◆海洋コア国際研究所の奥村知世准教授ら研究グループの成果が、「Nature Microbiology」に掲載されました

2024年1月18日

極限環境から第3のRNAウイルス系統を発見

 

 海洋コア国際研究所の奥村知世准教授ら研究グループの成果が、2024年1月17日付けで「Nature Microbiology」に掲載されました。

 地球上では数十万種に及ぶRNAウイルス(※1)が知られており、その多くは微生物に寄生しています。しかし、RNAウイルスの多様性や進化、生態系における役割はまだ解明されていません。

 本研究では、RNAウイルスのゲノム情報を精度良く捉える独自開発の検出手法を用い、雲仙および霧島の噴気地帯の高温酸性泉中に存在する、生命の共通祖先に近い高度好熱性の微生物集団から、全く新奇なRNAウイルスのゲノムを発見し、このRNAウイルスをHot spring RNA virus(HsRV)と命名しました。HsRVは、好熱好酸性バクテリアを宿主としていると推測され、本発見は、生命誕生の場とされる高温環境にもRNAウイルスが生息することを意味します。さらに、HsRVの遺伝子配列は、分類上、既知の2つのRNAウイルス界の配列とは大きく異なり、これらとは異なる第3のRNAウイルス界が存在する可能性も示しています。

 本研究グループでは、今後、HsRVを保持する宿主株を単離・培養し、このウイルスの形状や生態を解明するとともに、今回用いた検出手法をさまざまな微生物や動植物に適用し、未知のRNAウイルスのさらなる探索を進めます。

 

【題 名】 Double-stranded RNA sequencing reveals distinct riboviruses associated with thermoacidophilic bacteria from hot springs in Japan

                   (高温酸性温泉の微生物に由来する新たなRNAウイルスの発見)

【著者名】 S. Urayama, A. Fukudome, M. Hirai, T. Okumura, Y. Nishimura, Y. Takaki, N. Kurosawa, E. V. Koonin, M. Krupovic and T. Nunoura

【掲載誌】 Nature Microbiology

【掲載日】 2024年1月17日

【 D O I 】 10.1038/s41564-023-01579-5

20240116プレスリリース_極限環境から第3のRNAウイルス系統を発見.pdf(1MB)

関連サイト:海洋研究開発機構 HP「極限環境から未知のRNAウイルス系統を発見、驚くべき多様性の一端が明らかに」

 

※1RNAウイルス:自身のゲノム(設計図)をRNAに保持しているウイルスの総称。宿主の細胞内で、その細胞の機構を利用して自己複製する。コロナウイルスのような病原体としてよく知られているが、地球上に存在する多様なRNAウイルスの中で、病原性を持つものはごく一部に限られる。

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