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令和4年度「授業について考えるランチセミナー」<学生の多様化と学生支援>が開催されました

2023年3月1日

令和4年度「授業について考えるランチセミナー」<学生の多様化と学生支援>が開催されました。

授業について考えるランチセミナーは、テーマを変えて、毎月第2・第3木曜日に開催しています。

テーマの詳細やお申込みについては、FD・SDの取り組み | 高知大ポータル (kochi-u.ac.jp)の、「授業について考えるランチセミナー」ページをご覧ください。

令和5年度の初回は4月13日、20日に開催予定です。

-----開催報告-------

開催日時

第1回: 2月9日(木)12:05~12:50

第2回: 2月16日(木)12:05~12:50

 

参加者数

第1回: 2月9日(木)35名

第2回: 2月16日(木)32名

 

コーディネーター・講師

コーディネーター: 吉田 博(徳島大学高等教育研究センター)

第1回  講師:西本 佳代(香川大学大学教育基盤センター)

   登壇者: 高畑 貴志(高知大学学び創造センター)

                   塩川 奈々美(徳島大学高等教育研究センター)

第2回 講師: 西本 佳代(香川大学大学教育基盤センター)

         登壇者: 吉田 博(高知大学高等教育研究センター)

                杉田 郁代(高知大学学び創造センター)

 

◆内容

第1回:   まず講師より、学生データの活用に関する概略として、中央教育審議会による『教学マネジメント指針』を引用しながら、教学IRとその分析結果を適切に用いることが『教学マネジメント指針』の目指す「学修者本位の教育」に必要であることが示された。

これをもとに、学生データの活用に関する組織や活動内容について、香川大学・徳島大学・高知大学のそれぞれの現状と課題について報告が行われた。

香川大学では「教学IR部」が学習データの活用を担当していること、中でも学生の入学から卒業までの一貫した支援を、データを活用して行う「エンロールメント・マネジメント」や、学修成果の可視化のため、山形大学が開発した「基盤力テスト」を実施していることが報告された。一方で、エンロールメント・マネジメントに向けて、データを効果的に活用するための仕組みについて課題があることも示された。

高知大学では、大学全体でのIRを実施する組織とするして「IR・評価機構」が設置されているほか、とくに教学IRを実施するためのワーキンググループとして「学び創造センター」内に「教学IRワーキンググループ」が2022年11月に設置されたことが紹介された。課題としては、現在実施しているアンケート等のデータを含め、今後どのように教学IRを実施していくか、既存の部局とどのように分担していくかが課題として挙げられた。

徳島大学では、教学IRの担当部署として「教育の質保証支援室」があること、また主な取り組みとして、年に1回実施している「学生の学修に関する実態調査」の実施や、様々な部局で収集されたデータを集め可視化した「とくぽんと考える徳島大学」の発行等が紹介された。また課題としては、蓄積したデータをどう活用し、教育改革や教育改善に結びつけるかといった点等が示された。

 

第2回: 今回は学生に対して実際にどのような支援を行うかという点に着目し、講義と香川大学・徳島大学・高知大学からの事例報告が行われた。

まず講師からは、近年の学生支援に対するキーワードとして「学生の多様化への対応」を挙げ、そのような状況への対応策として、様々な課題に対して包括的に支援する組織が大学に設置されていることが示された。

続いて、それぞれの大学における学生支援組織とその現状および課題について、それぞれ事例報告が行われた。まず香川大学においては、学生支援組織として「学生支援センター」が設置されている一方で、修学支援やメンタルヘルス等の支援を担う他の組織・センターとどのように連携していくか、また前回の議論を踏まえ、教学IRとどのように連携するかが課題であることが示された。

徳島大学からは、まず修学支援やキャリア支援に関する各部門・部局や、生活支援を行うためのキャンパスライフ健康支援センターについて紹介がなされた。その後学生支援に関する課題として、生活面で問題を抱えている学生は多いものの、それぞれの組織がうまく活用されていないことや、学生への認知度が低いのではないかという点が挙げられた。

高知大学では、まず「学生何でも相談室」を入り口として関係部署と連携した学生支援の取り組みについて紹介がなされた。加えて、「公認心理師」の役割と、その中でも「支援を要する者の関係者」への助言・指導が可能であることを示し、教員等も公認心理師を活用できることと、それによる関係部署との連携の重要性が示された。最後に課題として、問題を抱えているにもかかわらず相談に来ない学生の存在、多様な学生への対応、専門的な学生支援との連携・協働の必要性が挙げられた。

 

◆成果と課題

参加者アンケートを行った結果、「5. 本セミナーは今後の教育活動において有益なものであった」という設問において、概ね肯定的な回答 (「とても当てはまる」「どちらかといえば当てはまる」の合計) を得ることができた。また自由記述においても、各大学の現状や課題を知ることができたり、学生支援の必要性を学ぶことができたという記述が見られた。

 

表 アンケート設問「5. 本セミナーは今後の教育活動において有益なものであった」回答結果

 

第1回(2月9日)

第2回(2月16日)

とても当てはまる

3(25%)

11(69%)

どちらかといえば当てはまる

7(58%)

4 (25%)

どちらかといえば当てはまらない

1(8%)

0(0%)

まったく当てはまらない

1(8%)

1(6%)

合計

12(100%)

16(100%)

※その他のアンケート項目の結果はグラフを参照。

 

一方で、今回は主に組織レベルでの話題提供が多かったため、教員の立場から見てすぐに実践できるような取り組みを紹介することにはつながらなかった。そのため、期待していた内容とは異なっていたという自由記述も見られた。アンケートにおいては肯定的でない回答も一部目立ったが、それにはこのような意見を背景にあると考えられる。

しかしながら、多様な問題を抱える学生をどのように支援していくかは大学教育においても大きな課題となり続けている。今後は実践例等も交える等、教員がどのように学生に対応するか等を学ぶことができるような内容を含めることも検討しつつ、当該テーマを発展・洗練させることが求められるだろう。

 

◆アンケート回答結果

第1回 (n=12)

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第2回 (n=16)

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■セミナーの模様(アーカイブ動画より抜粋)

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