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令和5年度「授業について考えるランチセミナー」<合理的配慮の必要な学生に対する学生支援実践(アカデミックアドバイジング)>が開催されました。

2023年11月13日

令和5年度「授業について考えるランチセミナー」<合理的配慮の必要な学生に対する学生支援実践(アカデミックアドバイジング)>が開催されました。

授業について考えるランチセミナーは、テーマを変えて、毎月第2・第3木曜日に開催しています。

テーマの詳細やお申込みについては、FD・SDの取り組み | 高知大ポータル (kochi-u.ac.jp)の、「授業について考えるランチセミナー」ページをご覧ください。

-----開催報告-------

開催日時

第1回: 10月12日(木)12:05~12:50

第2回: 10月19日(木)12:05~12:50

 

参加者数

第1回: 10月12日(木)49名

第2回: 10月19日(木)51名

 

コーディネーター・講師・登壇者

コーディネーター:  杉田 郁代(高知大学学び創造センター)

第1回:  講師:           杉田 郁代(高知大学学び創造センター)

第2回:  講師:           杉田 郁代(高知大学学び創造センター)
            登壇者:        大沼 泰枝(香川大学学生支援センター)

 

◆内容

第1回:  まず講師から、大学教育における合理的配慮が必要な学生として、とくに精神・発達障害を有する学生が増加している現状が示され、これらの学生に焦点を当てて今月のセミナーを進めることが示された。その中で、講師から「アカデミック・アドバイジング」を通じて、学生が自立して学習を行い、単位を修得し卒業できるように支援する方策が提案された。アカデミック・アドバイジングとは、これまで教職員が行ってきた履修指導や学習支援、キャリア支援、生活相談等を含めた学生の修学に向けた支援のことである。

 これらを受けて、講師から合理的配慮が必要な学生に対して有効なアカデミック・アドバイジングを行うかについて、以下の3つのポイントが示された。1つ目は、教員だけでなく専門の部署との連携を行うことの重要性である。とくに講師からは、教員が専門の支援部署に連絡・連携し、学生が面談等を申し込む等自分から行動できるよう促すことで、自立して学習に向かわせる訓練となることが強調された。2つ目は、コミュニケーションの際の方法に留意することである。これの例として、教員の前で緊張し、話の内容を聞き漏らす学生に対しては、教員と学生が共にメモをとるといった「モデリング」を行うことで、学生が緊張する場面でも内容を聞き漏らさないようなスキルを習得させる機会になることが挙げられた。3つ目は学生との関係を築き、学生が援助要請を気軽に出せるよう学生の「心理的安全性」を構築することである。その方法として、学生に声をかけること、学生の「困り感」を言語化し解決案を提示すること、等が示された。

 その後、質疑応答が行われた。オンラインのコメントツールであるLearnWiz One (https://learnwiz.one/) やZoomのチャット欄を通じて参加者から実際の学生への対応方法に関する相談も含めた多くの質問が寄せられ、講師がそれぞれの質問に対して回答を行った。


第2回: 今回は香川大学学生支援センターの大沼 泰枝 先生に登壇いただき、香川大学における事例も紹介しながら、学生の持つ「困り感」やその対応策について具体的な紹介が行われた。まず、精神・発達障害を抱える学生がどのような困難を抱えているかについて、大沼先生の事例を紹介しつつ、そのような学生を専門の支援部署とつなげる方法が例を挙げながら提示された。続いて支援部署の行っている支援策について、高知大学・香川大学それぞれの具体例が紹介された。

 その後は前回に引き続き、大沼先生を交えてLearnWiz OneやZoomのチャット欄から寄せられた質問や相談に関する回答が行われた。前回に引き続き、セミナー内容だけでなく合理的配慮が必要な学生に対する具体的な相談も多く寄せられ、講師からは活発な応答がなされた。

 

◆成果と課題

参加者アンケートを行った結果、「5. 本セミナーは今後の教育活動において有益なものであった」という設問において、第1回・第2回とも全ての回答者から肯定的な回答 (「とても当てはまる」「どちらかといえば当てはまる」の合計) を得ることができた。また、他の設問においても回答者の大半から肯定的な回答が得られた。

 

表 アンケート設問「5. 本セミナーは今後の教育活動において有益なものであった」回答結果

 

第1回(10月12日)

第2回(10月19日)

とても当てはまる

20(83%)

7(37%)

どちらかといえば当てはまる

3(13%)

11(58%)

どちらかといえば当てはまらない

1(4%)

1(5%)

まったく当てはまらない

0(0%)

0(0%)

合計

24(100%)

19(100%)

※その他のアンケート項目の結果はグラフを参照。

自由記述においては、第1回では合理的配慮が必要な学生への対応方法やポイント、専門部署への連絡・連携の重要性や有用性を知ることができたといった記述が見られた。またいくつか講師への質問も自由記述の中には含まれており、第2回ではこれらの質問を受けての感想や感謝のコメントが見られた。また、第1回・第2回を通じて引き続きこのテーマについて継続して取り上げて欲しいといった意見が見られたほか、第2回では学生支援部署がない場合の対応策についても教えてほしいといった希望についても寄せられた。

今回は多くの大学から多数の教職員が参加していることが特徴的であった。これは、合理的配慮が必要な学生への対応が幅広い大学・教員間で喫緊の課題となっていることを示すものであると言える。実際にセミナー内ではLearnWiz OneやZoomのチャット欄を用いた質疑も活発に行われており、参加者の関心や積極的な姿勢が見られた。これらの合理的配慮に関するテーマについてはニーズが高く、幅広い大学からの教職員が気軽に参加できる本セミナーで実施する意義は大きいと考えられるため、今後も内容をさらに充実させ、継続的に実施していきたい。

 

◆アンケート回答結果

第1回 (n=24)

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第2回 (n=19)

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■セミナーの模様(アーカイブ動画より抜粋)

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