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令和5年度「授業について考えるランチセミナー」<学生の学習を促す試験問題・レポート課題の作り方>が開催されました。

2024年1月13日

令和5年度「授業について考えるランチセミナー」<学生の学習を促す試験問題・レポート課題の作り方​>が開催されました。

授業について考えるランチセミナーは、テーマを変えて、毎月第2・第3木曜日に開催しています。

テーマの詳細やお申込みについては、FD・SDの取り組み | 高知大ポータル (kochi-u.ac.jp)の、「授業について考えるランチセミナー」ページをご覧ください。

-----開催報告-------

開催日時

第1回: 11月9日(木)12:05~12:50

第2回: 11月16日(木)12:05~12:50

 

参加者数

第1回: 11月9日(木)66名

第2回: 11月16日(木)60名

 

コーディネーター・講師・登壇者

コーディネーター:  吉田 博(徳島大学高等教育研究センター)

第1回:  講師:         吉田 博(徳島大学高等教育研究センター)
            登壇者:        藤川 華杏(徳島大学総合科学部1年生)
                                高橋 繭子(徳島大学総合科学部1年生)

第2回:  講師:           吉田 博(徳島大学高等教育研究センター)

 

◆内容

第1回: 最初に、試験やレポート課題を行う目的、および試験とレポート課題との違いおよび特徴について解説がなされた。続いて講師から、試験やレポート課題を作成する際に重要な点として、試験やレポート課題は授業と独立したものではなく、授業計画と一体のものとして考えることが重要であることが示された。具体的には、授業の到達目標との関連性、授業計画の中に試験やレポート課題がどう組み込まれているか、さらには試験やレポート課題が学生の主体的な学習を支援し、促すものとなっているかということが挙げられた。

 これらの点を踏まえ、第1回では試験に焦点をあてて、学生の主体的な学習を促す試験作りの工夫について2つの点から解説が行われた。その1つは、まず問題の種類・内容や問題文の工夫、単なる解答だけでなくそれに至る理由を同時に尋ねるといった、問題の作成に関する工夫である。またもう1つの点として、試験実施時の過去問の提示や実施後の学生へのフィードバックといった方法を通じて、試験によって学生の学習を促す方法も示された。

 続いて2人の学生が登壇し、自身の経験から学習が促された試験の内容や、参加者からの質問に対して回答を行った。その中には、どのような問題が解答しやすい・解答しにくいかといった質問や、テストや試験を授業内で複数回実施することに伴う学生の負担感を尋ねるものも見られた。


第2回: 今回は、第1回の振り返りとして試験やレポート課題の目的、それぞれの特徴や試験・レポート課題を作成する際に重要な点について再度解説が行われたのち、レポート課題に焦点を当てて実施の際の工夫が示された。中でも、レポート課題を実施する際に大きな問題となる「コピーアンドペースト(コピペ)」について、なぜコピペが行われるかが提示されたのち、コピペを防ぐための工夫として、以下のような例が挙げられた。

  1. 学生の能力や授業の到達目標に即したレポート課題を実施すること。
  2. 適切な引用をはじめとするレポート執筆のための知識や技術を示し、習得させること。
  3. 検索すればすぐに見つかるような題目(〇〇についてまとめなさい・説明しなさい・論じなさい等)を避け、自らのオリジナルな考えを記述させるような課題とする(実体験を交えさせる、具体例を挙げさせる等)や、文字数や文体等の形式にアレンジを加えさせる課題とするといった工夫を行うこと。
  4. 授業全体を通じてレポート執筆に対する説明や支援、注意やフィードバック体制を整えることで学生との信頼関係を作ること。

 最後に講師から、これらの工夫はセミナーの最初に挙げられた通り、授業計画と密接にかかわるものであり、授業設計や授業の到達目標に関する理解が重要であることが示された。

 

◆成果と課題

参加者アンケートを行った結果、「5. 本セミナーは今後の教育活動において有益なものであった」という設問において、第1回・第2回とも全ての回答者から肯定的な回答 (「とても当てはまる」「どちらかといえば当てはまる」の合計) を得ることができた。また、他の設問においても回答者の大半から肯定的な回答が得られた。

 

表 アンケート設問「5. 本セミナーは今後の教育活動において有益なものであった」回答結果

 

第1回(11月9日)

第2回(11月16日)

とても当てはまる

20(90.9%)

10(71.4%)

どちらかといえば当てはまる

2(9.1%)

4(28.6%)

どちらかといえば当てはまらない

0(0%)

0(0%)

まったく当てはまらない

0(0%)

0(0%)

合計

22(100%)

14(100%)

※その他のアンケート項目の結果はグラフを参照。

自由記述においては、第1回では具体的な試験問題の作成方法を知ることができたという意見のほか、学生の生の声、とくに課題に対する負担の程度について聞くことができ有益であったという内容の記述が見られた。また第2回では、レポート試験の実施にあたっては学生との関係を築いたり、段階的にレポートを課したりといった工夫、あるいはレポート課題と授業目標は一体という説明から講師からなされたこともあり、授業計画や授業設計の段階からレポートを考えたいといった記述が見られた。

今回も先月に引き続き多くの教職員が参加しており、今回のテーマに関する関心の高さがうかがえた。この背景には、もちろんコロナ禍でのオンライン授業を経て授業でICTの活用が進展したことや、ChatGPTに代表される生成AIが急速に広まったことで、コピペ等への対応がそれぞれの大学・学部・学科・教員に求められることが考えられる。

一方で試験やレポートは単なる成績評価・単位認定の方法だけでなく、学生のこれまでの学習を振り返り今後に活かす機会(Assessment for Learning)となるとともに、かつそれ自体が学習の機会(Assessment as Learning)ともなる。今回のセミナーを通じて、課題やレポートにおいて学生が自分で思考することを促すことの重要性と意義についての理解が広がり、それぞれの大学・学部・学科・教員の間で積極的に実践と事例の共有がなされることを期待する。また今後もそのような取り組みを促せるよう、本セミナーにおいても、今回のテーマについては改善を行いつつ継続して実施したい。

 

◆アンケート回答結果

第1回 (n=22)

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第2回 (n=14)

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■セミナーの模様(アーカイブ動画より抜粋)

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