物部キャンパスの防災
”備える物部キャンパス”宣言
農林海洋科学部長 枝重 圭祐
高知県に大きな被害をもたらす南海地震は、南海トラフ及びその周辺の地域における地殻の境界を震源とする南海トラフ地震の一つで、この中には南海地震の他に東南海地震、東海地震などが含まれます。南海地震は、これまでおおむね100年から150年ごとに発生しており、東南海地震や東海地震と同時、または数十時間から数年の時間差で発生したことが知られています。また、発生頻度は極めて低いとされていますが、南海トラフ及びその周辺全体を震源とする東海から九州にかけて甚大な被害を及ぼす最大クラスの地震が起こる可能性もあります。近年では昭和南海地震が1946年に起こりました。それから約80年が経過し、南海トラフ沿いの大規模地震が今後30年以内に発生する確率は70から80%と言われており、来るべき大地震や津波への備えは万全でなければなりません。
高知大学では非常事態発生時の行動マニュアルを作成しており、大学のホームページに掲載しています。また、農林海洋科学部のある南国市の物部キャンパスには南国市の緊急避難所に指定された建物が多くあり、年2回の地震津波避難訓練も実施しています。また、本学では、災害発生時(震度6以上の地震、台風等河川氾濫や土砂崩れ)における、学部学生・大学院生及び教職員の安否確認の方法として、メールを利用した安否確認システムを導入しています。
このように高知大学および農林海洋科学部では地震や津波に遭遇した場合の準備等は整っています。しかし、地震や津波による緊急避難の後に避難生活を送る避難所は、市町村によって市町村の住民票に登録されている人をもとに準備されることになります。親元に住民票をおいたままの学生が多く見受けられますが、実際に災害に遭遇した場合、その後の住民台帳に基づく「市町村からの重要な通知や問合せ」が届かないなど不利益となる可能性は否定できません。必ず住民票を居住する市町村に移すようお願いします。
物部キャンパスの地震・津波発生時の避難場所
物部キャンパスでは、最大規模の南海トラフ地震が発生した場合を想定し、添付のとおり、農林海洋科学部1号館から4号館の3階及び屋上、遺伝子実験施設の3階及び屋上、海洋コア国際研究所の屋上を避難場所として設定しております。(本避難場所は南国市との協定においても緊急避難場所に指定されております。)
物部キャンパスの備え
・現在、物部キャンパス内の主な建物は全て耐震化工事が完了しています。
・キャンパス内に備蓄庫を設けて、発電機、毛布、食料品、飲料水など避難に必要なものを備蓄しています。ただし、食料品については、学生及び教職員の人数には対応できていないため、今後増量する予定です。
・キャンパス内に給水設備を設置しており、地震等の断水時にも使用可能となっております。※飲み水以外に使用
・農林海洋科学部1号館から4号館各棟、海洋コア国際研究所および遺伝子実験施設の屋上に非常用電源装置を設置しており、地震等の停電時に非常用電源として使用することができます。
物部キャンパスの防災訓練について
学生、教職員参加の「地震・津波避難訓練」を年1~2回実施し、火災を想定した「消防訓練」を年1回実施しています。併せて、消防署の指導による「模擬消火訓練」、「降下訓練」および「救命講習」なども実施しています。
避難訓練・消防訓練・救命講習の様子
また、毎年避難訓練の前には、物部地区防災防火対策委員会を開催しております。委員会には、農林海洋科学部の教員(学部長、総務委員長、学務委員長)の他、防災の専門家である防災推進センターの教員、海洋コア国際研究所の教職員、大学生協職員、学生代表なども参加いただき、色々な職種や立場の方々から防災に対するご意見等いただく貴重な場となっております。