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令和5年度「授業について考えるランチセミナー」<アンケートの作り方・分析の仕方​​>が開催されました。

2024年3月11日

令和5年度「授業について考えるランチセミナー」<アンケートの作り方・分析の仕方​​​​>が開催されました。

授業について考えるランチセミナーは、テーマを変えて、毎月第2・第3木曜日に開催しています。

テーマの詳細やお申込みについては、FD・SDの取り組み | 高知大ポータル (kochi-u.ac.jp)の、「授業について考えるランチセミナー」ページをご覧ください。

-----開催報告-------

開催日時

第1回: 2月8日(木)12:05~12:50

第2回: 2月15日(木)12:05~12:50

 

参加者数

第1回: 2月8日(木)81名

第2回: 2月15日(木)62名

 

コーディネーター・講師・登壇者

コーディネーター: 飯尾 健(徳島大学高等教育研究センター)

第 1 回:飯尾 健(徳島大学高等教育研究センター)

第 2 回: 飯尾 健(徳島大学高等教育研究センター)

 

◆内容

第1回: 今回は授業改善に向けたアンケートのうち事前の設計と実際のアンケートの作成に焦点を当て、それぞれにおける重要な点について講師から説明がなされた。

まず事前設計においては、あらかじめ学生にアンケートを行うことで「何」を明らかにするか具体的かつ明確にポイントをしぼること、そのためにどのような分析を行い、どのような結果が出ることが求められるかについて検討することの重要性の2 点が説明された。これは、アンケートで何を明らかにするかによって、実施回数や作成項目といったアンケートの実施に関する根幹となる事項も変化する場合があるためであり、したがってアンケートの設計はアンケートを実施する直前ではなく、授業が始まる前から検討することが重要であることが強調された。

続いて、具体的なアンケートの作成について、アンケートの目的や説明事項を説明する教示文、各質問項目について、何をどのように尋ねるかを説明する質問文、加えて回答者に用意された質問への回答方法や回答に関する項目である回答方法の3 点のそれぞれにおいて、作成にあたり注意すべき点が説明された。

教示文については、アンケートの目的やデータの活用方法に加え、回答者の個人情報に関する保護や回答者が有する権利について示すこと、具体的には成績等にアンケート結果が影響しないことや、アンケートを拒否できる権利を有することについて説明する文を記載することが重要であることが示された。とくに、所属大学・学部・学科における倫理規程に従い、場合によっては審査を得る必要があることが説明された。また質問文作成にあたっては、避けるべき質問として2 つ以上の事柄を一度に尋ねるダブルバレル質問のほか、何らかの回答に誘導しようとする質問や倫理的に回答しづらい等の理由で虚偽の回答を誘発しやすい質問の3 つを挙げ、それらの具体例についても紹介された。さらに回答方法については多肢選択、リッカート尺度、複数選択、数値記入、自由記述といった代表的な回答方法について、それぞれ注意すべき事項が挙げられた。

その後、チャットやLearnWiz One といったツールを用いた参加者との質疑応答がなされた。


第2回: 今回は、アンケートを実施した後のデータの整理と分析をテーマに、Excel 、およびE xcel 上のマクロとして動作する統計分析ツールであるHADHAD(https://norimune.net/had had)を用いた実演を交えて、統計分析のためのアンケートデータの整理、および実際の分析を通じた分析方法の紹介や分析結果の見方について紹介がなされた。

データの整理にあたっては、E xcel 上で集計されたデータを統計的に分析するよう数値に変換するとともに、それぞれのデータの種類が名義尺度、順序尺度、間隔尺度のいずれに該当するかに注意することが示された。

その後、統計分析でよく用いられる2 つの分析方法について、説明と実際の論文等で活用されている例、さらにはHAD を用いた分析の実演が行われた。まずt 検定、一要因分散分析といったグループ間での平均の比較について説明と事例紹介がなされたのち、HAD と用意されたサンプルデータを実際に用いて一要因分散分析を講師が実践し、分析の手続きならびに出力された分析結果の見方について説明を行った。同様に相関分析についても、概要の説明、実践事例の紹介ならびにHAD を用いた分析について実演を交えた紹介がなされた。

最後に、これらの分析結果を「改善」につなげること、すなわち明らかになった分析結果をもとに、さらに調査を深掘りしていく調査の「改善」と、分析から得られた示唆を授業に反映していく授業の「改善」の2 つの改善を行っていくことの重要性が講師から述べられた。

 

◆成果と課題

参加者アンケートを行った結果、「5 . 本セミナーは今後の教育活動において有益なものであった」という設問において、第1 回・第2 回とも全ての回答者から肯定的な回答 「とても当てはまる」「どちらかといえば当てはまる」の合計 を得ることができた。また、他の設問においても回答者の大半から肯定的な回答が得られた。

 

表 アンケート設問「5. 本セミナーは今後の教育活動において有益なものであった」回答結果

 

第1回(2月8日)

第2回(2月15日)

とても当てはまる

17(73.9%)

11(61.1%)

どちらかといえば当てはまる

6(26.1%)

7(38.9%)

どちらかといえば当てはまらない

0(0%)

0(0%)

まったく当てはまらない

0(0%)

0(0%)

合計

23(100%)

18(100%)

※その他のアンケート項目の結果はグラフを参照。

自由記述においては、第1 回においてはアンケート実施におけるアンケートの設計の重要性や、実際に質問項目を作成する際の注意事項について理解することができたといった感想や、第2 回では分析ツールとして用いたHAD について知ることができたといったものがあった。一方で、研究として行うアンケート調査と授業改善のためのアンケート調査と異なる点について知りたい、アンケート調査の実践例を紹介して欲しいといった希望のほか、第1 回においては内容のボリュームが多く、講師も早口になってしまい内容を把握することが難しかったといった感想も聞かれた。

今回のセミナーは2 月8 日の回で過去最高の参加者を記録した。この要因としては、徳島・高知のみならずSPOD 加盟校から幅広い参加が見られたこと、教員だけでなく職員も多く参加していたことの2
つが考えられる。このことから、アンケート調査をどのように行うかは様々な大学・分野・授業の様々なレベルにおいても共通する課題であることがうかがえた。来年度も、引き続き参加者のニーズに応えられるセミナーを実施していきたいと考える。

 

◆アンケート回答結果

第1回 (n=23)

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第2回 (n=18)

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■セミナーの模様(アーカイブ動画より抜粋)

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