するセンター利用に関する情報提供は十分に行われている。しかしセンター教員の成果のみならず共同研究による成果の情報発信をさらに充実させるべきである。それには日本語だけでなく英語によるHPの充実をはかる必要がある。

■今後の展望
平成25年のセンターの中間評価時の主な課題をおおむね達成している。 平成28年度から継続的にコアセンターを運営するために、基礎的・応用的な観点からIODP、4次元的黒潮域資源学、アジアの研究者との連携等を含めて、積極的に推進していくことは評価に値する。 研究に関しては、新メンバーや海洋資源学科との緊密な連携下で更なる発展が期待できる。できるならば、移動する現メンバーだけでなく、農学海洋科学部と理工学部の他の教員も巻き込むような仕組みを作ることによって、このコアセンターの幅を広げる戦略をさらに考えてほしい。

■総合コメント(提言)
共同利用施設としての機能は、その設備、利用率の面からも高く評価できる。また、コア保管庫を増設して、新たなコア試料の受け入れを可能にしたことは評価できる。 共同運営機関であるJAMSTECに比較して、専任等の人数は少ないが、各人が高い研究成果を収めており、より一層高知大学の特色を出すことを期待する。 特に、大学としての自由な発想が可能な点を最大限の武器とした展開が期待されるが、 そのためには、それらをサポートするResearch Administrator等の人員の配置は今後検討する必要がある。 大学の特色の一つは、学生がいるという点である。大学院生の増強は重要な課題であるが、リクルートの一環として研究インターンシップ等を行って研究環境の素晴らしさを実感してもらうことも一案かと思う。「優秀な」留学生を集めて、教育することで世界に新しいネットワークを作ることも要検討である。そのためには、外国人教員採用と英語のHPにも力を入れる必要がある。 共同運営下での各機関の独立性を担保しつつも、連携の強化、雇用研究者(教員)数の増加を進めるためにも、ダブルアポイントメントの雇用も検討してはどうかと思う。 センター拠点として継続性を維持するには、人的な負担の軽減を考慮すべきである。

■総合評価 : A