男女共同参画セミナー「キャリア・ジャングルジム」詳細
2014.09.24
「キャリア・ジャングルジム」の講師には、株式会社ハナマルキャリア総合研究所代表で、財団法人女性労働協会理事の上田晶美(うえだ あけみ)さんをお招きし、講義、ロールモデルを交えてのパネルトーク、グループ・ディスカッションを実施しました。
1限目は、「男女共同参画のライフキャリア」をデザインする、について講義がありました。「就活の女神」と呼ばれる上田さんから、就職活動をひとつの切り口に、コミュニケーションの重要性についてお話がありました。コミュニケーションでまず大切なことは聞くこと。そして、姿勢が良いこと、目を合わせること、笑顔であることも、言葉でやり取りするコミュニケーションをより効果的にしてくれる大切な要素です。学生は一日、その姿勢を意識して授業に参加することを約束しました。
2限目は、「3人3様のライフキャリア〜3人のゲストを交えた講義〜」を行いました。
1人目のロールモデルゲストとして、高知市の株式会社ファースト・コラボレーション代表取締役社長の武樋泰臣さんに社員第一の経営についてお話しいただきました。ファースト・コラボレーションは不動産仲介業の企業ですが、業界の常識とは全く違うスタイルの経営に誇りを感じています。ノルマなし、就業時間は自分で決める、勤務の合間を見つけて、買い物OK、保育園のお迎えOK、お昼寝OK。女性が働きやすい職場環境を従業員みんなで考えることで、職場全体が協力し合う風土が生まれました。その結果、売り上げも順調に伸びて、グループ企業の顧客満足度ランキングでも常にトップランキングに入るようになり、従業員第一の会社は顧客からも高く評価されています。
業界の常識は、本当に常識なのか、働き方を変えることが「怖い」だけではないのかと、色々と考えさせられ、教えられた報告でした。
二人目のロールモデルは「月刊お母さん業界新聞・高知版」編集長で、「子育て支援ろばみみ」を運営している、高木真由美さんです。高木さんは、臨床検査技師として8年勤務した後、お子さんのアトピーを経験し、アレルギーの子どもでも楽しめるカフェをつくりたいと考えました。このアイデアに賛同したお母さんたちが、「お母さん業」と兼業でできるカフェづくりに取り組みました。高木さんは、周囲の人に協力を願いする時、相手の話をよく聞き、相手の想いを酌んで自分の正直な思いを伝えることの大切さを学んだそうです。現在は、カフェの仕事に加えて、お母さん業のサポートになればと、お母さん業界新聞高知版の編集長として、更なる活動に取組んでいます。
高木さんの想いを育て、相手に伝えて、アイデアを実現していくバイタリティと、温厚で誠実な人柄が印象的でした。
3人目のロールモデルは、学校法人高知学園高知小学校教諭の渡辺一平さんです。渡辺さんには、1年間の育休を取得した時の経験についてお話しいただきました。二人目のお子さんが生まれた時、妻からヘルプのサインがあり、それでお母さん業の大変さに改めて気づかされ、ご自身が育児休業を取得しようと決めたそうです。
理解がある職場でしたが、それでも初めて相談した時の上司の反応は「仕事はどうなるんだ」という困惑したものだったようです。渡辺さんは、育児休業を申し出る半年ほど前から、担当業務の育休中の対応について具体的なシミュレーションを行い、そのプランを上司に説明できたことが良かったと振り返りました。
実際に育児休業を取ってみると、思っていたよりも行動が大変だということに気付いたそうです。買物、トイレ、ママ友との付き合い・・・。こうしたことは、実際に育児休業をとって、四六時中子どもと過ごす時間が無ければ気付かなかった視点だったと言います。
育児休業を取得した経験は、育児休業が明けて、仕事に復帰してからもプラスになったそうです。それは、子育てをするために仕事を効率的に行う習慣が身に付いたこと、そして、自分の子どもとより密に接する時間が持てたことで、小学校で教える生徒たちに対する接し方も良い方に変化したことだと言います。
渡辺さんが、また育児休業を取りたいと話した姿が印象的でした。
3限目・4限目は、グループ・ディスカッションを行いました。
9月23日(火)に、共通教育「男女共同参画社会を考える」のオリエンテーション、法学、哲学、社会学について講義を受けて、男女共同参画に関する知識をインプットしてきたことを、自分なりにアウトプットしながら、周囲と共有していく時間としました。
8人一グループになり、「働くこと」をキーワードに、KJ法を使ってブレインストーミングしました。メンバーから次々と出されたアイデアを、内容ごとにグループ分けして、話し合いのテーマを決めました。
アイスブレークなしに、話し合いが始まるかどうか少し心配もしましたが、その心配をよそに、学生の皆さんは活発に意見交換をしていました。事前に講義で聞いていた共通の知識を土台にして、自分たちの話を広げることが出来たようです。他のメンバーの話に耳を傾け、自分で考え発言することで、講義で学習した知識に対する理解が深まっている印象を持ちました。
グループ・ディスカッションを終えて、各グループから話し合いの内容を発表してもらい、他の参加者と情報共有をしました。グループによっては、男女共同参画に対して誤解していると見受けられる意見もありましたが、どのグループの発表も自分たちで率直な意見を出し合い、一生懸命考えた様子がうかがえるものでした。
セミナー終了後のアンケートでは、「男女共同参画は身近な事だと思いますか」の質問に対して、「そう思う」「どちらかといえばそう思う」を合わせて80%の参加者が、日常の生活と男女共同参画の関係について関心を持った様子がうかがえました。
グループ・ディスカッションによって、講義を聞きながら感じたことや疑問を自分で整理したり、他のメンバーから気づかされたりした経験が、とても有意義であったという感想が多く寄せられました。