高知大学農林海洋科学部・大学院総合人間自然科学研究科農林海洋科学専攻

学び360度! 先輩たちの声
大学での学び方や先生との関係、農学生生活、サークルなどなど……。
高校とは違う大学でのリアルな生活を先輩たちに聞いてみました。

特集記事−Feature article

今こそ「暖地」を科学せよ

体外受精の受精率向上を目指す

細川真美

修士2年(2015年度)

朝は牛のお世話、昼はラボで実験の日々

高知大学のいいところは、研究室のすぐ隣に牛舎や放牧場があることです。私たち学生は、毎朝つなぎと長靴という格好で牛舎に行き、掃除やエサやりなど牛のお世話をします。土佐あかうしは、雄だと体重700~800㎏ほど。大きいし、最初はびっくりしましたが、性格がおとなしくて人懐っこいので、すぐに慣れることができました。今はどの子も本当にかわいい! 全ての牛に名前がついていますが、さすがに覚えられないので、私は自分で勝手に名前をつけて呼んでいます(笑)。

牛のお世話が終わると研究室に移動し、今度は顕微鏡で大きさ約0.1ミリの卵子をのぞきこみます。実験では無菌操作が必要なので、牛舎から菌を持ち込まないよう気をつけます。正直、受精卵の研究だけなら研究室の中だけで十分できますが、やはり本物の牛と毎日触れ合いながら研究に取り組めるのは、モチベーションや問題意識も全然違います。恵まれた研究環境だと感じています。

お世話中、懐いて寄ってきてくれます!

体外受精の受精率向上

私が取り組んでいるテーマは、体外受精の受精率の向上です。まず、受精卵を培養する培地に抗酸化作用のあるビタミンCを添加することで、受精率が上がるかどうかを実験しました。この検討には少なくとも100個以上の卵子が必要でしたが、私たちの研究室は毎週、地域の屠殺場から牛の卵巣を分けていただいているので、それを使うことで十分なデータを得て結果を出すことができました。

現在は、牛は夏場に繁殖機能が衰えるという点に注目し、夏と同じ状態になるよう再現した卵子を使ってビタミンCを添加した場合の受精率を調べています。今後は、なぜ受精率の向上にビタミンCが影響するのか、そのメカニズムについても解明していきたいと思っています。
実験結果の応用としては、体外受精においてビタミンCを使用することはもちろん、例えば夏場の餌にビタミンCを混ぜることで雌牛の繁殖能力を上げるといった可能性も考えられます。先生のアドバイスのもと、基礎と応用と両面から、日々研究に取り組んでいます。

研究成果は、日本畜産学会で発表。手応えを感じた(スライドより抜粋)

 

【教員より一言:松川教授】
私自身、いろんな人との出会いが思いがけない展開につながる・・・という経験をたくさんしてきたので、学生のみんなにもそういう機会を得てほしいという思いから、様々な場所に学生を連れ出していくことを研究室の方針としています。
学会はもちろん、行政のプロジェクト会議や地元の畜産農家さん、地域の和牛品評会など、どこでもあり!
先日は、品評会で高級ステーキ肉をたくさんゲットし、みんな大喜びでした(笑)。