公開日 2025年6月19日
愛媛大学連合農学研究科(高知大学所属)の飯島巧望さんが、令和7年5月24~25日に開催された第25回マリンバイオテクノロジー学会において、優秀口頭発表賞を受賞しました。
フグ毒として知られるテトロドトキシン(TTX)は、近年ホタテガイ等の二枚貝からも相次いで検出されています。二枚貝は、プランクトンの濾過(ろか)摂食者であることから、二枚貝が摂食するプランクトンの中に、TTXを保有/産生する生物が存在する可能性が考えられ、摂食されたプランクトンを明らかにすることが重要となります。これを明らかにする手法として、二枚貝の消化管に含まれるプランクトンのDNAをPCR増幅させ、得られた増幅産物の塩基配列を解析するメタバーコーディングが有用となりますが、その過程で二枚貝自身に由来するDNAも同時にPCR増幅され、プランクトン解析の妨げとなります。
そこで飯島さんは、博士論文のテーマの一環として、足立真佐雄教授の指導の下で、特定のDNAのPCR増幅を抑制するペプチド核酸(PNA)clampに注目し、ホタテガイのDNAのPCR増幅を完全に抑制する一方で、プランクトンのDNAのPCR増幅を抑制しないPNA clampの開発に成功しました。
今後は、本PNA clampを用いて、ホタテガイが摂食するプランクトンを網羅的に解明し、その中からホタテガイの毒化原因生物を探索することが期待されます。
発表名:二枚貝のrDNAのPCR増幅を特異的に抑制するPNA clampの開発
発表者:飯島巧望1・山口晴生2・大西浩平2・夏池真史3・渡邊龍一4・小澤眞由4・内田肇4・沼野聡4・松嶋良次4・鈴木敏之5・足立真佐雄2
(¹:愛媛大学連合農学研究科、²:高知大学農林海洋科学部、³:函館水産試験場、⁴:水産研究・教育機構水産技術研究所、⁵:北里大学海洋生命科学部)