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7月開催 授業について考えるランチセミナー<ユニバーサルデザインな視点での授業づくり >報告

2022年8月1日

令和4年度「授業について考えるランチセミナー」<ユニバーサルデザインな視点での授業づくり >が開催されました。

授業について考えるランチセミナーは、テーマを変えて、毎月第2・第3木曜日に開催しています。

テーマの詳細やお申込みについては、FD・SDの取り組み | 高知大ポータル (kochi-u.ac.jp)の、「授業について考えるランチセミナー」ページをご覧ください。

次回は9月8日、15日に開催予定です。

-----開催報告-------

◆開催日時

第1回: 7月14日(木)12:05~12:50

第2回: 7月21日(木)12:05~12:50

 

◆コーディネーター・講師・登壇者

コーディネーター: 杉田 郁代(高知大学大学教育創造センター)

  第1回: 講師: 高橋 由子(高知大学学生総合支援センター)

  第2回: 講師: 高橋 由子(高知大学学生総合支援センター)

 

◆参加者数

 第1回: 45名   第2回: 34名

 

◆内容

第1回: はじめに講師から、今回のテーマとなる授業におけるユニバーサルデザインの必要性について、障害を持つ学生への合理的配慮の必要性と法整備、さらに障害のある学生に対して障壁をあらかじめつくらないユニバーサルデザインを盛り込んだ授業の必要性について紹介がなされた。また、ユニバーサルデザイン化された授業は障害を持つ学生だけでなく全ての学生にとって学びやすい授業であることについても言及された。

続いて、授業をユニバーサルデザイン化するポイントのうち、今回は「みること」「きくこと」に焦点を当てて紹介が行われた。「みること」については、見やすいフォントの工夫や色覚に配慮した「カラーユニバーサルデザイン」の導入、また学生が自身でみやすいように工夫できるよう資料を電子データとして配布する等の方法が提供された。一方で「聞くこと」については、口頭での説明だけでなくテキスト化された情報を添えること、授業を聞きながらメモをとることに困難がある学生のために板書の撮影や録音・録画を許可すること、話すスピードをゆっくりとする、またグループワーク等では周囲の声で会話が聞き取りにくい学生のためにテキストでの記録や意志疎通を併用するといった工夫が例示された。

第2回:まず前回の振り返りとして、授業にユニバーサルデザインを盛り込む意義と必要性について講師から説明がなされた。

続いて、前回に引き続いて授業をユニバーサルデザイン化するポイントとして、今回は「書くこと」「プランニング・見通し」「コミュニケーション」の3点が挙げられ、それぞれについて紹介がなされた。まず「書くこと」については、メモをとることが困難な学生に対して録音を許可する、キーボードやスマートフォンのフリック入力、紙とペン等、学生の得意な方法で記録・記述することを許可する等が示された。また「プランニング・見通し」では、学生が授業に取り組みやすくなるよう授業の目的や流れ、内容を最初に示す、聞く・メモをとる・考える時間等、それぞれに集中する時間を設けるほか、学生にできている点、改善が必要な点をフィードバックすることも有効であることが説明された。「コミュニケーション」については、取り組みに関する具体的な観点や評価基準を示すこと、明確な指示等が挙げられた。加えて、アクティブラーニングやオンライン授業においてもユニバーサルデザイン化のポイントが示されたほか、今回のセミナーの要点をまとめたリーフレットについても紹介された。

   https://www.kochi-u.ac.jp/facilities/gakusei-shien/faculties/reasonable-accomodation.html 

 

◆成果と課題

今回は「授業について考えるランチセミナー」が徳島大学・高知大学共催となって初めて高知大学がコーディネートを行ったプログラムであった。しかし内容・参加者ともにいずれかの大学のみにあてはまるようなものではなく、両大学、あるいはSPOD加盟大学全ての参加者にとって活用可能な内容であるとともに、参加者も徳島大学・高知大学、あるいは徳島県・高知県内のSPOD加盟校から偏りなく参加していた。

参加者アンケートの結果では、「5. 本セミナーは今後の教育活動において有益なものであった」という設問において、下表に示す通り第1回・第2回とも回答者全員から肯定的な回答 (「とても当てはまる」「どちらかといえば当てはまる」の合計) を得ることができた。

 

表 アンケート設問「5. 本セミナーは今後の教育活動において有益なものであった」回答結果

 

第1回(7月14日)

第2回(7月21日)

とても当てはまる

11(58%)

11(85%)

どちらかといえば当てはまる

8(42%)

2 (15%)

どちらかといえば当てはまらない

0(0%)

0(0%)

まったく当てはまらない

0(0%)

0(0%)

合計

19(100%)

13(100%)

 

また自由記述においては、具体的かつすぐに授業に取り入れられる工夫が紹介されていた点が高評価を得られていた。またセミナー内においては、ユニバーサルデザイン化は障害を持つ学生だけでなく、あらゆる学生にとって授業への参加と理解を促すものであるということについてもコメントが寄せられた。

一方で第1回においては講師の声が聞き取りにくいという自由記述があり、その点において「発表資料や動画・音声に不都合な点はなかった」という回答に「どちらかといえば当てはまらない」「まったく当てはまらない」という回答がやや多くなったと考えられる。

加えてアンケート結果からは、今回は障害を持つ学生への配慮というテーマで実施したため、オンライン授業と比べてまだそれほど切迫したニーズを感じられない参加者もいたことが推測される。

このような点については、例えば実際の学生の声を紹介する等、より参加者にとって身近なテーマであることを認識できるような工夫が必要であろう。

 

◆セミナーの様子

 

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