◆令和元年度高知大学研究顕彰制度(研究功績者賞、若手教員研究優秀賞、大学院生研究奨励賞)の受賞者が決定

2020年2月13日

 この度、令和元年度高知大学研究顕彰制度(研究功績者賞、若手教員研究優秀賞、大学院生研究奨励賞)の受賞者が決定しました。

 この研究顕彰制度は、優れた研究を行った者を学長が表彰することにより、研究業績者、若手教員及び大学院生の研究意欲の高揚を図り、本学における研究の活性化と一層の発展を目指すことを目的としています。
 令和元年度は、今後の活躍の発展性が期待される研究者として研究功績者賞2名、若手教員研究優秀賞3名、大学院生研究奨励賞3名の方々が受賞しました。今後、受賞者に対し、学長による授賞式が執り行われる予定です。

 

≪研究功績者賞≫

■ 齊藤源顕(医療学系基礎医学部門・教授)
 齊藤氏は、10年以上にわたって研究してきた精索捻転症による精巣機能障害の発症機序と治療法をまとめた論文を執筆し、「International Journal of Urology Top Cited Article Award of the Year 2018」を受賞した。本賞は、国際的に評価の高い日本泌尿器科学会とアジア泌尿器科学会の機関誌である「International Journal of Urology誌」に掲載された論文の中で引用数が多い論文の責任著者に与えられる賞である。
 また、所属する薬理学教室にて下部尿路前立腺の疾患の研究、ストレス反応の中枢性制御メカニズムの研究、グリア細胞の脳疾患後遺症への関与の研究等に携わっている。教室員が日本薬理学会学術奨励賞や日本排尿機能学会学会賞など多数の国内外・学内外の賞を受賞し、また、世界的な権威のある論文コンテスト「Ananias Diokno-Jack Lapides Essay Contest」にて教室員が2016年から3年連続受賞するよう指導を行うなど、高知大学の学問的水準を高く引き上げることに貢献した。


■ 橋田 裕美子(医療学系基礎医学部門・助教)
 橋田氏は、感染症学・腫瘍学分野にて研究成果を上げ、筆頭12報、共著13報の論文が国際科学誌に掲載された。特に、人の皮膚ウイルスの生態解析および疾患との関連性を明らかにした研究成果は、米国感染症学会誌であるJournal of Infectious Diseasesに3年半の間に4報掲載された。
 皮膚に常在するポリオーマウイルス遺伝子型により、その宿主が日本人(東アジア人)かそれ以外かを識別できる特異的遺伝子配列の同定成功の成果ついては独創的研究として、各社新聞やネットニュースにも取り上げられた。また本業績に対し、感染症領域において優れた研究の英文原著論文を発表した研究者に贈られる、令和元年度日本感染症学会感染症優秀論文賞を受賞した。
 科研費や助成金などの外部資金獲得にも積極的に取り組んでいる。

≪若手教員研究優秀賞≫

■ 阿漕孝治(医療学系臨床医学部門・助教)
 阿漕氏は、「ひざ関節の国民病である変形性膝関節症(膝 OA)の疼痛発生機序」に関する研究を行っており、これまでにヒト組織およびラットを用いた動物実験によって、①膝の神経成長因子発現、②軟骨下骨の破骨細胞活性、③滑膜炎、④骨軟骨移行部の感覚神経増生が膝 OA の痛みに関与することなどが明らかになり、いずれも新規性の高い研究成果として評価されている。
 世界的に影響度の高い国際誌 Arthritis & Rheumatology(IF9.002)に論文が掲載されると共に、国内外の学会で各種賞(国際変形性関節症学会 2019 AWARD、第 47 回日本関節病学術集会奨励賞、第 12 回日本運動器疼痛学会最優秀演題賞)を受賞するなど多くの業績を挙げている。


■ 浦本 豪一郎(海洋コア総合研究センター・特任助教)
 浦本氏は、地質学の研究を専門としながら、微生物学や土壌学など異分野融合の手法にて研究を行っている。主な研究業績として、南太平洋環流域の外洋深海底堆積物から、直径数ミクロンの鉄マンガン酸化物微粒子が、堆積物 1cc あたり 1 億~10 億個存在することを世界で初めて発見し、こうした微粒子が膨大な金属を微粒子状形態で深海底地下に保持することを突き止めたことが挙げられる。
 また、令和元年度に科学技術振興機構(JST)さくらサイエンスプラン採択事業で海洋コア総合研究センター初の「国際コアスクール」開催に事業実施担当者として尽力し、センターの推進する海洋科学掘削分野の国際的な活性化に貢献した。


■ 北﨑 勇帆(人文社会科学系人文社会科学部門・講師)
 北﨑氏は、日本語史を専門として日本語の意味変化と統語変化、特に「命令形式の従属節化」が起こる要因や派生の過程について研究を進めている。
 日本語文法史の研究や日本語史の基礎研究に関する研究成果において、過去3年に単著論文13本、共著論文5本、共著著書1本、事典項目1項を報告し、それらの研究業績の一部に対し、言語学・日本語学分野の若手研究者を対象とした「令和元年度新村出研究奨励賞」が授与された。
 大型プロジェクトにおける共同研究や学会の運営委員に携わるなど、学外でも精力的に研究活動を行っている。


≪大学院生研究奨励賞≫

■ 新武 享朗(医学専攻博士課程 2年)
 新武氏は、ミクログリアと生体必須微量元素である亜鉛イオンに関連する「脳卒中後遺症の重篤化の機序解明と治療薬の開発」をテーマに研究に取り組んでいる。具体的には、脳虚血直後に海馬グルタミン酸神経細胞から過剰放出される亜鉛イオンが活性化ミクログリアの炎症応答を増悪化させる内因性の活性化調節因子であることを解明し、この増悪化が重大な脳卒中後遺症の一つである認知症の惹起に関与していることを明らかにした。
 これまで、筆頭1報を含む4報の英文原著論文と総説 1 報、更に国内外の専門学会において筆頭演者として25回発表し、優秀発表賞をはじめとする9つの賞を受賞している(国際学会:4 回、国内学会:21 回) 。


■ 石田 智滉(医学専攻博士課程 4年)
 石田氏は、天然資源由来物質の医療への応用を目指した研究を行っている。高知県では高齢者率が全国に比べて高いことから、加齢による筋肉量及び筋力の低下(サルコペニア)に着目し、臨床上、虚弱、疲労、倦怠の状態に対して体力を補う漢方薬(補剤)によるサルコペニアの予防を研究テーマとしている。
 これまで、筆頭2報を含む論文4報のほか、日本薬学会第138年会「学生発表優秀賞」の受賞や、平成30年度高知県産学官連携産業創出研究推進事業の採択、民間企業との共同研究の実施など、積極的に研究活動および外部資金獲得に取り組んでいる。


■ 青山 文(医学専攻博士課程 4年)
 青山氏は、「高齢者の慢性痛」をテーマとした基礎研究活動に取り組んでおり、第15回日本神経麻酔集中治療学会学術賞を受賞した。また「術後せん妄に対する新規治療としての神経ステロイドの有効性」をテーマとした研究にも取り組んでいる。
 これまでの研究成果は、 日本麻酔科学会や日本集中治療学会、世界集中治療学会(メルボルン)、世界区域麻酔学会(ニューヨーク)において筆頭演者として発表し、また、日本麻酔科学会のシンポジウム(チーム医療で取り組む術後せん妄対策)や、日本区域麻酔学会のインストラクターとして携わるなど、多方面で研究活動を行っている。

 

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