泌尿器科の研修カリキュラム
T.研修プログラム
本カリキュラムは泌尿器科領域の診断、治療に関する基礎知識および技術を修得するための研修プログラムである。期間は3か月を単位とし、受け入れ人数は同時期に3人までとする。
U.研修施設
協力型臨床研修病院(日本泌尿器科学会認定専門医教育施設)
医療法人近森会 近森病院 |
独立行政法人国立病院機構高知病院 |
高知県立幡多けんみん病院 |
高知県立あき総合病院 |
土佐市立土佐市民病院 |
医療法人川村会 くぼかわ病院 |
V.研修目標
一般目標(GIO)
日常診療における一般的臨床能力(態度、技能、知識)を身につける。さらには、泌尿器科疾患に対する正確な診断と適切な治療を行うための基本的知識および基本的手技を修得する。勤務は本学附属病院および下記の協力型臨床研修病院(日本泌尿器科学会認定専門医教育施設)において行うことを原則とする。なお、泌尿器科専門医資格の取得を目指し、研修期間中に日本泌尿器科学会の教育プログラム参加と学会発表を専門医取得可能な段階まで行う。
行動目標(SBO)
- 指導医とともに、外来および救急外来におけるプライマリケアに必要な基本的診療能力を修得する。
- 問診、病歴の作成を正確に行うことができる。
- 診断に必要な検査を順序よく選択できる。
- 検査内容・検査結果、病態を患者に分かりやすく説明することができる。
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(外来診療) |
- 研修医は主治医として約10名の入院患者を担当し、上級医、指導医とともに患者の診察、検査、手術および術前術後管理にあたる。
- 手術や治療に先立って必要な検査や処置の意義を理解し、その評価ができる。
- 入院患者の手術や治療の前後における管理ができる。
- 各種留置カテーテル(尿道、腎瘻、尿管、膀胱瘻)の管理ができる。
- インフォームドコンセント、在宅医療の指導、病診連携の確保を適切に行える。
- 症例検討会で適切に症例呈示を行い、問題を提起できる。
- 泌尿器疾患に対する適切な検査を行うための基本的知識および手技を修得する。
- 尿の定性検査、沈査標本の作成と鏡検の実施と評価ができる。
- 腎機能検査(総腎機能、分腎機能)の意義を理解し、その実施と評価ができる。
- 泌尿器科で行われる各種レントゲン検査(排泄性尿路造影、逆行性尿道造影、膀胱造影など)の実施と評価ができる。
- 腹部、骨盤部CTやMRIで泌尿器科的な異常所見を指摘できる。
- 尿道・膀胱内視鏡検査の適応・禁忌の判断や検査の助手ができ、異常所見を指摘できる。
- 超音波検査(腎、膀胱、前立腺など)の実施と評価ができる。
- 泌尿器疾患に対する適切な処置や治療を行うための基本的知識および手技を修得する。
- 男性および女性の導尿を正しく実施できる。
- 膀胱留置カテーテルの挿入、膀胱洗浄を正しく実施できる。
- 指導医の下で陰嚢水腫、精液瘤の穿刺、吸引を正しく実施できる。
- 指導医の下で生検(腎、前立腺など)を正しく実施できる。
- 指導医の下で外来小手術の助手ができる(包皮背面切開術、包皮環状切除術、精管結紮術、体外衝撃波結石破砕術(ESWL)、膀胱異物・結石摘出術)。
- 指導医の下で手術の助手ができる(精巣摘出術、陰嚢水腫根治術、ロボット支援を含む腹腔鏡下手術(腎摘出術、腎尿管全摘出術、膀胱全摘出術および尿路変更術、前立腺全摘出術)、経尿道的膀胱腫瘍切除術、経尿道的前立腺切除術、腎瘻造設術、経皮的腎結石砕石術、経尿道的尿管結石砕石術)。
- 急性ならびに慢性腎不全、血液透析、腹膜透析法(CAPD)その他の血液浄化法を正しく理解し管理できる。
- 指導医の下でブラッドアクセス(内シャント、大腿静脈留置カテーテル)の作製と管理ができる。
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(「ダ・ヴィンチS」を用いたロボット支援腹腔鏡下手術) |
W.研修後目標
私たちの医療への基本姿勢は、患者さんと同じ気持ちでお話し、病気のすべての情報を明らかにしながら、患者さんの同意と納得のもとに行う医療です。幅広い専門領域において、診断から治療まで、一般臨床から最先端医療まで、オフィスウロロジストからスペシャリストまで、泌尿器科で必ずあなたの夢がみつかります。
泌尿器科研修の週間スケジュール
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月 |
火 |
水 |
木 |
金 |
午前 |
手術研修 |
外来/ (レントゲン検査) 研修 |
外来/透析/ (レントゲン検査) 研修 |
手術研修 |
外来/透析/ (レントゲン検査) 研修 |
午後 |
手術研修 |
病棟研修 |
ESWL/病棟研修 |
手術研修 |
ESWL/病棟研修 |
夕方 |
カンファレンス 教授回診 |
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22. 泌尿器科医をめざしている方へ
アドバイザー : |
執印太郎(泌尿器科)shuint@kochi-u.ac.jp |
推奨プログラム: |
高知大学臨床研修プログラム |
井上啓史(泌尿器科)keiji@kochi-u.ac.jp |
高知大学外科重点研修プログラム |
1)泌尿器科の特徴
泌尿器科医は内科的領域と外科的領域を幅広く総合的に診察する専門医です。医学は大きく外科系と内科系に分かれますが、泌尿器科はそれらの範疇を超えて、他科領域と広範な接点を持っており、多彩な専門分野で活躍することが可能です。感染症学、内分泌学、代謝学、男性学、女性学、小児学、移植学、内視鏡学、神経学、生殖器学、腎臓学、腫瘍学などさまざまな分野と密接な関係があります。主として副腎・腎・尿路・男性生殖器を扱いますが、近年は女性泌尿器科に代表されるように婦人科疾患を含めて広く診療できる泌尿器科医が増えてきました。医学史上初の内視鏡が「膀胱鏡」であることでわかるように経尿道的な内視鏡手術や腹腔鏡手術などの低侵襲手術、さらには各種レーザー治療や顕微鏡手術などの先端医療の臨床応用も積極的に行っていることも泌尿器科の特徴です。内分泌学の理論を実践し、ホルモン療法でがんの治療法を確立し、ノーベル賞を受賞したHuggingsを代表として、最近では腎細胞がんに対する分子標的薬の開発や臨床応用、さらには排尿障害に対する神経伝達機構に関する神経生理学的な研究や治療薬剤開発など、将来臨床に応用できる最先端の基礎研究も絶えず盛んに行われています。
このように泌尿器科は、専門性を生かしたスペシャリストを目ざす方はもちろん、総合診療科的な考え方を身につけたいと考えておられる研修医にも最適です。対象とする患者さんも小児から高齢者まで幅広く、適材適所で働く場所を見つけることが可能です。オフィスウロロジーという分野も充実しており、開業を前提とした研修を考えている方にも最適の科であると思います。
泌尿器科における卒後臨床研修では、希望目標に応じた個別研修プログラムの選択が可能です。みなさんの希望する研修目標に向けて個別アドバイザーも精一杯併走します。 ぜひ、みなさん!泌尿器科診療の現場でその魅力を体感してみてください。
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「ダ・ヴィンチS」を用いたロボット支援腹腔鏡下手術(低侵襲治療) |
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前立腺癌に対する密封小線源治療(低侵襲治療) |
分子標的治療 |
2)泌尿器科での初期研修後のキャリアパス
初期研修後の研修は主に高知大学医学部泌尿器科学教室において行う。関連病院や院内他科での研修も可能である。当科における研修では医学博士ほか日本泌尿器科学会専門医・指導医、泌尿器腹腔鏡技術認定医、がん治療認定医、透析医学会専門医・指導医、臨床遺伝専門医・指導医の取得が可能である。これらの専門医取得のためには初期研修のころから自らの進路を想定し、学会会員になっておくことが必要である。
- 専門医・指導医取得のために入会が必要な学会
- 日本泌尿器科学会専門医・指導医-----------日本泌尿器科学会
- 泌尿器腹腔鏡技術認定医------------------日本泌尿器内視鏡学会
- がん治療認定医--------------------------日本癌治療学会
- 透析医学会専門医・指導医-----------------日本透析医学会
- 臨床遺伝専門医・指導医-------------------日本人類遺伝学会
3)ローテート推奨パターン
対 象: |
研修医で当科における泌尿器科研修プログラムを希望する者が選択できる。 |
研修期間: |
1年目2〜3か月、2年目3か月を基準とする。また、個人の希望に合わせて研修プログラムを作成する。 |
受入人数: |
同時期に5人程度まで |
推奨例
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