高知大学農林海洋科学部・大学院総合人間自然科学研究科農林海洋科学専攻

農林資源科学科 農芸化学コース化学的視点から世界の常識をくつがえす生命、環境、食、健康などをテーマに化学的な思考や手法を学び、
生物生産の様々な現場で活躍できる先駆的人材となることを目指します。

注目度もおもしろさもMAX! バイオテクノロジーが導く未来

こういう人にオススメ!

環境・生命・食料などの幅広い分野で、

世界を相手に学術的に勝負する「基礎研究」から

実社会で役立つ技術開発を目指した「応用研究」まで最先端の研究をやりたい人

コースの特徴−Feature

化学でひも解く生命、
創造する未来

食料、資源、エネルギー、環境などの問題解決の鍵として注目されるバイオテクノロジー。例えば、生体高分子を利用した抗菌・抗ウイルスコーティング素材の開発や、化学の知識を応用した環境浄化、昆虫の性フェロモンを利用した環境負荷の少ない防虫害技術の研究など、その可能性は無限大です。
本コースでは、化学を中心とした専門知識と技能の学びを通じて、豊かな未来の実現を目指します。

在校生・卒業生が語る農芸化学の学びとその魅力

農芸化学の学び−Learning

多彩な授業で
深化する学び

「化学」、「環境」、「生物」に関する幅広い専門知識を身に着け、各分野で扱うデータを「データサイエンス・デジタルトランスフォーメーション」により網羅的に解析・理解する手法を学びます。また、充実した各種実習により身に着けた実験技術を用い、卒業論文研究に取り組みます。

※取得できる資格:中学校一種免許状(理科)、高等学校一種免許状(理科)、食品衛生監視員、食品衛生管理者、毒劇物取扱責任者、甲種危険物取扱者(受験資格)

卒業論文研究紹介 ―高知だからできる研究最前線―新たな手法で海底下微生物のゲノム情報を解析

森澤 高至 生体分子機能学研究室所属 | 高知県立高知西高等学校出身

僕の研究テーマは、深海底に生息する微生物の機能未知遺伝子の解析です。試料は、JAMSTEC(海洋研究開発機構)が採取した海底コア。そこからメタゲノムを抽出し、新たな手法を用いて、機能性遺伝子の網羅的探索を行いました。
海底下微生物は実験室での培養が困難で、遺伝子の大半が未知のゲノム配列です。それゆえ、現在の主流である既知遺伝子情報に依存した探索や、酵素活性をもとにした探索といった方法は効率的ではありません。
そこで着目したのが、2005年に産業技術総合研究所が開発した基質誘導を指標とした新手法。この解析手法は高度な設備や機器を必要とする手法ですが、JAMSTEC海洋コア国際研究所(旧高知コアセンター)と連携できたからこそ実現しました。高知大学だからこそ取り組めた先端的な研究なのです。


ショットガンライブラリーから光る大腸菌を単離する「セルソーター」。
1秒間に7万種の微生物を見分けられる。(海洋コア国際研究所(旧高知コアセンター))

―地域と大学を結ぶ研究―現場と大学を往復して地域食材の機能性を探る

島村 智子 教授 生物資源利用化学研究室

高知県では、様々な農産物が生産されています。ショウガ、ニラ、ナス、ユズ、ミョウガなど独自の食材も多く、地域食材の持つ機能性は、大切な“価値”と言えます。私たちの研究室では、卒業論文研究として、そいういった食品の機能性の探索や分析、評価に日々取り組んでいます。
”地域の大学”である高知大学には「次世代地域創造センター」があり、教員が地域コーディネーターとして県内7カ所のサテライトオフィスに常駐し、地域課題の掘り起こしや助言を行っています。
その事例のひとつが、四万十町のショウガ。この町はショウガの収穫量が多いにもかかわらず、詳しい分析データがありませんでした。そこで、当研究室がジンゲロールやショウガオールといった機能性成分を分析。数値や成分の特徴を把握することができました。この研究は化学分析にとどまらず、商材開発やHPでの情報発信などマーケティングの領域にも広がり、地域と協働する研究モデルになりました。頻繁に現地に通い、生産者や行政、JAに職員、料理の専門家など様々な人とディスカッションしたことは、学生たちにもいい勉強になったと思います。


(写真上)研究室は大所帯!(写真下左)四万十町でのショウガ収穫風景
(写真下右)「しまんと生姜収穫祭」には学生たちも参加

研究の成果−Research topics

社会に活かされる
研究成果

卒業論文研究を通じて生み出される成果は、社会の様々な分野で実用化されます。

研究成果-1高知大学発祥! 化学の力で「スズメバチサラバ」

スズメバチで死亡する人は、毎年、20人前後と多発しています。これはクマやヘビが原因で亡くなる数より圧倒的に多く、身近に潜む危険といえます。
生理活性物質化学研究室(担当教員:金 哲史)発祥バイオベンチャーの商品「スズメバチサラバ」は、これまで効果のある忌避・殺虫剤のなかったオオスズメバチも含め、スズメバチ類・アシナガバチ類が嫌う香り成分を活用した画期的な忌避・攻撃本能消失剤です。人体に対する安全性も実証されているため、安心して使用できます。

研究成果-2新型コロナウイルスを不活化する 「抗菌・抗ウイルスコーティングポリマー剤」を開発

環境バイオマテリアル学研究室(担当教員:芦内 誠)では、納豆菌由来のバイオポリマーと安全な薬用成分から合成したコーティング剤を研究開発。コロナウイルス、インフルエンザ、大腸菌、カビ等、様々なターゲットに対する有効性が確認されました。
このポリマー剤はコーティング性に優れ、フィルター、ガラス、段ボール、プラスチック等、コーティングする側の材質を選ばない画期的なものです。水では簡単に流れない強力な皮膜を形成する特性もあるため、様々な分野への活用が期待されています。

研究成果-3ヒ素や重金属を取り除いた安全な水を世界の人々へ

人が生きていく上で欠かすことができない水。世界では、汚れた水しかない生活環境のため、生命を落とす人々が存在します。
土壌環境学研究室(担当教員:康 峪梅)では、高性能鉄吸着剤を用いた浄水装置を、人体に有毒とされているヒ素に汚染された海外の井戸に接続し、井戸水からヒ素を効率的に除去できることが実証されました。
この技術によって、地下水のヒ素汚染で苦しんでいる地域の人々に安全な水を提供することができます。
(文部科学大臣表彰科学技術賞受賞業績)

各教員の研究事例を知りたい人は

詳しくはこちら

社会で活躍する先輩からのメッセージ−Message

コロナ禍を終息させるべく国産ワクチン開発中!

常光 優太さん

第一三共バイオテック株式会社 技術部 分析技術グループ
高知県立高知西高等学校出身

ワクチンの開発や改良の業務に携わっています。ワクチンは患者さんのみならず、健康な人も含め、全国民が接種対象となるため、責任感とともに大きなやりがいを感じています。特に、コロナ禍を終息させるべく、国産のコロナワクチン開発にもチーム一丸となって取り組んでいます。私は高知大学で大学院まで進学し、化学や遺伝子工学など、ワクチン開発に活かせる基盤的な知識やスキルを身に着けることができました。
農芸化学コースでは、生命を育む環境といったマクロな世界から、タンパク質や遺伝子といったミクロな世界まで、幅広く学ぶことができます。将来研究者を目指す高校生の皆さんにも自信を持ってお勧めできるコースです。

大学での研究活動で、今までにないものを開発する難しさと面白さを実感

小椋 梨花さん

タマノイ酢株式会社 経営企画部 企画開発室 購買課
大阪教育大学附属高等学校平野校舎出身

お酢の醸造・販売を行うメーカーに勤務しており、原料や資材などの調達を行う購買の仕事をしています。調達する内容は米や酒粕などの主原料から色素や香料、容器やラベルなど多岐に渡ります。毎日大変ですがとてもやりがいのある仕事を任せて頂いており、日々奮闘中です。
大学時代は日本酒を作る酵母の研究をしていました。今までにないものを開発する難しさや面白さを研究を通して学ぶことができました。原料の検討を行う際や、契約をする際に発酵について学んだことが役に立っています。また、知識だけでなく実験のスケジュールを自分で考え、試行錯誤してきた経験は長いスパンの業務案件の計画を立てるときにも活きていると思います。今後も高知大学で得た経験をもとに頑張りたいと思います。

農芸化学コースは、学びの選択肢が多いところが魅力

元賀 麻由子さん

(一財)日本食品検査 関西事業所 試験部門
兵庫県立三田祥雲館高等学校出身

食品の試験・分析や食品製造施設等の衛生調査・監査等を行う法人で働いています。その中でも食品の試験・分析を行う部署に所属し、食品中の重金属の分析を担当しています。
学生時代はイネの重金属輸送に関する研究をしていたため、重金属や分析機器、化学に関する知識は今の業務でも活かせています。
高知大学は高知の地域産業や豊かな自然を活かした研究から、世界の食糧問題まで幅広い分野について取り扱っており、選択肢の多いところが魅力です。受験生の皆さんも学びたいことがきっと見つかると思いますよ。

大学時代に得た「学びを楽しむ気持ち」と「論理的に考える力」を活かす

阪地 満帆さん

ユニ・チャーム株式会社 Global開発本部 第一商品開発部
Pants Platform Wellness Care
神奈川県立横浜緑ケ丘高等学校出身

衛生用品メーカーで商品開発者として働いています。仕事内容は大人用オムツの新製品開発で、仮説検証やIdea出しを繰り返しています。この仕事では知識の蓄積と仮説を立てる能力が重要であり、高知大学で得た「学びを楽しむ気持ち」と「論理的に考える力」を活かせていると感じています。学びを楽しめなければ仕事が苦しくなります。論理的に考えることが出来なければ事実を基に仮説を立てることができません。私が大学で得た2つの学びはどんな仕事に就いても必要なものです。
高知大学ではユニークな先生方や学生達と近い距離で様々なことを学ぶことができます。「専門的なことを学ぶだけに留まらない」のが高知大学だと思います。

進路情報−Career path

進路一覧

公務員
都道府県庁、市町村役場、高知県農業技術センター、警察署、消防署 など

民間企業
アグロカネショウ、アルフレッサファーマ、石原産業、えひめ飲料、オイシス、大塚製薬、オリジン東秀、片倉コープアグリ、三栄源エフ・エフ・アイ、シジシージャパン、昭和興産、大同化成工業、タマノイ酢、帝人、西川ローズ、ニプロ、ハンズマン、ベルグアース、盛田、森永デザート、山崎製パン、ユニ・チャーム、雪印種苗、米久、理研ビタミン、リョーユーパン、IDOM、JA全農 など

試験研究機関
一般財団法人日本食品検査、大学研究員 など

教員
中学・高校理科

大学院進学
高知大学大学院、大阪府立大学大学院、九州大学大学院、京都府立大学大学院、神戸大学大学院、島根大学大学院、筑波大学大学院、東京大学大学院、東京海洋大学大学院、奈良先端科学技術大学院大学 など