トピックス

泌尿器科トピックス 第3回 ~血液透析について~

▼ 国内における血液透析について

現在国内には約34.7万人(2020年12月31日現在)の透析患者さんがおり、透析が必要になる患者さんのうち、93.9%の方は血液透析で導入されております。全国的な普及割合から、透析療法といえば血液透析のことを指します。人口100万人あたり透析患者数(有病率)は2754.3人で、国民約363.1人に1人が透析患者さんであることになります。維持透析患者さんの平均年齢は69.4歳、最も多い原因疾患は糖尿病性腎症、次いで慢性糸球体腎炎、第三位が腎硬化症となっています。年間の透析導入患者数は約4万人であり、緩やかに増加しています。年齢に着目して透析患者数をみると、最も割合が高い年齢層は男女とも70~74歳です。65歳未満の患者数は2012年から減少し、70歳未満の患者数は2017年から減少しており、透析患者数の増加は、70歳以上の患者数の増加によるものとなっており、高齢化が影響していることが分かります。高知県でも、約2600名の透析患者さんがいます。

具体的に血液透析とは、自身の腎臓の代わりに人工腎臓のフィルター(ダイアライザー)を介して、血液から老廃物・余分な水分を取り除く治療法のことを言います。1回の治療で概ね4~5時間の治療時間を要します。それを週3回(月・水・金もしくは火・木・土)病院へ通院して行います。医療機関で治療を行うため、時間的拘束はあるものの、医療者にお任せで治療を受けることができます。

図1

血液透析

▼ 透析を始めたら気を付けること

人工腎臓は、腎臓の機能のうち、水分・老廃物の除去、ミネラルの調節を担います。これに加え、内科的な造血ホルモンの投与やビタミンD活性化薬の投与を併用します。治療する上では、患者さん自身による水分摂取制限や食事療法が治療継続に必要になります。腎臓が行っている機能を人工的に行う代替治療であるため、血液透析は一定期間の治療で終わるものではなく、永続的に治療を要します。

血液透析治療を受けることになると、下記のことが必要となります。

図2

腎臓の機能は主に次に挙げる3点です。1点目は尿を作る機能です。尿には水分だけでなく、体内で作られた老廃物やミネラルが含まれております。尿を作ることにより、体内水分量の調節や酸や余分なミネラルなどの老廃物排泄を調節しています。このため、腎臓が悪くなると体がむくみ、老廃物の蓄積により倦怠感や皮膚の色素沈着が見られるようになります。また、リンの蓄積により骨がもろくなり、動脈硬化なども進行します。2点目の働きは血色素(ヘモグロビン)を作るホルモンを産生することです。腎臓が悪くなると貧血が進み、疲れやすくなるなどの症状が出ます。3点目の機能はビタミンDを活性化することです。ビタミンDの活性が乏しくなると骨がもろくなり、骨粗しょう症のような症状が出ます。

腎臓は、尿をつくり出し、体の環境を整える重要な役割を担っています。

図3
▼ バスキュラーアクセスって?

私は泌尿器科専門医として、大学病院で泌尿器科全般の診療を担当しています。その中でも、血液透析を行うための血管(バスキュラーアクセス)に関連する手術を行うことを専門としております。

図4

上図に示したように、自分の動脈と静脈をつなぎ合わせる手術を行って、透析を行うための準備をします。これをシャント(バスキュラーアクセス)と呼び、血液透析を行う際の患者さん側のアクセスルート、つまり血液を人体から脱血したり返血したりするための出入り口になります。90%以上は自分の血管をつなげて作成しますが、自分の血管が細い人には人工の血管を移植する場合もあります。血液を浄化するための機械に送るには、1分当たり150〜200mlの十分な血液流量が必要です。そのため、血液量が豊富な太い血管をつくる手術を行う必要があります。手術は局所麻酔で行われ、一般的には1~1時間半くらいかかります。利き腕ではない側に作るのが一般的で、術後2週間ほどで透析に使用できるようになります。血液透析では、一度の治療で2本の針を刺す必要があり、透析を続ける限り生涯使用することになります。しかし、一度作製したら生涯使えるわけではなく、定期的にメンテナンスを必要とする患者さんもいます。シャント関連手術の80%以上はPTA(経皮的血管形成術)となっています。

図5

経皮経管的血管形成術

血管が狭窄し、シャントの血行が妨げられることにより起こる各種症状に対して、バルーンカテーテルを使用して血管を内側から押し広げ、血行を再建する手技です。

▼ PTA(経皮的血管形成術)って?

PTAの手術は30分程度で終わり、直後から透析に利用できます。皮膚を切開しないので、患者さんの負担が少なく、繰り返し治療を行うことができるので、貴重なシャントを長期間使用することができるメリットがあります。一般的にPTAは、造影剤という薬剤を投与して放射線を照射しながら治療します。しかし、アレルギー反応や被爆のリスクが高まります。私は超音波機器を使用したPTAをほぼ全例で行っており、患者さんへのリスクが少ない手術を行うことができております。超音波機器と手術の道具さえあれば、場所を問わず手術が可能となります。

図6

超音波ガイド下PTA

右手でガイドワイヤー・バルーンカテーテルの操作、左手はエコープローブの操作を行える状態になるように、術者と機器の位置を設定している。

現在、高知県には約2600人の透析患者さんがおり、東西に長い高知県で広く治療を受けております。治療のためにバスなどで通院している方もおり、絶対的に施設や治療に関わるスタッフが不足しております。シャント関連手術に関わる医師も少なく、私も大学病院以外でも診療を行っております。今後も地域の医療に貢献できるよう努めていきたいと思います。

診療担当医

刑部 博人

刑部 博人(透析部 助教)

卒業年
2012年(平成24年)
出身大学
高知大学医学部
専門分野
泌尿器科一般、血液透析
所属学会
泌尿器科学会
透析医学会
専門医・資格など
泌尿器科専門医
医真伝心

太田 雄飛

太田 雄飛

卒業年
2016年(平成28年)
出身大学
久留米大学
専門分野
泌尿器科一般
所属学会
日本泌尿器科学会
日本泌尿器内視鏡学会

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